"VA-11 HALL-A"とはベネズエラのインディーゲーム開発陣であるSukeban Gamesが2016年に発表したサイバーパンク世界を舞台とした作品。
正式名称は"VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action"。絵師はKiririn51。
"VA-11 HALL-A"とは主人公の務めるバーの名前で、正確には「VA-11・ホールA」を意味するが、ゲーム内外で「ヴァルハラ」と通称されている。
2017年11月ついに公式日本語版が公開。同時にPS Vitaへの移植(パッケージ有り)版も販売された。
なお2020年には続編「N1RV Ann-A(ニルヴァーナ)」の発売が予定されている。
ゲーム概要
ストーリー
207X年、存在すべきではない街「グリッチシティ」は政府の腐敗、大企業・犯罪組織の専横により急速にディストピア世界に沈みつつあった。ナノマシンによる政府監視で人々から自由は奪われ、あらゆる犯罪と暴力主義の蔓延が一般人の生活を脅かしていた。
プレイヤーはそんな街の繁華街の片隅にあるバー"VA-11 HALL-A"のバーテン、ジルを演じ、店を訪れる多種多様な客の話に耳を傾けることになる…。
ゲームジャンル
アクションゲームまたはビジュアルノベルとされることが多い。なお、開発陣はこのゲームを「サイバーバーテンダーアクション」と位置づけている。
ゲームシステム
最も特徴的な点はストーリーの進行・分岐がこの手のゲームによくある「会話選択」ではなく「客に提供するカクテル」によって決まるというところにある。
客の注文通りにカクテルを作ればよいと思われるかもしれないが、謎掛けのようなあいまいな形で注文してきたり、会話の流れから察して相手の望んでいるカクテルを作ったりしなければならないなど、そう簡単にはいかない。注文を間違えすぎるとお給料と生活(ゲームクリア)に影響するため、そのあたりの配慮も必要とされる。
客たちとの会話では、ディストピア世界に集う人々として、テクノロジーの発展に伴う「自我のあいまいさ」など哲学的な側面を覗かせることも多い。
一方、主人公や客達は自身の性的嗜好に関する話をかなりあけすけに話す傾向があるため、CEROレーティングはD(17歳以上対象)だが18歳以下にはおすすめできない感はある。恋愛感も現代に比べるとかなりフランクで、LGBTも普通に受け止められている。
また日本のPC-98系列のゲームを強く意識して作られており、グラフィックやサウンドは当時を思わせるレトロ調になっている。
評価
発表以来「美しくも儚い芸術的な世界観と独特のゲームシステムが融合したゲーム性は他のゲームに例を見ない」など、欧米で高い評価を得ている。
登場キャラクター
名前右に英語版の表記、その右に愛称を記した。
「VA-11 HALL-A」の従業員たち
- ジル・スティングレイ (Jill Stingray) (「ジル」が既に愛称。アナのみ「ジョー/Jo」と呼ぶ)
主人公。フォアという黒猫と同居している。フォアの去勢手術をしたために貯金はすっからかんで、来月の家賃を払えないと追い出される事になる。
- デイナ・ゼイン (Dana Zane)
店長。片腕が機械製の義手。ジルが密かに思いを寄せている。SukebanGamesの看板キャラで、過去作にも登場している。
- ギリアン (Gillian) (ギル、ジョン等/Gil,John)
同僚。開発当初は彼が主人公だったらしい。不明ながらも不穏な過去を抱えている様子。
- イカ柴 (Rad Shiba)
イカした柴犬(Raddest Shiba)。首輪につけた翻訳装置で会話する。CIRA(犬種独立救済協会)での活動の傍ら、パートタイマーとして働く。
訪ねてくる客たち
- ドロシー・ヘイズ (Dorothy Haze)
アンドロイド「リリム」の少女。
- アルマ・アルマス (Alma Armas)
セキュリティコンサルタント。通称おっぱいハッカー。
- ジェイミー (Jamie)
賞金稼ぎにしてプロの殺し屋。おっかない見た目だが物静かなおじさん。
- ドノヴァン・D・ドーソン (Donovan D. Dawson)
ネット新聞「Argument Eyes」編集長。ゴシップに目がない。
