とんでもマルチバース
とんでもまるちばーす
概要
様々な利権問題で長らく開発が途絶えていたクラッシュ・バンディクーシリーズの最新作。
時系列は『3』の直後ということであり、約十年の沈黙を経て復活した完全新作である。
原題の『It's About Time』は「時間だぜ」という意味で、「新作の時間だぜ」という意図で名付けられた。
日本では約20年ぶりに『クラッシュ万事休す』がCMの一環として完全復活し、今作で初めて海外CM曲としても採用されている。
おはなし
前作『3』でタイム・ネジネジマシーンの自壊に巻き込まれ、遠い惑星に囚われていたコルテックス達だったが、苦労の末、時空に穴を開ける方法を編み出し脱出に成功した。
更にはその方法を使ってクラッシュたちへの復讐を図り、懲りずに世界を征服しようと企む。
アクアクから異変を教えられたクラッシュたちは、世界を救うのに必要な4つのマスクの力を借りるため時空を股に掛ける大冒険に出るのだった。
システム
従来のアクションに加え、壁ダッシュ、ロープスイング、レールグラインドなどや下記のマスクを用いたステージギミックが特徴。
今作はこれまで通りの残機制の「レトロモード」の他、残機制を排した「モダンモード」が実装(そのため全体的に難易度は非常に高い)。
どちらでもそのステージで何回死んだかが表示されるようになり、ノーミスでステージを進むと高難易度ステージに挑戦するためのアイテムが手に入る。
更には同じステージでも仕様の異なる「あべこべモード」という裏ステージや、クラッシュorココのステージ攻略時他のキャラたちの視点で進む「タイムライン」、初代クラッシュが始まる前のコルテックスの実験記録「きおくのカケラ」が追加。
様々なチャレンジやダイヤ、タイムアタックなどのやり込み要素も健在。
今作はクラッシュたちの外見を変えられるスキン機能が実装され、ダイヤの取得数などに応じてスキンが増えていく。
収集アイテム
- ウンパ・フルーツ(リンゴ)
クラッシュの大好物であり、レトロモードでは100個集めると残機が増える。
今作はステージ内に配置されている総数が決まっており、獲得した割合に応じてゴール時にダイヤが貰える。
あべこべモードでは『リンガ・ベリー』というブドウになるが見た目以外は変わらない。
なので以下フルーツで統一。
- 箱
クラッシュ2にまで登場した全ての箱が登場し、新たに一定間隔で炎を吹き出す火炎放射箱が追加された。
全て壊してゴールするとダイヤが貰えるのは恒例だが、今作はかなり見つけ辛い配置をされていることが多い(特にタウナとディンゴのステージ)。右スティックでカメラを僅かに動かせるので隈なく探す必要がある。
- カラーダイヤ
各ステージに6個ずつ、あべこべモード含め12個ある白ダイヤ。
獲得条件はフルーツを一定数集めてゴール(最大3個)、箱全破壊、ミス回数3回以内でゴール。そしてステージ内に隠されたひみつダイヤを見つける。
それらとは別に4色のカラーダイヤも存在するが、ステージ含め場所はほぼノーヒント。
ステージ背景に目を凝らせば落書きでヒントが描かれているが、気付かない人はスルーするレベルでわかりづらい。
- きおくのカケラのテープ
特定のステージ道中に置いてあるVHS。手に入れるとステージ選択画面から「きおくのカケラ」に挑戦できる。
ただしテープがあるところまでノーミスで行かないといけない。歴代で言うドクロの足場のようなもの。
きおくのカケラではステージごとに、箱を壊した数に応じてトロフィーが貰える。
- レリック
鬼門その一。
お馴染みタイムアタックで貰えるのだが、今作はスピードシューズが廃止されている為代わりに新アクションのトリプルスピンで加速していくのだが、慣れないうちはかなり難しい。プラチナの設定も厳しいので要練習。
- ブッとびパーフェクトトロフィー
鬼門その二。
ステージをノーミス&全ての箱を壊してゴールで獲得できる。
ステージ一つ一つが長くて難易度が高く、アクアクがいても即死になるポイントが多い今作では非常に難しい。
登場人物たち
CVは日本語版のものだが、クラッシュのみ全世界で共通した声が採用されたため配役がなく、ウカウカもセリフが掛け声のみのため、原語流用になっている。
また、キャストの多くはオリジナル版を意識しつつ主にリマスター版からの続投である。ただコルテックスは飯塚昭三→板取政明にキャストが変更されている。
本作はマルチバースを題材としてることから、ボスキャラは科学者のみの構成となっている。
