1980年代に発表されていた、井口ユミによる少女(女児向け)漫画。
女児向け少女漫画とか言いながら、メイン連載されたのが性別関係ない学年誌であったため、男子でもそれなりに読んでいるヒトがいたりする。
概要
異世界「にゃんにゃんランド」からやってきたネコミミ少女らぶらぶが、顔も成績も体力も中庸で女の子たちにバカにされまくる少年ケンイチ(ケンチ)の「人一倍の底抜けの優しさ」に惚れこんで押しかけ女房となるラブコメ物語。
ストーリーとしては「ケンチのピンチにらぶらぶが奮闘する」あるいは「らぶらぶが巻き起こす騒動にケンチが力及ばずも必死に対処して事なきを得る」形による一話完結パターンが多い。
トラブルに対処するため、らぶらぶが半獣態(猫姿の獣人)となってスーパーパワーを発揮する事があるため、今で言う「戦わない変身ヒロインもの」(戦う時もあるが特別な場合のみに限られ、バトルヒロインのように戦う物語が常態化されていたワケではない)でもある。コレである嗜好に目覚めた、いたいけな少年少女もいたとかいないとか。
あらすじ
ネコミミたちが住まう異世界「にゃんにゃんランド」の少女「らぶらぶ」は、ランドの掟に従い人間の世界にやって来た。にゃんにゃんランドでは女性しか生まれないため、ランドの住人は年頃になると「お婿さん探し」のために異世界に向かい「運命の男の子」を探して婿取りを行う。そして、らぶらぶは底抜けの優しさを持つ少年であるケンイチ(ケンチ)に出会い、彼の「心」に惚れてしまい、押しかけ女房としてケンチの元に居つく。だが、ケンチは成績も体力も(さらに言えば顔も)中庸でパッとした取り柄など何もない少年だった。
だが、らぶらぶはそんなケンチを支える事こそ自分の役目とばかりに、自らのしっぽを引っ張る事で出来る獣人化による、持ち前のスーパーパワーを用いて彼をサポートしようとする……が、その一方でらぶらぶの行動には生来の能天気ゆえの暴走も目立ち、らぶらぶを大切に思うケンチは逆に彼女を守ろうと必死に行動する。
やがて、らぶらぶを慕って妹の「ぴこぴこ」や友達の「みんみん」などの、にゃんにゃんランドの面々が、ケンチとらぶらぶの周りに集まり出すとともに、ケンチの同級生の「ユカ」や「オサム」も巻き込んで、ケンチらのドタバタが加速していくのであった。
登場人物
らぶらぶ
主人公。(あとメイン画像)
自分の感情を隠さず、想い一直線で純粋無垢(故に天然で暴走気質)なネコミミ少女。
にゃんにゃんランドから婿探しにやって来た異世界人で現代日本の常識には少し疎い。
大好きなヒト(ケンチ)の頬を舐める「ぺろんちょ」が得意技。ケンチとたい焼きが大好き。
しっぽを引っ張る事で獣人化してスーパーパワーを発揮する。ただし3分の制限時間つき。
妹ともどもトラネコがモチーフなので、なんか浮気者に電撃でも撃ちそうな外見をしているがそんな事は無いのであしからず。
ケンイチ(ケンチ)
らぶらぶに想いを寄せられる「ごくごく普通の」男の子。
あまりパッとした特徴も得意も無い事から、クラスでは目立たない存在。
だが、らぶらぶに惚れられた事で、時に良くも悪くも注目を浴びる事に。
ぴこぴこ
らぶらぶの妹。小学1年生。純情一途な姉と違い、要領が良いちゃっかり者。
メンクイで「将来のために」と複数股がけも平気で行う、恐るべきお子さま。
ケンチの事は、その凡庸さから見下していたが、彼の優しさを知り「少しだけ」見直す。
時にケンチに惹かれて、らぶらぶと大喧嘩する事もある。
みんみん
らぶらぶの友人。同時期に、にゃんにゃんランドからやって来たネコミミ少女。
普段は長髪をおだんご頭にしてネコミミを隠している。
「他人の物が欲しくなる」という困った性癖を持ちケンチを狙う。
「自分のために他人を利用するイタズラ好き」という悪い意味で「いい性格」をしている。
ユカ
ケンチのクラスメイト。いわゆるライバルお嬢様。
クラスの女王様で目立ちたがり屋。空気を読まずに天然で目立つらぶらぶをよく思っていない。
ふとした偶然から、らぶらぶの獣人化の秘密を知り、それを皆の前で晒そうと躍起になる。
しかし、らぶらぶやケンチがピンチになると手助けをするなど、根は面倒見の良いお嬢様。
オサムくんが好きだと言うが、他のイケメンに目移りする事も少なくない。
オサム
ケンチのクラスメイト。爽やかさんなクラスのトップヒーロー。
ユカをはじめとした女の子たちに言い寄られる中、ケンチ一筋のらぶらぶに興味を持つ。
そのため、時にユカを焦らせ苛立たせ、表立ってではないが時にケンチと対立する事も。
超余談
本作の作者である井口ユミは東映不思議コメディーシリーズのうち「美少女仮面ポワトリン」「不思議少女ナイルなトトメス」のコミカライズも担当している。
一方、本作で井口のアシスタントを務めた谷沢直は「魔法少女ちゅうかなぱいぱい!」「魔法少女ちゅうかないぱねま!」「有言実行三姉妹シュシュトリアン」のコミカライズを担当しており、いわば小学館版東映不思議コメディーシリーズ美少女路線の始まりと終焉を見届けた漫画家と言える人物である。
ちなみに井口ユミは別名義でも活動しており、速水憂海で成人漫画を執筆していた。なんか昔どこかで見た事ある画風だと思っていた人も多かったと思われる。
関連タグ
谷沢直:井口の弟子。まさに、この作品の頃にアシスタントを勤めた。