ぴょんぴょん(雑誌)
1988年創刊。英字表記は「PYON PYON 」。
企画を立ち上げたのは、かの『コロコロコミック』二代目編集長・福島征英。
雑誌名に跳躍のオノマトペを用いたのは当時の少女たちの間で流行っていたゴム跳びや縄跳びのイメージからに拠る。
女子小学生をターゲットとしていた低年齢層向け少女漫画誌。
コンセプトは「元気な女の子の為の新まんが誌」。言うなれば女の子向けコロコロコミックを目指した雑誌である。
さらに言えば編集部は「コロコロコミック」および「小学館の学年別学習雑誌」と同じ課(幼年雑誌部門)に所属しており、のちに併合となる『ちゃお』とは別のセクションで編集されていた。
1992年に担当課の整理が行われて編集部が幼年誌部門より分離されるとともに少女部門へと配属変更され、そのまま『ちゃお』に吸収されるかたちで休刊した。その意味において『ぴょんぴょん』は90年代以降の『ちゃお』メディアマーケティングの源流として位置づけられる雑誌として扱われており、当時の『ぴょんぴょん』の編集ノウハウが無ければ現在の『ちゃお』は存在し得なかった、と言う意見もある。
現在の小学館においては『ぴょんぴょん』と似たコンセプト(カラー漫画、タイアップ漫画が中心)の雑誌の『ぷっちぐみ』が出ている。ただし『ぴょんぴょん』が仮想購読対象の中心を小学校低中学年に据えていたのに対し、『ぷっちぐみ』の仮想購読対象の中心はより低年齢の年長組(幼稚園)および小学校低学年であり、その対象部分の紙面構成やマーケティングに関しては前記の理由により『ぷっちぐみ』と『ぴょんぴょん』では大きく異なっている。
現在の小学館雑誌における『ぴょんぴょん』のノウハウに関しては、紙面構成の在り方や企画・マーケティングが『ちゃお』側に、方針や低年齢対象表現が『ぷっちぐみ』側に引き継がれた、とするのが最も実情に合っているかもしれない。
pixivではぴょんぴょんに連載されていた作品にこのタグが付けられる。
ぴょんぴょんでは連載されていた作品ではないものの、ぴょんぴょんの誌風を意識した作品やぴょんぴょんの要素を持つ作品が「ぴょんぴょん系」と呼ばれることもある。
マイナー誌ではあったものの…
少女漫画の屋台骨と言われている恋愛要素は薄く、それに対してギャグ、冒険、マスコットなどを主題とした作品が多かった。スポ根、恋愛漫画(意図して描いているもの、男児向けとコラボしたもの、スポ根とドッキングしたもの、SD外伝が存在するもの)も掲載されており、初心者でも読みやすい作品が多かった。後述するようにテレビ番組とのタイアップ作品も連載されていた。
連載陣は、そもそも『ぴょんぴょん』を立ち上げた初代(コロコロ二代目)編集長の福島が「コロコロコミック」出身者(小学館学年誌部門の所属)であったがゆえに「小学館の学年別学習雑誌」にて幼女向け漫画を描いていた層や「コロコロコミック」デビューでありながら同誌で枠を与えられていなかった男児向け作品を志望していた層で構成されていた。
そのため恋愛漫画を描いていたうえだ未知は「スーパー戦隊シリーズが好きなので、漫画を描く時に気持ちを切り替えて乙女な気持ちになるのが大変」と苦労した事を明かしていた。また『ぱいぱい』『いぱねま』を描いていた谷沢直も小学館を離れた後に、「女の子向けなんて読んだ事も無かったし目指したことも無かったのに、気がつけば(ぴょんぴょん→ちゃおで)少女漫画を描くことになっていた」と語ったことがあった。
もっともこれは、編集長の福島が無類の少女漫画雑誌好きでありながらも、「良い作品がたくさんあっても同じ雑誌なのに同傾向の作品(恋愛漫画)が多く、女の子向けなのにおしゃれでカラフルな企画が少ない」という状態にあったことに大きな不満を感じていた事にもよる。
ちなみに小学館の上学年向け少女漫画には、それこそ「ものすごいエロオーラ」だの「頭がフットーしそうだよおっっ」だのと、妙にエロティックなものが多い。しかも、そのムーブメントはのちに他社にも波及するようになってしまう。
