Windows10
ういんどうずてん
Microsoftが開発したオペレーティングシステムである。
WindowsVista以来となるバージョンの刷新が行われ、内部バージョンは10.0となった(初期のβ版は6.4)。
2015年7月29日より販売され、同日よりアップグレードが可能になった。
Windows10では操作感の改善やアプリの刷新、ブラウザの強化など多くの変更がなされている。
従来バージョンからのアップグレード及び新規インストール
Windows7SP1およびWindows8.1UpdateがインストールされたPCには発売日より1年間、無償アップデードプログラム(GWX)によるアップグレードが可能だった。
2016年7月29日をもってGWXによる無償アップデートは終了し、障害者向けについても2017年12月31日に終了したが、無料アップグレード自体はそれ以降も可能であった(10のライセンス認証に7/8/8.1のプロダクトキーが使用可能であり、実行中のPCであればキーの入力をスキップしてアップグレード完了であったため)。
これは新規インストールをする際も利用可能だったので、公式サイトからWindows10をダウンロードしてメディアを作成し7/8/8.1のプロダクトキーを使用して新規インストールすることができた。これを利用すればWindowsVista以前や何も入っていない状態のPCにも無料で10を入れることが可能だった。
2023年9月21日にMicrosoftから無償アップグレードパスの削除が正式に発表され、以降は10以降のキーが必須となった。
Windows10登場後
Windows10はローリング・リリースモデルが採用され、機能の追加・改善が年に2回WindowsUpdateを通じて無償で行われる。このため以降はWindows10が継続的に更新されOSのメジャーアップグレードは廃止されると見られていた。これについてMicrosoftのデベロッパーエバンジェリストのジェリー・ニクソン氏は、「Windows10はWindowsの最後のバージョン」と述べ、日本マイクロソフトの荒井省三氏は、「Windows10は、Windows as a Serviceによって、最新の機能と最新のセキュリティを提供することで、決して古くならない新しいWindowsへと生まれ変わる」と述べていた。
(上記の発言はあくまでも個人の発言であり、Microsoftの公式発表ではないではないので注意)
これ以降、しばらくの間は新OSが作られなくなり、サーバー向けOSも10ベースのメジャーアップグレードを繰り返していた。
結果的に10は6年以上にわたってマイクロソフトの主力製品として君臨し、歴代Windowsの中でも最長となった。
2021年にマイクロソフトが次世代OSであるWindows11を発表した。このOSは後述する開発中止になった10Xを一般向けに発売したもので、内部バージョンは10と同じNT10.0となっている。
Windows10から11へのアップデートは無償で可能。
Windows10は、以下のエディションが存在する。
Home(ホーム)
一般ユーザー向けのエディション。基本的な機能が備わっている。
Pro(プロ)・Enterprise(エンタープライズ)・Enterprise LTSB(エンタープライズ エルティーエスビー)
パワーユーザーや企業向けのエディション。
Enterpriseはボリュームライセンス契約を行うことで一般ユーザーも利用が可能である。Proのライセンス更新でアップグレードが可能となる。
LTSBはLong-Term Servicing Branch(LTSB)専用SKUで、EdgeやCortanaなどといったデフォルトアプリがほとんど搭載されていない。
Education(エデュケーション)
教育機関向けのエディション。
機能はEnterpriseとほぼ同じだが、モバイルコンパニオンがプリインストールされていないなど、細かな相違がある。
一般ユーザーは入手不可。
Pro Education(プロ エデュケーション)
教育機関向けの上位エディション。教育機関向けの管理機能が搭載。
基本はプリインストールだが、Proのライセンス更新でアップグレードが可能となる。
Pro for Workstations(プロ フォア ワークステーションズ)
サーバーグレードのワークステーション向けのエディション。最大4ソケットプロセッサー、最大メインメモリ6TBなど、高スペックをサポートする。
S(エス)
