概要
人間に近い容姿でありながら超人的な体力、破壊力を兼ね備え、作戦を忠実にこなす最強クラスのB.O.W.「タイラント」。その改良種の多くはアンブレラ社によって全力を出さないようにリミッターとなる拘束具を施されている。如何に強力な力を振るえたとしても、それを制御できなかったら兵器としての価値がなくなるからだ。
しかし仮に想定を上回るダメージによって生命の危機が訪れた場合、生存本能からタイラントはその凶暴性を発露させリミッターを自身で解除して全力で暴れまわるという暴走状態「スーパータイラント」へと移行してしまう可能性があるという重大な欠点が存在する。
スーパー化したタイラントはT-ウイルスの暴走により耐久力、攻撃力、俊敏性、凶暴性などが大幅に上昇。両手が肥大化しリッカーの様な鉤爪が生え、新たな副心臓が形成露出するなど、もはや化け物に相違ない凶悪な外観へと変貌する。
その容姿通り規格外の戦闘能力を得たものの一切の制御を受け付けない状態であり、この欠点を克服して利用するべくアンブレラは様々な手段を講じていた。
最初に明確な描写が成されたのは「バイオハザード2」。
クレア裏編において、タイラントはG-ウイルスのデータ強奪の命を受けてシェリーのペンダントを執拗に狙い、彼女と行動を共にしていたクレアも命を狙われていた。
物語終盤。その事実を知った彼女は、それを逆手にとってペンダントを溶鉱炉の中に投げ落とす。
(ちなみにレオン裏の場合、エイダが偶然シェリーと遭遇しそれを拾ってしまったことで今度はエイダが狙われる羽目になる)
「データを持ち帰ること」としか命を受けていないタイラントにとって欲しいものはデータだけ。誰か持っているのならば殺してでも奪い取るまで。そこに落ちているのならば手にするだけ。それを取るために下が溶鉱炉にも関わらずタイラントは飛び出し、そして熔解した金属の中に沈んでいった。
(レオン裏編では、エイダの撃った弾が頭部に直撃、ふらついた勢いのまま落ちて行った)
金属が溶けているならその温度は300℃をゆうに超している為、普通は生きてるはずがない。
だがタイラントは生きていた。
拘束具となっていたコートは溶けてなくなり、リミッターが外れ、鋼鉄のような屈強な肉体と化し、腕は何もかも引き裂く巨爪と化した。もはや「暴君」というに相応しい、命令などどうでもよくなったタイラントは、列車に逃げ込む寸前のクレア達の息の根を止めるため、燃え盛る身体を引きずって襲いかかる。
強さ
バイオハザード2
列車に着いた途端(厳密には、脱出の為に行動していた時)、「グォオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」と雄叫びをあげてから、燃え盛る身体を震わせて襲いかかってくる(転落後にそれでも死んでいないことを示唆するデモが入るため、襲撃の予告はされている)。高速移動によって一気に間合いを詰めて爪で引き裂いてくるため、攻撃力自体は抑えられており特に即死攻撃はないにしても、距離をとってもすぐに間合いを詰められてしまう。しかもほとんどの攻撃にひるまない上、いくら銃弾を撃ち込んでも通常武器では絶対に死なない。
時間制限はあるがある程度ダメージを与える(もしくは一定時間戦闘を継続する)とある人物がロケットランチャーをくれるため、それを使って止めを刺そう(ただし、隠し武器の無限ロケットランチャーを所持していると前述のイベントを無視して最初からタイラントを倒すことができる)。
攻略法は直接戦闘よりはロケットランチャー出現まで逃げ回る(タイラントが間合いを詰めてこない程度の距離を維持した上で)のが、比較的安全。戦ってイベントを発生させるなら、高速移動を空振りさせた隙を突くといい。有効武器はカスタムマグナム、カスタムショットガン、硫酸弾。
「YOU LOSE,BIG GUY!!(くたばれ 怪物!)」
バイオハザードRE:2
レオン編のみ交戦。爆発の衝撃で半裸になり、爪は右手だけだが、右半身が焼かれた上、下顎が欠損している為かなりグロい。主な攻撃は小ジャンプ斬りや連続斬り、『2』の突進攻撃はまさかの即死攻撃にパワーアップ。構えを取ったら直ぐに閃光手榴弾を使おう。弱点は心臓。やっぱりロケットランチャーがないと撃破できない。
余談だが、今作のスーパータイラントのデザインは実写映画『バイオハザードIII』のタイラントと化したサミュエル・アイザックス博士がモデルである。
ダークサイドクロニクルズ
列車にたどり着いたクレア達の前に降り立ってくる。身体は燃え盛っていないが、首から胸にかけて溶鉱炉に落ちて金属が体内で冷え固まったような身体になり、胸あたりには熱をたぎらす血管のようなものがみられる。ゆっくりじわじわと近づいたかと思えば、急に大ジャンプして襲いかかってきたり、爪を構えて走ってきたり、挙句の果てには列車をダイナミック発車させてしまう。
しかもこいつ、ロケットランチャーを跳ね返す。途中でHPが回復してしまうので、HPを赤になるまで削ったあと、「今だ!!」というセリフを聞いた瞬間に撃つといいだろう。
オペレーションラクーンシティ
Gサンプル回収後、ラクーン研究棟を抜けるエレベーターの上で戦闘となる。2のように燃えた状態で襲い掛かる。狭い空間での戦闘のため、自分よりむしろ仲間が倒されやすい。
あのタイラントとは一切関係ないウルフパックはとんだとばっちりを受けたものである。
ダムネーション
CG映画にも登場。こちらも燃え盛っていない。リッカー数体を余裕で葬り、BMP-3歩兵戦闘車(注:総重量18.7トン)の突進を正面から受け止め、踏ん張って持ち上げる次元違いの膂力を誇る。
また、レオンが発射したロケットランチャーの弾頭を掴んで投げ返したり、BMP-3の砲口を見て砲撃を予測→発射前に回避したり、そのあと頭を前に突き出して砲搭の可動を封じたり……など、暴走しているにもかかわらず、他の作品の個体には見られない高い知性を持っている。
作中では3体が登場したが、そのうち1体は前述のBMP-3との相撲の末にヘッドショットされて死亡。他の2体はA-10神から7砲身パンチとヘルファイアミサイルをそれぞれ喰らって爆散した。ナムサン!