Windows9x
うぃんどうずきゅうえっくす
「Windows9x」は、Microsoftが1995年から2000年代初頭にかけてリリースしていたOSである。「Windows9x系」とも呼ばれる。
従来のWindowsはMS-DOSの拡張環境であったが、9x系はDOSとWindowsを完全統合している。 WIndows NT系からWin32APIを移植したが、Windows3.1との互換性を持たせるため、カーネルに16ビットコードと32ビットコードが混在していた。
起動時にWindowsが直接立ち上がりユーザーがDOSを意識する必要はなくなったものの、本質的にはMS-DOS 7.xの拡張環境であり、現代的なOSの条件であるプリエンプティブ・マルチタスクとメモリ保護(後述)を限定的にしか持たない。Win32アプリはそれぞれ独立したメモリアドレス空間で動作するが、Win16アプリはすべてのアプリケーションでメモリアドレス空間を共有していた。
サーバー及び業務用とされたWIndows NT系に対し、9x系は一般家庭用とされており、動画などのマルチメディアやPCゲームに強い。DirectXが最初にリリースされたのもこの9x系である。USBや周辺機器のプラグアンドプレイ(つなげばすぐ使える)の対応も優先的になされていた。
カーネルに16bitコードが含まれているため、システムリソースの不足によるフリーズやクラッシュ、ブルースクリーンが起きやすく、安定性はイマイチ。
最終バージョンであるMeは、この問題を引き継いだまま多機能化を行ったため、他のOSに比べて特に不安定だったりする。
また、メモリ保護機能を持たないため、ひとたび暴走するとシステムメモリを破壊してブルースクリーンに陥る。OSがアプリケーションのタスクを管理するプリエンプティブ・マルチタスクは不完全で、32ビットアプリケーションに限って行うことができた。16ビットアプリケーションはアプリケーションがタスク管理を行う協調的マルチタスクのままだったため、システムを巻き込んでクラッシュしてしまいがちだった。
逆にNTになく9xにしかない機能としては、プラグアンドプレイおよびMS-DOSとの互換機能がある。
上述の通り、Windows 9xの基盤にあるのはMS-DOSそのものである。WinddowsからMS~DOS環境を一つのアプリケーションのように呼び出せるMS-DOSプロンプト、GUIを呼び出さないMS-DOSモードにより、16ビットのMS-DOSアプリケーションを(一部を除き)直接動かすことができた。これに対しNT系のコマンドプロンプトは仮想マシン(NTVDM.EXE)上に構築されており、MS-DOSの主要なスクリプトを動かすことができるが、互換性は限定的であった。
また、Windows NT 4.0向けにリリースされたDirectXはDirectX 3.0のみであり、NT系列でも最新機能が使えるようになるのはWindows 2000に搭載されたDirectX 7.0を待たなくてはならない。
NT系で最初にUSBやプラグアンドプレイへの対応を果たしたWindows 2000は、一般消費者からもある程度のの支持を受けた。2001年にリリースされたWindows XPによりNT系への一本化が実現。9x系の開発は完全に終了した。
9xのいずれのバージョンもすでにサポートが終了して久しく、複数のCPU(マルチコア含む)に対応できない、大容量のハードディスクや物理メモリを扱えない、そもそもUEFIに対応していないため、近年のハードウェアで動かすのは困難である。そのため、9xを動かす必要がある場合はもっぱら仮想環境が用いられる。