プリインストールでの出荷が基本となる教育機関向けのセキュリティ強化と安全性を計って開発された特殊なエディションではあるが、一般でも販売されている。また、該当するパソコンにはこれをSモードとスペック表記でそう呼んでおり、ユーザーの任意での解除が可能になっている。ただし、この場合、Microsoftの公式サイトのヘルプページによるとSモードを一度でも無効にすると永久に戻せないのという注意喚起が掲載されている。基本的には一部のSurfaceシリーズの工場出荷状態として販売しているのがほとんど。解除後になるエディションは端末のモデルごとに決まっている。ちなみに、SではWindowsストア以外のアプリは動かせないといった様々なセキュリティ面での制限が施されてある。
Mobile(モバイル)
スマホ・8インチ以下のタブレット端末向け。それまでのWindows Phoneと違って基本部分をPC向けのWindowsと共通させている。PCと同じWindowsストアアプリを動かすこともできるほか、Windows Phone向けアプリも動かすことができる。ただし、UIはモダンUIのみで、普通のWindowsアプリケーションは動かない、ブラウザはEdgeのみとPC向けに比べると機能に制限がある。2019年12月10日にサポートが打ち切られた。後継製品はなし。
ARM版Windows10
ARMアーキテクチャを搭載したCPU(Snapdragonなど)用のエディション。
かつてのWindowsRTとは異なり、32bit(x86)アプリが動作可能であるのが特徴(64ビットアプリは不可能)。
ここでは最新バージョンのシステム要件を記載する。
32ビット | 64ビット | 備考 | |
---|---|---|---|
CPU | 1GHz以上 | 1GHz以上(x64互換) | Intelは第3世代Core i、MicrosoftはCore2以降を推奨 |
メモリ | 2GB以上 | 2GB以上 | 64ビット版は4GB以上推奨 |
グラフィックカード | Microsoft DirectX 9 グラフィックスデバイス(WDDMドライバー付き) | 32ビットと同じ | |
ディスク容量 | 16GB以上 | 32GB以上 | |
ディスプレイ | 800x600 以上 | 32ビットと同じ | |
その他 | Microsoftアカウントとインターネットアクセス | 32ビットと同じ |
システム要件ギリギリで稼働させるとまともに動かないので注意が必要。
また、大型アップデートによってシステム要件が変更されることもある(例:2016年7月のアップデートで32ビット版のメモリの最小容量が1GBから2GBに増えている)ため、多少余裕のある性能にしておこう。
大型アップデート
Windows10では、Windows as a Service(サービスとしてのWindows)という新たなコンセプトのもと、ローリングリリースモデルを新たに採用。WindowsUpdateにより機能改善や新機能を含むOSのアップデートが継続的に無償で行われるようになった。
発売時から2021年までは(2016年を除き)新しいアップデートが年2回提供されていたが、2021年11月のバージョン(21H2)の提供開始の際に後継のWindows11のリリースサイクルに合わせることが発表され、年1回に変更された。
2022年10月18日提供の22H2がWindows10の最終バージョンになることが発表され、このバージョンをもって機能更新が終了となった。
スタートメニューの復活
Windows10では、Windows8で廃止されたスタートメニューが復活し、7のスタートメニューと8のスタート画面を合体させたような感じになった。
ちなみにスタートボタンを押すと、デスクトップモードではスタートメニューが、タブレットモードではスタート画面が表示されるようになっている。メニュー横にプログラムがタイル表示されるのは変わらないが、従来通りの名前順のプログラムの一覧を表示することができるようになっている。なお、モードは後述のアクションセンターで切り替え可能である。
ジェスチャー操作への対応
ジェスチャー操作が利用できるようになっている。
三本指での上方向スワイプでは実行中のアプリケーションの一覧を表示させられるようになり、タブレットモードのみではあるが三本指での左右スワイプによりアプリケーション切り替えが行えるようになった。
アプリケーションの刷新
Windows 8/8.1から搭載されたメールやカレンダー、フォト、電卓などといったModernUIのアプリケーションがユニバーサルアプリへと刷新されている。
右クリックや画面端からのスワイプにより画面上部に表示されるアプリ用コマンドが撤廃され、
すべての操作対象が画面上に表示されるように変更された。
デスクトップモードでは柔軟にアプリのサイズ変更が行え、過去のWindowsの操作感が再現されている。タブレットモードでは従来のWindowsアプリケーションをアプリと同様に切り替えすることができる。
アクションセンター
