概要
初出演作は短編アニメ「シリー・シンフォニー」シリーズの1934年度制作作品「かしこいメンドリ」。この作品においては脇役であったが、人気を博して単独の映画シリーズが作られるようになった。
ヒロイックで聖人君子的に描かれるようになったミッキーとは違い、俗っぽい要素を持ち合わせており、悪事とも言えることにも手を染めるが、それらが功を奏してミッキー差し置き短編映画作品数トップという輝かしい経歴を得ることと鳴った。
なお、初出演作がカラー短編という出自を持っている。
キャラクター概要
短気で、とても喜怒哀楽が激しい。自分にちょっかいを出してきた相手に対して徹底的に仕返しを行おうとする一方で、他人にちょっかいやいたずらを仕掛けておもしろがるという非常に子供っぽい性格である。
アヒルのような騒がしい声(いや、実際彼はアヒルだが)で非常に聞き取りづらく、友人のミッキーやグーフィーでさえ彼の話していることが分からないときがある。
甥っ子にヒューイ・デゥーイ・ルーイ、伯父のスクルージ・マグダックとルートヴィヒ・フォン・ドレイク教授、そして恋人にデイジーダックがいる。
チップとデールは天敵ともいえる存在であり、彼らを倒すために手段を選ばないが、大概は敗北してしっぺ返しを食らい、とことん酷い目に遭っている。甥っ子や蜂にも酷い目に合わされており、『New Shoes』では、叔父と甥っ子とチップとデールと蜂に集団リンチされている。
短編アニメーションの出演数はミッキーよりも多い。
なお、彼の性格設定は、モノクロ初期のミッキーがもともともっていた、短気かつあやんちゃで乱暴な一面を持つ性格面に対し、子を持つ親からクレームが来たためにドナルドに受け継がれたことによるものである。
声優
原語版
海外でのオリジナルキャストはクラレンス・ナッシュ。彼は動物の鳴き真似などの名手であり、ドナルドの性格形成・特徴的な声の創造に貢献した。この功績や彼自身の思い入れもあり、クラレンスの愛称はダッキー。さらに当時のディズニーの得意分野であったアニメと実写の融合作品では共演までしている。ミッキーマウスやグーフィーが一部声優が不定だった中、クラレンスは白血病となり降板するまでドナルドを1934年から1985年までの51年間ほぼ休まず演じ続けた。
唯一担当しなかったのは「ドナルドの夢の声」で変声した際のハンサムボイス(その回でモブ役を演じていたレスリー・デニソンが担当)の時のみで、その作品でもクラレンスはドナルドの普段の声として出演していたため、ほぼ皆勤賞と言っていい。
その後を引き継いだのがトニー・アンセルモである。本来アニメーターであったトニーはクラレンスに気に入られ、よく可愛がられていた。当初は面白半分でモノマネをしていたが、やがて高齢かつ白血病にかかったクラレンスから後任として見出されたようで、病気のことを明かさず技術を伝承されていたという。死去直前の病床では正式に後任として使命され、現在は二代目として定着している。
現在は一部作品でダニエル・ロスが演じているが、今後正式に三代目となるかは不明。
日本語版
ディズニーの吹き替えを独自に行った会社が非常に多く、原語とは打って変わって吹き替えが始まった当時はあまり安定しなかった。
1950年代には既に三人の声優がおり、初代は坊屋三郎、続いて藤岡琢也、肝付兼太と移った。
1984年から発表されたバンダイ発売のビデオ版では関時男が演じた。当時多数のビデオがリリースされたこともあり、次点で有名なのはこれ。
同時期に放送していた日本テレビの番組「ミッキーマウスとドナルドダック」では緒方賢一が担当。
1988年にテレビ東京で放送された「わんぱくダック夢冒険」では富山敬が演じた。
ここまで紹介してきた人物は、所謂聞き取りが困難なアヒル声ではなく、本来のアヒルの鳴き声である「ガーガー」という低い声に合わせたトーンのキャスティングが行われてきた。
現在の日本語キャストは山寺宏一である。ドナルド役を得るために原語における声を研究し、松本梨香の協力を受けてようやく完成したもので、受けたオーディション回数は6回だとか。その再現度の高さは本国のディズニーにも評価されている。なお、先のクラレンスが唯一演じなかった「ドナルドの夢の声」の変声ボイスも、なんと山寺が全て演じている。ただ本人曰くこの声で話すのはかなり苦労するようで、何年経っても難敵と称している。
ちなみにパブリック・ド・メイン作品を安価で発売したDVDシリーズでは小坂知裕が演じた。が、これまでのそれとは違って吹き替えというよりは単純な翻訳を読み上げるというテンションであった。