概要
人里に隣接し、人間の影響を受けた生態系が存在する森林のことを指す。都市と自然の間にあって、人間が利用してきている森林のことである。
「里山」という言葉は、1759年6月の尾張藩の文書「木曽御材木方」に発見される。これによると「里山」とは、「村里家居近き山をさして里山と申候」と定義されている。つまり、集落の周囲の斜面にある採草場や雑木林などである。
現代の里山像は国木田独歩が1898年(明治31年)に発表した随筆『今の武蔵野』が大きく影響を与えている。そして現代的な意味での「里山」という用語を定着させたのは京都府立大学学長を務めた森林生態学者、四手井綱英による。
現代の里山
多くの里山は薪炭や肥料の供給といった古くからの機能を失い、放置され荒廃したり、ゴルフ場や住宅地、太陽光発電の用地として開発されたりした。しかし、土砂崩れや洪水などの災害を防いだり、水道の水源となったり、野生動物が生息する奥山との緩衝地帯となり人里が動物に荒らされるのを防いだりという役割を期待され、公金を投じて維持管理されている里山もある。
このため、イノシシ等による被害のニュースが出る度に「人が自然に介入しすぎた」と言う人が出てくるが、その考えについては大きな誤り、むしろ全くの逆であると言えよう。
また、人間が手入れしている里山だからこそ好んで棲む生物・植物たちもおり、里山それぞれに独自のビオトープが形成されている。この生物多様性の観点からしても「里山」という環境がいかに重要かというのが分かるだろう。
関連イラスト
曖昧さ回避
大相撲力士に里山関がいた。2018年11月(九州場所)に引退し、年寄「佐ノ山」を襲名。
関連タグ
地形 土地 里 森林 自然 樹木 武蔵野 国木田独歩 となりのトトロ
外部リンク
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