概要
ドラムセットとは、大小様々なドラムやシンバル、その他小物打楽器などを組み合わせて、一人の奏者が演奏できるようにした物である。奏者のことをドラマーと呼ぶ。
ステージ上でも最後方の中心に陣取ることが多い。
それぞれの部品の詳細については関連イラストを参照。
※以下、一般的な右利きの奏者の場合について記述する。基本的には左利きでも右利きと同じように楽器を配置するが、左右逆に配置することもある。
※なるべく一般的なケースについて記述しているが、細かいところは奏者や演奏する曲によって本当に様々で説明しきれないため、楽器屋でドラムのカタログをもらってきて、それを参考にしてもらった方が早いと思われる。
ドラムいす(スローン)および演奏時のフォーム
ドラムいすは楽器ではないが、奏者を支える最重要なパーツである。
座面が丸いものが多いが、自転車のサドルの様な座面のものや、背もたれを付けた物もある。
演奏中は背筋を伸ばして座っているので、背もたれがあると長時間の演奏でも腰が非常に楽である。
個人差はあるが、座ったときに膝が直角になるか、かかとがやや浮くぐらいの高さに調整する。
奏者は軽く膝を開いた形で座り、膝の間にはスネアドラム(後述)を置く。
演奏時にはかかとのついたしっかりした靴を履くことが多い。
スティック
ドラムセットの演奏にはドラムスティックを使用する。長さはだいたい40cm、直径は1.5cm程度である。先端にいくに従って細くなり、チップと呼ばれる丸まった部分があり、ヘッド(皮)は基本チップで、リム(ヘッドを固定する金具)ショットはチップのやや手前で叩く。
基本的に1ペアで1000円の価格で素材はヒッコリー、オーク、メイプルといった木製である。また、木製以外にAHEADのアルミニウム製やKUPPMEN等のカーボン製も存在するが木製よりも耐久性が良い分高価(3000~6000円)である。
ドラムスティックを持つときにはチップとは逆の側で、全長の約1/3の部分を持つ。持ち方には大きくレギュラーグリップ、マッチドグリップの2種があるが、マッチドグリップを使う奏者の方が多い。この持ち方では、上から見たときに奏者の前腕部とドラムスティックが一直線になる。
ドラム類
後述するシンバル類もそうだが、演奏に使用する楽器はいすに座った状態でスティックが届く位置に設置する。結果として、奏者を中心とした扇形の範囲に楽器を置くことになる。
バスドラム
ドラムセットの中ではもっとも直径の大きいドラムである。通常はドラムセットに一つであるが、二つ(ツーバス)使うこともある。直径は18インチから24(稀に26)インチ程度、深さは14~18インチ程度が一般的である。
客席にヘッド(メーカー名やバンド名のロゴやイラストが描かれることもある)が向くように設置し、奏者側のヘッドをドラムペダルに装着したビーター(バチ)でたたいて演奏する。基本のリズムを刻む太鼓である。
ドラムペダルは右足で踏むが、複雑かつ早いビートを刻めるよう、左足側にもリモート式のペダル(ツインペダル、左足側はスレイブと呼ぶ)を付けることがある。
スネアドラム
前述のように、奏者の膝の間に置くドラムである。大きさは通常14インチ、深さは3インチから8インチが一般的である。裏面にスネア(スナッピー)と呼ばれる線がついていて、バシッという歯切れの良い音を出す。
奏者がいすに座った状態で、ベルトの位置ぐらいに打面が来るよう高さを調節する。
他のドラムもそうだが、真ん中は叩かずに、縁から1/3程度の位置を叩く。ドラムセットの場合、他の楽器との兼ね合いで奏者から見て真ん中より向こう側を叩くことが多い。(手前を叩くようにすると、他の楽器が遠くなって叩きにくくなる。)
HR/HMのドラマーの場合、パワーを出す都合上打面の真ん中を叩く事が多い。
スネアを外した状態だと非常に甲高い音に鳴るがグラインドコア系のドラマーでは敢えてスネア無しのスタイルで叩く者もいる。
タム
その他の太鼓である。フィル・インやドラム・ソロで使われることが多い。
通常は口径と深さによってハイタム、ロータム、フロアタムの3種を使う。奏者によっては異なる大きさのタムを大量に並べたり、逆に全く設置しなかったりということもある。
小径のタムは専用のホルダー(ブーム式スタンドやラックの場合もある)でバスドラムの上に置き、フロアタムは足をつけて床に直接置く。
基本は左から順に小さいタム~大きいタムを設置する構成になる。
シンバル類
シンバル自体の説明はシンバルの項に譲り、ここでは設置位置や外形について説明する。
ハイハット
二枚のシンバルをペダルで開閉できるようにした楽器である。直径は14インチが一般的である。
