CV:小林沙苗(Fate/Apocrypha)
以下、「Fate/stay night」及びアインツベルン家の重大なネタバレを含みます |
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概要
200年前、遠坂とマキリと協力して第三魔法の成就を達成させようと聖杯降霊を行ったアインツベルンの当主。通称・冬の聖女。
柳洞寺地下に置かれる大聖杯の魔術式を構成する魔術回路はユスティーツアの魔術回路を拡張したもの。完全に大聖杯と同期しているため人格としての機能は残っていない。
アインツベルンのホムンクルスは基本的に彼女をオリジナルとしており、アイリスフィール・フォン・アインツベルン、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンといった後継機達との魂の繋がりがある。
性格
故人であるため直接は登場していないが、不老の代償に一日を永遠に繰り返しているような精神状態だったとされる。
臓硯は彼女が大聖杯建造のために自ら生贄になったと思い返しており、後述の経緯からも大聖杯建造による人類の救済には賛成であったと思われる。
また、ステイナイトのHFルートでは彼女と繋がりのあるイリヤが、間桐臓硯に向けて彼女の口調で何度かマキリとアインツベルンがどうして共に奇跡を目指したかについて語りかけている。
あくまでイリヤの発言であるが、臓硯がユスティーツアをはっきり思い出しているため、生前の彼女と極めて似通ったものと思われる。
特殊な出生と精神性の持ち主である彼女だが、第三魔法による人類の救済という理想と、理解者であり仇敵であったマキリをどのように見ていたがが伺い取れる。
「―――あきれたわ。そこまで見失ってしまったの、マキリ」
「思い出しなさい。わたしたちの悲願、奇跡に至ろうとする切望は何処からきたものなのか。
わたしたちは何の為に、人の身である事に拘り、人の身であるままに、人あらざる地点に到達しようとしていたのかを」
「――――そこまで変貌したか、マキリ」
「問おう、我が仇敵よ。汝は、なぜ死にたくないと思ったのか」
経歴
アインツベルンとは、元々第三魔法に到達した魔法使いの弟子達が、師と同一の個体を作ることで師の到達した奇跡を再現することを目指して起こした工房。
九百年の徒労の末、彼らが磨いた技術の研鑽や努力とは無関係に、全くの偶然によって師と同等、あるいはそれ以上の性能を持つ突然変異のホムンクルスが生まれた。
それがユスティーツァである。
自分たちでは偶然でしか作れない性能の彼女が第三魔法を再現してしまった場合、挫折し続けた九百年よりも耐え難い結論が出てしまうことを恐れたアインツベルンの魔術師達はユスティーツァ以上のホムンクルスを偶然ではなく自分たちの技術体系で鋳造しようと躍起になったが、叶うことは無くユスティーツアは第三魔法の証明に成功する。
彼女は第三魔法の再現を可能とするが丁寧な織物のようなもので何十年もの時間を掛けて一人だけに施せるものでコストが悪く、とても人類の救済には届かない。しかもホムンクルスの例に漏れず脆弱な肉体であり、心身共に「不老」なため全く成長することも無い。ひとたび城の外に出ればゆるやかな死を迎える存在。
「人の手で人間を超えるものは作れても、人の手で人間を救えるものは作れない」。自分たちでは作れない奇跡であるユスティーツアの第三魔法の証明とその限界により、魔術師たちは己の限界に膝を折り、ある者は命を絶ち、ある者は城を去る。
そして、人間のいなくなった城にはアインツベルンの魔術師たちが創り出した城を管理するゴーレム・ユーブスタクハイトと、ホムンクルスたちだけが遺された。
これ以降のアインツベルンで作られるホムンクルスは全てユスティーツアをベースにしたものになる。
城から人間がいなくなって五百年後。創造主の命令によりホムンクルスを生み出し続けていたユーブスタクハイトとホムンクルスたちはユスティーツアの再製造は不可能と結論づける。そして、アインツベルンは貴重な彼女の保存から奇跡の量産へと方針を切り替える(純粋故により多くの可能性を選ぶホムンクルスたちの総意であり、ユーブスタクハイトのみ反対した)。
そして、一度に多くの人間を救うために考案されたのがユスティーツアを魔術式に置換した人体宇宙・第三魔法の広域稼働装置「大聖杯」である。
マキリという理解者が城に来訪し、遠坂という協力者も得たことで計画は急速に進み、大聖杯を広域稼働させるための莫大な魔力を世界の外側から引き出すための……後に参加した技術者と魔術師の仲違いにより「聖杯戦争」と呼ばれるようになった儀式が発案、遂に大聖杯の建造とそれを用いた儀式は成る。
しかし、参加した技術者や魔術師たちはせっかくの大聖杯を己の民族のため、己の社会のために使おうと殺し合うこととなり、無残な失敗に終わる。
そしてアインツベルンは再び方針を切り替え、最初の目的であるより完成したホムンクルスの製造と第三魔法の成就に立ち返り、命題に忠従する一族として稼働し続けるのであった。最後のホムンクルスにして、最高傑作たるイリヤスフィール・フォン・アインツベルンが生まれるまで。