タスクバーにアクションセンターが追加された。アクションセンターアイコンをクリックまたはタップすると、アプリケーションからの通知の一覧が表示され、下部にはタブレットモードのオンオフ切り替えや、出力先ディスプレイの選択などの素早く行いたい操作へのショートカットが設置されている。
Cortana(コルタナ)
Windowsのアシスタントアプリケーションで、早い話AppleのiOSでのSiriのMicrosoft版である。
音声やキーボード入力を行うと、パソコン内の検索やWeb検索を行ってくれたり、天気情報やニュースを教えてくれたり、簡単な質問に答えてくれたりする。日本語版は7月29日のリリースでは利用できず、後のアップデートで利用できるようになった。
なお、AndroidOS・iOS用アプリとしても提供されている。
2023年にCopilotに置き換えられる形で廃止された。
CopilotはWindows11の23H2から導入された機能であるが、10にも導入されることになった。詳細は11の記事にて。
MicrosoftEdge
Microsoftが新しく開発したWebブラウザ。アイコンがInternet Explorerに似ているが、これは「インターネットと言えばeマーク」という従来認識からスムーズに移行できるよう、敢えて「e」に拘ったとのこと。
処理性能がIEより改善されており、HTML5への対応やJavaScriptの新しいAPIへの準拠が進んでいる。
Webページにメモを残したり、SNSへのシェアしたりする機能も追加されている。
開発コードネームはSpartan(スパルタン)と言う。Cortanaと並んでHaloシリーズから名前を借りてきたものと思われる。
また、従来型Webサイトとの互換性を維持するため、IE11も同時に搭載されている。
- Technical Previewの使用期限は2015年4月15日に終了する。
- 2015年4月1日より、PCを新しいバージョンにアップグレードするよう案内する通知を順次送信している。なお、対象PCでも明示的にアップグレードを要求しない限り勝手に更新されることはない。
- 2015年7月29日より製品版の発売が開始された。
Windows10のサポート期限について
Windows10Home/Proのサポート期限は2025年10月14日までとなっている。
しかし、10以降のOSはバージョンごとにサポート期限が定められており、各バージョン1.5~2年程度のサポート(例えば2015年7月29日リリースの初期バージョンである1507は2017年5月9日にサポート終了)となっている。そのため、スタンドアローンで稼働させる、WindowsUpdateを無効化するなどの操作をしたまま長期間放置していると気付かないうちにサポートが切れていたなんてことになりかねないので、注意が必要。
2022年10月18日提供の22H2をもって大型アップデートは終了となり、以降はサポート終了日までそのまま使い続けることが可能となった。
本OSに付随するもっとも大きな問題点として、前出の無償アップグレードを行うエージェントソフト(GWXアプリ)の挙動が挙げられる。
Windows10は発売から1年間、GWXによってWindows7SP1・Windows8.1Updateを搭載したPCは無料でアップグレードすることが出来た。
しかし、このプログラムのUIは分かりにくく、自動アップグレードの機能も付いていたため、意図せずに10にアップグレードされてしまうという事態が多発した。
また、テレビ機能が付いたPCでは10にアップグレードされたことでソフトウェアが使えなくなり、テレビ番組の視聴・録画が出来なくなるという二次被害も起きた。
このトラブルの相談が消費生活センターや日本マイクロソフトに多数寄せられていたことから、消費者庁が注意喚起を出す事態にまでなった。
Windows10Xは、タブレットや低性能ノートPC向けに開発されていた軽量版のWindows10であり、2019年に発表された。GoogleChromeOSのライバルとして見られていた。
デュアルスクリーンの最適化やアプリのコンテナ化など、通常版の10とは違った機能が搭載されており、2021年にリリースされる予定だったが、開発延期や機能削減などで雲行きが怪しくなり、2021年5月に開発中止が決定された。
なお、10Xの機能やインターフェースは次世代OSのWindows11に引き継がれている。
- Microsoft公式サイト
- Windows公式サイト
- Office公式サイト
- Windows10公式サイト
- Windows10のダウンロード←無料アップグレード及びISOダウンロードはここから。
- Windows 評価版ソフトウェア←試しに無料で使ってみたい人はここから。
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