概要
Windows NT(記事タイトルはpixivのシステムの都合上スペースを省いている)はMicrosoftが開発したWindowsシリーズのOSのシリーズ名。Windows2000やWindowsXP、それ以降のWindowsシリーズの大元になったOSでもある。
機能
MS-DOSの拡張システムとして作成された従来のWindowsと違い完全なプリエンプティブ・マルチタスク機能を備え、より現代的なメモリ管理システムを実装しているので、9x系と比べると安定性に優れ、大容量のメモリを有効に活用できる。
代わりにメモリ消費や動作のオーバーヘッドが大きく、最小システム要件に近い環境では満足に動作しなかった。1996年リリースのNT 4.0 Workstationのシステム要件はメモリ16MBであったが、快適な動作には32MBが必要であったと言われている。
現在のWindowsのファイルシステムであるNTFSや、基本的なシステムコールとして使われているWindows API、ネットワークコンポーネントのWinsockなどを初めて実装したのもこのWindows NTである。はじめから完全な32ビットOSとして開発されており、システム本体に16ビットコードは使われていない。仮想環境サブシステムのNTVDM(Windows NT Virtual DOS Machine)があるので16ビットプログラムは動かせるが、完全な互換性はない。
x86に加えRISCプロセッサのDEC AlphaおよびMIPSにも対応(3.5以降はPowerPCにも対応)したが、RISCプロセッサ版はNTVDMを搭載せず16ビットアプリケーションをサポートしない。
沿革
1988年、DECの猛烈プログラマーとして名を馳せていたデビッド・カトラーを、ビル・ゲイツ直々にマイクロソフトに引き抜いたのが全ての始まり。カトラーはUNIXとVMSの互換OSを開発していたが、プロジェクトが中止となり閑職に追いやられていた。基本的なコンセプトは、Windows・OS/2・UNIXなど複数のサブシステムを搭載し多数のソフトウェアプラットフォームに対応すると言うことと、複数の異なるプロセッサに対応するというものであった。カーネルやファイルシステムといったOSの基本的な機能も含めてゼロから開発する野心的なプロジェクトであったため開発は難航。リリース前のベータ版には膨大なバグがあり、NT開発チームの壮絶なデスマーチは今なお伝説として語り継がれている。
初期のコードネームは"NT OS/2"、マイクロソフトがIBMと共同開発していたOS/2の次期バージョンとして発売される予定であった。1990年のWindows 3.0の成功を受け、「OS/2の後継」から、「Windowsの上位バージョン」として仕切り直され、ウィンドウマネージャをOS/2のプレゼンテーションマネージャからWindows 3.xのプログラムマネージャに変更。1991年に正式な名称を「Windows NT」として発表し、1993年に「Windows NT 3.1」としてリリースされた。
NT 3.1はユーザーインターフェースこそWindows 3.1に似せていたものの、内部のAPIなどは全く異なるものを搭載しており、従来のWindowsとは別物であった。NT 3.51まではネットワークOSとして圧倒的なシェアを誇ったNetWareの牙城を崩すことを意識しサーバ版に重点が置かれ、クライアント用OSとしてはほとんど使われなかった。クライアントOSとして本格的に普及が進んだのは1996年のNT 4.0からで、2000年発売のWindows 2000は個人ユーザーにも一定程度浸透した。
Windows 95はNTの32ビットAPIをベースにしたWin32APIを搭載したが、Windows 95互換のNT3.51が出るまではソフトウェアの互換性は低く、Windows NT 4.0でもデバイスドライバはWindows 9xとは別のものを使う必要があった。またWindows 95が持っていたマルチメディア系の機能やゲーム系の機能、プラグアンドプレイや電源管理といった機能をWindows NTは搭載していなかった。この辺の機能がまともに使えるようになるのはWindows 2000を待つ必要があった。最終的にNTと9xの完全統合がなされるのはWindows XPになってからである。
バージョン
初期のバージョン。
1993年(日本では1994年)に発売した。日本語版のシステム要件は80386 25MHzプロセッサとメモリ14MBで、当時のPCスペックの平均を上回っていた(これは最低動作条件であり、快適な動作にはさらに大きなメモリが必要)ことから、あまり普及しなかった。また、当時は32ビットアプリが少なく、デスクトップ環境では性能を十分に生かすこともできなかった。
コードネームはDaytona(デイトナ)。RISCプロセッサ版はAlphaとMIPSに加え、PowerPCアーキテクチャもサポートした。
NT 3.1の改良版で、1994年に発売した。完全なTCP/IPのサポートを統合した。NTFSでしか利用できなかった長いファイル名をFAT16でもサポートするようになった。OSのβ版が雑誌の付録として配布された。
NT 3.5の改良版で、1995年(日本では1996年)に発売した。ほぼ同時期に発売のWindows 95と共通のAPIを導入した。
1996年に発売。Windows 95と共通のユーザーインターフェースを備える。
グラフィック関連のデバイスドライバをカーネルモードで動作するようにし、グラフィック処理の遅さを改善。しかしグラフィックドライバの暴走でシステムを破壊するリスクが高まるなどメリットばかりではなかった(グラフィック周りの仕様はWindows Vistaで元に戻され堅牢性を回復している)。
DirectXを初めてサポートしたNTシリーズのOSであるが、9x向けの3Dゲームの多くは動かない。後継のWindows 2000はx86およびIA-64のみに対応したため、(2012年にWindows 8がArm64に対応するまで)最後のRISCプロセッサ対応のWindowsとなった。
その後
NT 4.0の後継としてWindows NT 5.0が計画され、9x系の機能の統合を目指して1998年から開発がスタート。NT系と9x系の双方の後継であることを分かりやすくするため、名前が「Windows 2000」に変更され、2000年に発売された。
結局、2000での9x系の統合は見送られ、家庭用としてWindows Meが登場することになったが、時代遅れとなった9x系を急ごしらえで拡張したため評判は散々なものであった。その次に登場したNT 5.1ことWindows XPで完全統合が実現した。以降は今日までNTのカーネルが使われ続けている。
NT 3.51以前のバージョンは2001年サポート終了(3.51Server版のみ2002年9月まで)。4.0は2004年にサポートを終了した。
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