スネアドラムの左に置き、ペダルを左足で操作する。高さはスネアドラムよりもやや高い程度になり、上から見たときにはスネアドラムにかぶっていることが多い。
閉じた状態でシンバルを叩くことが多いが、ペダルでやや開いた状態にして叩いたり、あるいはペダルを使って直接2枚のシンバルを打ち合わせたりする。
両手を使ってタムや他のシンバルを叩いている間にも、左足で基本ビートを刻んでいたりするため、ハイハットのペダルから足を離すことは少ない。
ツーバス(ツインペダル)の場合、半開きの設定で固定することによって左足を常時スレイブに置くことが出来る。
クラッシュシンバル
よく小節の頭やアクセントとなる位置でジャーンとシンバルが鳴ることがあるが、それはこのクラッシュシンバルの音である。
大きさはだいたい18インチぐらいで、奏者から見て左側、ハイハットの右上あたりに設置することが多い。タムより径が小さいものはスプラッシュと呼ばれる。
ライドシンバル
クラッシュシンバルよりもやや大きく厚いシンバルで、20インチ程度の物が一般的である。
奏者から見て右側、フロアタムの左上あたりに来る。
クラッシュシンバルのようにアクセントとして使うよりも、ハイハットと同様リズムを刻むのに使われる。エッジ(端)部分は低いジャーン、ボウ(面)部分はチンチンチン、カップ部分はカンカンカンと表現が多彩。
チャイナシンバル
通常のシンバルとは逆方向に反ったシンバルで、カーン!と音が鳴る。基本のセットに置かれない場合が多い。
その他の楽器や小物など
- 曲によっては、電子ドラムのパッドやトリガー(ピックアップ)をセットしたり、カウベルなどの小物打楽器を隙間につけたりする。
- ドラムスティックが折れたり飛んだりといったハプニングは結構あるので、多くのドラマーは予備のスティックなどを入れるホルダーをフロアタムにつけている。このホルダーは折りたたむとスティックなどをまとめて運ぶバッグとなる。通例ドラムセットは持ち運ばないので、日常シーンで他のバンドメンバーがギターケース等を背負っているときは、ドラマーはスティックバッグやスネアドラムのソフトケースなどを持っていることが多い。
- 現実のドラマーはライブでもスタジオでもスネアと(ツインペダルなら)ペダルケースを持ち歩くのが基本である。何故ならこれだけでもギタリスト以上に非常に重たくなるためで運転免許を持ってない限り自分が持ち運べる必要最低限は必然的にこの二つなるためである。(軽い素材を謳っても所詮は金属パーツが多く使われるので重たい。)選ばれる理由はドラマーにとってスネアはギタリストの持つギターと同様演奏者にとっての個性であり要であることと、ペダルは使い慣れたものや自分に合ったものが望ましいことから。ライブハウス及びスタジオは基本的なセットを貸してくれるがツインペダルとチャイナは用意されておらず使い手である場合は自分で用意するか別料金で頼むしかない。
- ステージの視覚効果も兼ねて、奏者の後ろにドラを置いたりすることもある。
- その他いろんな小物があるため、ドラムセットのカタログは見ていて飽きない。
主なメーカー
YAHAMA(日本)
Pearl(日本)
TAMA(星野楽器・日本)
CANOPUS(日本)
Drum Workshop(アメリカ・通称:DW)
ddrum(アメリカ)
Gretsch(アメリカ)
Ludwig(アメリカ)
MAPEX(台湾)
Premier(イギリス)
SAKAI(日本)
SONOR(ドイツ)
関連イラスト(細部参照)
関連タグ
田井中律 (※彼女のセットはHIPGIGというやや特殊なセットである。2014年に製造が終了の為、入手困難状態)
堀川雷鼓@東方Project
代表的なドラムプレイヤー
菅沼孝三
ドラム界屈指の変態。その変態的超絶技巧から「手数王」の愛称を持つ。
神保彰
70年代の後半から”フュージョンの代名詞”の異名を持つ「CASIOPEA」で活動、現在も精力的にサポート活動を展開中。
則竹裕之
1986年に「THE SQUARE」に加入。F1グランプリテーマ曲「TRUTH」のドラムスを担当する。
坂東慧
菅沼孝三の門下生。
2005年に「T-SQUARE」の正式メンバーとして加入。以降同バンドのドラマーとして活動中。
川口千里
菅沼孝三の門下生。
「手数姫」「千里観音」などの異名を持つ天才少女ドラマー。田井中律のファンでもある。
ジョジョ・メイヤー
凄まじいリズムキープ能力の高さから、初めて聴いた人は確実に打ち込み系のドラムと思い込んでしまう。
一部では人力ドラムンベースとすら呼ばれる。