なんせ『少女コミック(現・Sho-Comi)』と『ちゃお』は2006年度のPTA調査による「親が子どもに読ませたくない雑誌」のワンツートップである。
一方で『ぴょんぴょん』にも、そうしたネタは存在してないこともなかったが、それらは『とんで!小鳥ちゃん』の入浴シーン、『まゆちゃんははずかしガール』の巨乳ネタ、『うきうき人魚メルヘンちゃん』のポロリネタ、『あかりCHUがえり』の半ケツネタなど、前述した「お姉さんの雑誌」たちから比すればそれこそ笑えるほどささやかな程度のもので、いわば黄金期の週刊少年ジャ○プ(しかも、その手のギャグとしては亀に乗るグラサンや時々地球を割ってるP村にも届いていない)レベルであった。正直、この当時の少女漫画雑誌ならその程度のネタの先達などいくらでもいたワケで今更ともいえる。
当時、「少女漫画は(絵柄、恋愛などが理由で)苦手だがぴょんぴょんだけは好き」という女の子が結構いたとか。読者の分母が少ない分、コアな読者が多かったと言われる。
有名人でも中川翔子など、元ぴょんぴょんファンを名乗っている人もいる。(honto・中川翔子のポップカルチャー・ラボ(第2回後編)、該当ツイート)
恋愛要素は薄いが、女主人公たちのフェルト人形の作り方を載せていたり、焼きマシュマロの作り方を載せていたり、巻末に簡単な新体操の取材漫画を乗せていたりした(記者がインドのサリーの着たさに体に布を巻くというマニアックな描写までされていた)。
連載陣の内容
メディア等タイアップ
- 東映不思議コメディ美少女シリーズ(原作:石ノ森章太郎 / 製作:東映)
- 魔法少女ちゅうかなぱいぱい!(作画:谷沢直)
- 魔法少女ちゅうかないぱねま!(作画:谷沢直)
- 美少女仮面ポワトリン(作画:井口ユミ)
- 不思議少女ナイルなトトメス(作画:井口ユミ)
- うたう!大龍宮城(作画:玉井たけし)
- ※『有言実行三姉妹シュシュトリアン』はぴょんぴょん廃刊(ちゃお併合)後の作品であるためタイアップが叶わなかった。ただし『小学四年生』にて読切として『ぱいぱい』『いぱねま』を担当した谷沢直による漫画版が掲載されたため「小学館・幼年雑誌部門」としては最後までキチンと不思議コメディーシリーズに付き合っている。
- ママは小学4年生(原作:サンライズ)
- 魔法使いサリー(原作:横山光輝)※東映動画による2作目(’89年版)アニメとのタイアップ
- 愛の戦士ヘッドロココ(原作:ロッテ「ビックリマン」)
- ずっこけSDライダーくん(原作:石ノ森章太郎)
- ウルトラまりりん(原作:円谷プロダクション「ウルトラシリーズ」)
- ドラミちゃん(原作:藤子・F・不二雄「ドラえもん」)
オリジナル
- どろろんぱっ! ※本作のアニメ一話に「ぴょんぴょん運送」など、ぴょんぴょんの名称が散りばめられていた。
- みい子で~す!
- はずんでキャッチ
- 光のパンジー
- ないしょね!プリン
- パンク・ポンク
- おじゃマクラ
- とんで!小鳥ちゃん
- デュエットで走ろう
- Sweetらぶらぶ
- 快盗シスターズ いただき!パンサー
- あかりCHUがえり
- ゆう&YOU
- ビビビのかおりちゃん
- まゆちゃんははずかしガール
- 真珠色マーメイド
- なんでもアリス
- うきうき人魚メルヘンちゃん
etc.
連載作家
※pixiv百科事典に項目がある漫画家
関連イラスト
関連タグ
ピョンピョン:表記ゆれ
コロコロ創刊伝説:第27話で3代目編集長就任のバックグラウンドとして本誌の創刊伝説を披露した。
るんるん:ぴょんぴょんとターゲットが同じだった講談社の季刊→隔月刊誌。
ChuChu:小学館の廃刊した雑誌繋がり。コンセプトは良かったものの、廃刊しても仕方がない状況にあった。