ちなみに3の続編ではあるが過去作と時間が空いた事が理由か設定が一新されてるらしく日本語版独自設定を抜きにしても過去作と相反する描写が多い。
そのため続編でありながら新シリーズとしての要素も強い。
(マルチバースというタイトル通り、明かされた設定が別次元の話で本作のメインストーリーとは関係ないという可能性も一応あるが…)
お馴染み脳ミソ筋肉な主人公。コルテックスたちの策略で異時空へ飛ばされ、彼らの野望を止めるために旅立つ。新たに自撮りが趣味となっており、ボス戦の真っ最中でも行える呑気さを見せる。
トリロジーでは毛並みがふさふさでリアル寄りのデザインだったが、今作はどちらかというとアニメチックなデザインになっており、頭の毛の色も変わっている。世界共通で通じるビジュアルとなったため、日本版のパッケージも本作では海外とほぼ同じである(日本版だけ五本指になっているともされるが、外観ではほぼわからず。
元々作中ではコースクリア時で掛け声をあげるだけなどほとんど喋らないキャラだったこともあり、今後は英語版の声優に完全統一する方針が本作で正式にアナウンスされた。よって本作でも山口勝平による新規吹き替えボイスは収録されていない。
過去作では元々二足歩行だったという設定だったが、本作ではコルテックスが本当にただのバンディクートを改造してクラッシュを生み出した事になっている。
頭脳明晰なクラッシュの妹。これまでは使えるステージやアクションの少なさから劣化と呼ばれることもあったが、今作ではクラッシュが操作できるステージなら彼女を操作することが出来る。
トレードマークのノートパソコンはタブレット端末に。イベントシーンでは喋らない兄の代わりによく喋る。
トリロジーではややむくんだ顔つきだったが、兄同様にデザインが変更されたことでより可愛いらしいビジュアルとなった。
過去作ではクラッシュと同じく元々二足歩行で1の頃は都会に住んでいたが、本作ではクラッシュと同じくコルテックスの改造によって生み出された事になっている。
初代からお馴染みの守護神のマスク。歴代シリーズではプレイヤーに追随していたが、本作はプレイヤーの周囲を回るようにして守ってくれる。シナリオには序盤を除くとそこまで介入しない。
今作はステージクリアでアクアク・マスクを持ち越すことができない。
かつての原語版での担当声優であるメル・ウィンクラーは、同年6月11日に死去しており、とあるシーンではアクアクの仮面を持ったメルのイラストと共に故人を偲ぶ追悼メッセージが表示される。
歴代シリーズから続くお馴染みの悪党。一部ステージでプレイアブルとして使用可能で、敵を足場に変える特殊な光線銃や、空中ダッシュを用いたギミックで攻略していくことになる。
過去作から一番設定変更を受けており、クラッシュ、ココの生みの親になる、エヌ・ジンとの面識の変更など数が多い。特にクラッシュに対する思い入れが強く、これを知るとシリーズを見る目が大きく変わるほど。
『3』で初登場した犬(ディンゴ)とワニの合成獣。
まさかのプレイアブル化。火炎放射器ではなくバキュームを用いたアクションを使う。
悪事から足を洗ってレストラン経営に勤しんでいたが、CMですらお店がディスられるという有様であった。
ある晩そんなレストランを爆破され、さらにコルテックスたちの行いが原因でマルチバースに巻き込まれる。
- タウナ・バンディクー(CV:戸田亜紀子)
初代クラッシュのヒロイン。
まさかまさかのプレイアブル化。厳密には過去作のタウナとは別の存在で、地球がマルチバース化したことでやってきた「別時空のタウナ」。
スピンの代わりにローリングソバットを行い、壁キックやグラップリングフックを用いた身軽なアクションを使用する。
『3』で初登場した科学者で、英語交じりの話し方も復活。異空間からの脱出を諦めず、ウカウカを利用して時空の穴を開けさせた。その後はまるで親玉のような態度で次元征服を狙う。
コルテックスとはウカウカという共通の上司がいた同僚という関係でしかなく、ウカウカが力尽きてからはコルテックスも下に見ている。
『2』で初登場した侍言葉で話すサイボーグの科学者。コルテックスに忠実で、自らの功績を示すためブリオと競い合う。
トリロジーではかなり人相の悪い顔をしていたが、本作でポップに作り直された。
過去作ではコルテックス、ブリオとワルワルスクール時代からの友達という設定だったが、年齢的に無理があると判断されたのかコルテックスと出会ったのはクラッシュの洗脳が失敗した後になってる。
