概要
時代や場所、宗教などによっては認められる場合と認められない場合がある。
遺伝子数の多い哺乳類、分けてもヒトの近親婚は、遺伝上の多様性の欠如による免疫力の低下と、遺伝病の原因となる劣性遺伝子の発現率が高くなることから、生物学上奨励されない。
王族や皇族などの特別な身分の血統、あるいはその逆に奴隷などの被差別身分の血統では、非科学的な信仰等により、近親婚が敢えて繰り返されるケースがあるが、家系図を調べると途中で短命な代があったりする。
我々に身近な例だと日本の皇室が上げられる。大正陛下が病弱であられたことは有名だが、大正陛下以外にも明治陛下のお子様は病弱で短命であられた。今上陛下が民間(平民)からご成婚あそばれたのは、政治的な問題以外にもこのような背景もあったともされる。
なお、近親婚と、実際に性交を伴う近親相姦は、厳密には別の概念である。歴史上に伝えられる近親婚は、その民族の宗教や文化の一つの要素として、あくまで「血族の結束を固めるための儀式」として結婚という形態をとった物も含まれている。
続柄
親子
神話においてはエディプス・コンプレックスの元となった父親を殺害して母親を妻とした『オイディプス王』が有名。
現代のイランの地に勃興したパルティア王国では、フラーテス4世の妃であったムサが、夫を殺害し、息子であるフラーテス5世と結婚したという伝承がある。
全血兄妹・姉弟
エジプト王家やインカ帝国王家など、王家では広い範囲で全血の兄妹・姉弟婚が見られた。エジプトでは兄妹・姉弟婚神話が著名なこともあり、一般市民にも広がっていた。
最近親婚を宗教的功徳「フヴァエトヴァダタ」と考えていたペルシャなどにも見られたようである。
半血兄妹・姉弟
スウェーデンでは裁判所の許可を得ることで結婚をすることが出来る。
古代から中世の日本においても半血の兄妹・姉弟婚はしばしば見られた。
叔姪
スペイン・ハプスブルク家に多く見られた。
いとこ
日本では法律上は婚姻可能であるが、一方で法律上も親族同士の婚姻となり近親婚であるとみなされると考えられる(法律上の親族=六親等以内の血族)。社会通念的には微妙である。これは、大人の事情で近親婚が多い地域があり、一方でその大人の事情の対象と見られることを忌避する価値観の存在するためである。
イスラム圏においては、いとこ婚が一般的であり、特に父方平行いとこ婚はビント・アンム婚として好まれる。
イスラム法では夫の方が多く遺産が相続されるため、父方平行いとこ婚が財産を保存するにはもっとも適しているという事情も考えられるだろう。
中国、韓国、アメリカの一部の州など、法的にいとこ婚を禁止している国・地域も存在する。そのため日本の漫画やアニメでいとこ同士の恋愛が描かれると、海外掲示板で「日本ではいとこ同士で恋愛できるのか!?」と話題になることがある。文化の違いが見て取れる。