- キンバリー・ラ・ヴァレット (Kimberly La Vallete) (キム/Kim)
「Argument Eyes」インターン。気絶していた所をデイナに助けられて来店。
- イングラム・マクドゥーガル (Ingram McDougal)
荒んだ雰囲気の男。初対面のジルにとんでもない質問を投げた。娘がいたらしいが……
- キラ☆ミキ (*Kira*Miki) ※「*」は小文字。
リリムのトップアイドル。グリッチシティで絶大な人気を誇る。
- セイ・P・アサギリ (Sei P. Asagiri)
司法組織「ホワイトナイト」隊員。うっかり店にヘルメットを置いて帰った事から縁を持つ。
- ステラ・星井 (Stella Hoshii)
セイの友人。セレブお嬢様で、遺伝子手術を受けた「キャットブーマ」。
- アート・フォン・ディレイ (Art von Delay)
ハゲの私立探偵でかなりの情報通。『となりのサインフェルド』のジョージ・コスタンザがモデル。
- ベアトリス・アルバート (Beatrice Albert) (ベティ/Betty)
獣医。ディールの同僚。気の強い女性で、独自の恋愛観を持つ。
- ディール (Deal)
男性タイプのリリムで、ベティの同僚。犬が大好き。
- すとり~みんぐチャン (Streaming-Chan)
365日24時間、自分の生活を配信している女性(一部コンテンツは有料)。登場すると背後にコメントが溢れ返る。
- ヴァージリオ・アルマンディオ (Virgilio Armandio)
額に「?」マークをつけたおじさん。スチームパンク博物館の学芸員。実はかなり重い過去を持っている。
- テイラー (Taylor)
ガラス容器に入った人間の脳。「世界五大瓶詰め脳」の一人。飲酒も会話も出来る、大変紳士的な御仁。
- ノーマ (Norma)
親と喧嘩して家出してきた少女。親への当てつけに悪いことをしようと店を訪れるが、ジルに諭される。
- マリオ (Mario)
赤いジャケットの青年。バイク便のライダー。男らしさをアピールしたがる。
- ナチョ・タンブルウィードJr. (Nacho Tumbleweed Jr.)
イカ柴の仲間。伝説の傭兵みたいな眼帯をしている。
- ヴェラ、エッセンシア (Vella,Essentia)
コスプレサークル「YIIK」に所属する少女とリリム。『YIIK: A Postmodern RPG』からのゲスト出演キャラクター。
- レクシー・リバーズ (Lexi Rivers)
隠しキャラで、『2064:Read Only Memories』からのゲスト出演キャラクター。
- トムキャット (TOMCAT)
上に同じ。
その他
- アナ・グレアム (Anna Graem)
セーラー服にジーンズ、姫カットの少女。何故かジルにしか認識できない。
- フォア (Fore)
ジルの飼い猫。先月去勢手術を受けた。何故かジルと会話できる。
- ブライアン (Brian)
BTC地域マネージャー。認定バーの監督を行っている。
- ロバート (Robert)
「Va11 Hall-A」の元バーテンダー。物語開始時点で故人。
- レノア (Lenore)
ジルの元カノ。喧嘩別れして以来音信不通。
- ガブリエル (Gabriella) (ガビィ/Gaby)
レノアの妹。かつてはジルとも同居していた。中盤で突如姿を現し、衝撃の事実をジルに叩きつける。
- アイリス (Iris)
デイナの友人にして元ビジネスパートナー。デイナ同様の看板キャラ。「N1-RV Ann-A」出演予定。
- クリムゾンローズ、コバルトリリー (Crimson Rose,Cobalt Lily)
2人組の殺し屋。アートがその行方を追っているらしいが……
エンジン
Windows, Mac, PS Vita, NintendoSwitch, Playstation4
プラットフォーム・ダウンロードストア
Steam, PLAYSM, PS Store
コラボ
2064:Read Only Memories:互いに登場人物がクロスオーバーする。
おしえて!ギャル子ちゃん:筆者鈴木健也氏が作中に『VA-11 Hall-A』パーカーを出したところSukeban Gamesが反応し、2019年に公式コラボとなった。
少女前线:2019年限定イベント。ジルを始めとした女性陣が複数参加。