概要
アブラハムとは聖書における預言者として、諸民族の租とされる人物であり、ユダヤ教・キリスト教・イスラームにおいて「信仰の父」と位置付けられている点で共通しており、各宗教は彼の宗教的伝統を受け継ぐと称することからこの名称が付けられていると思われる。
時系列としてはユダヤ教→キリスト教→イスラームの順に成立しており、それぞれタナハ(旧約聖書)、新約聖書、クルアーンという啓典を持つが、崇められている神は同一(「アブラハム」という人物を介した唯一神を信仰すると言う意味では)である。
聖典の原典はタナハはヘブライ語、新約聖書はギリシャ語で書かれているがラテン語翻訳「ヴルガータ」も強い権威を持ち、クルアーンはアラビア語で書かれている。
歴史上様々な複雑的経緯が有り、三宗教とも融和と争いを繰り返してきた。
イエス・キリストの扱い一つとっても、キリスト教では三位一体説に基づき神の子にして神であり預言者であるような扱いだが、イスラム教ではムハンマドに先んじた偉大な預言者ではあるが、唯一の神は産みもしなければ生まれもしないので神の「子」としては否定され、ユダヤ教に於いては救世主の騙りのような扱いだったりで、簡単には説明しがたい。
しかし人類史において与えた影響が大変に大きい宗教であり、文化としても様々な国で根付いている。
一神教ではあるものの、多神教からの影響を多分に受けている側面があり、聖書のエピソードはギルガメッシュ叙事詩などの西アジアや中近東の神話と酷似している部分が多い。