『1』で初登場した科学者。『2』ではクラッシュに協力したが、何だかんだで元鞘に。実験できればどこでもいいらしい。
同じくポップにアレンジされているが、こちらはトリロジーと比較してもほとんど違和感のないモデリングになっている。
『3』で初登場したコルテックス達の黒幕たる悪のマスク。だが、時空の穴を開けるために力を使い果たし、本作では部下達に裏切られて実質退場となっている。しかしコルテックス使用時にアクアクの代わりに召喚される場合があり、どういう扱いなのか今一わかっていない。
クォンタム・マスク
今作の鍵を握る、特別な力を持つ4つのマスクたち。アクアクとも旧知の仲。
これまでのアクアク・マスクやウカウカ・マスクは箱から取得することで一部ダメージを肩代わりしてくれたが、彼らはステージの道中に設置されるステージギミックの一部。
ちなみに彼等を取得するとアクアクのように掛け声、あるいは呪文のようなSEが聞こえる。当然それぞれ異なる。
先へ進むには彼らの協力が必要不可欠で、その力を得たクラッシュとココは独特なアーマーを纏い、マスクは背面に装着される。
ラニロリ(CV:伊藤節生)
最初に出会う青白く光るマスク。困った顔をしているのが印象的だが、喜怒哀楽の激しいかなりのお喋り。クラッシュたちのナビゲーターでもあるので出番は多い。
次元を操る能力を持っており、青い枠しか見えない足場や箱、邪魔なギミックを出現させたり消したりできる。いわゆるスイッチギミック。
アカノ(CV:中村大志)
黒い岩を削って作られたような重厚なマスク。ダークマター製らしくとても重い。口数は少なく態度もどっしりしていて、クラッシュ兄妹をビビらせた。
ダークマターのパワーでスピンアタックを強化する能力を持ち、『竜巻スピンアタック』以上の持続時間と滞空だけでなく、ボディプレスでしか壊せなかった鉄ワク箱の破壊や、敵の弾の反射等が可能となる。ただし爆発には無力で、スピン中は静止できないので回り過ぎに注意が必要。
カプナワ(CV:土門敬子)
時計の針と、月の満ち欠けが描かれた縁取りが特徴のマスク。陽気で悪戯好きなお婆ちゃん。
身に着けた者以外の時間を鈍化する能力を持ち、一瞬しかタイミングのない足場を踏んで渡ったり、障害物を遅くして避けたりできる。触れたらアウトのニトロ箱を踏んでも、即座に飛び立つことで実質無効にする事が可能。
イカイカ(CV:杉山紀彰)
上下の矢印を合わせた形状をした緑色のマスク。顔が二つあり、穏やかな老人と悲観的な少年の二重人格。
重力を反転させる能力で天井を走ることが可能。ただし当然ながら天井のない所で反転するとミス扱いになる他、跳んでいる最中に何度も反転させて滞空し続けるようなことはできない。
余談
日本では2001年にPS2で『さくれつ! 魔神パワー(海外版はThe Wrath of Cortex)』という副題でクラッシュ・バンディクー4が発売されているが、海外ではこの作品は外伝的な扱いとなっておりナンバリングが振られていない。
当時利権を持っていたコナミが独断でナンバリングを振ったためとされている。が、一応『3』でもナンバリングは存在しない(示す要素はある)こと、システムは概ねシリーズを踏襲していたこと、下記の通り本作でも意識したところもあるため、『魔神パワー』も決して無理なナンバリングというわけでもない。汚い言い方をすれば評判が悪かったために外伝にしたともとれる。
偶然か意図的かは不明だが、一応どちらも4つのマスクが物語の主軸である。しかし『魔神パワー』では恐ろしい敵として、『マルチバース』では頼もしい味方として登場しており、真逆の立ち位置になっている。
旧4を意識しているところとしては、序盤にクランチに関するメモが貼ってあるなどもある。よって海外でも実質『魔神パワー』が4とみなされていたきらいはあるようである。
紆余曲折あったが、結果的に日本では全く違う「クラッシュ4」が二つ存在することになってしまった。混同を避けるため『魔神パワー』の方を「旧4」、こちらの『マルチバース』を「新4」と呼び分ける人もいる。
また、トロフィー名やステージ中に見つけられる小ネタでクラッシュバンディクー5やアドバンスと言った他作品の要素も存在する。
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関連タグ
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