とんでもマルチバース
とんでもまるちばーす
様々な利権問題で長らく開発が途絶えていたクラッシュ・バンディクーシリーズの最新作。
時系列は『3』の直後ということであり、約20年の沈黙を経て復活した完全新作である。また、純粋なアクションゲームとしては『5』以来の完全新作でもある(海外を含めても2008年発売の『Mind Over Mutant』以来)。
原題の『It's About Time』は「時間だぜ」という意味で、「新作の時間だぜ」という意図で名付けられた。
2020年10月2日にプレイステーション4とXBOXONEにて発売されたが、翌年の3月12日にPS5・Xbox Series X|S・PC・Switchに移植された。
日本では約20年ぶりに『クラッシュ万事休す』がCMの一環として完全復活し、今作で初めて海外CM曲としても採用されている。
前作『3』でタイム・ネジネジマシーンの自壊に巻き込まれ、遠い惑星に囚われていたコルテックス達だったが、苦労の末、時空に穴を開ける方法を編み出し脱出に成功した。
更にはその方法を使ってクラッシュたちへの復讐を図り、懲りずに世界を征服しようと企む。
アクアクから異変を教えられたクラッシュたちは、世界を救うのに必要な4つのマスクの力を借りるため時空を股に掛ける大冒険に出るのだった。
従来のアクションに加え、壁ダッシュ、ロープスイング、レールグラインドなどや下記のマスクを用いたステージギミックが特徴。
今作はこれまで通りの残機制の「レトロモード」の他、残機制を排した「モダンモード」が実装(そのため全体的に難易度は非常に高い)。
どちらでもそのステージで何回死んだかが表示されるようになり、ノーミスでステージを進むと高難易度ステージに挑戦するためのアイテムが手に入る。
更には同じステージでも仕様の異なる「あべこべモード」という裏ステージや、クラッシュorココのステージ攻略時他のキャラたちの視点で進む「タイムライン」、初代クラッシュが始まる前のコルテックスの実験記録「きおくのカケラ」が追加。
様々なチャレンジやダイヤ、タイムアタックなどのやり込み要素も健在。
今作はクラッシュたちの外見を変えられるスキン機能が実装され、ダイヤの取得数などに応じてスキンが増えていく。
収集アイテム
- ウンパ・フルーツ(リンゴ)
クラッシュの大好物であり、レトロモードでは100個集めると残機が増える。
今作はステージ内に配置されている総数が決まっており、獲得した割合に応じてゴール時にダイヤが貰える。
あべこべモードでは『リンガ・ベリー』というブドウになるが見た目以外は変わらない。
なので以下フルーツで統一。
- 箱
クラッシュ2にまで登場した全ての箱が登場し、新たに一定間隔で炎を吹き出す火炎放射箱が追加された。
全て壊してゴールするとダイヤが貰えるのは恒例だが、今作はかなり見つけ辛い配置をされていることが多い(特にタウナとディンゴのステージ)。右スティックでカメラを僅かに動かせるので隈なく探す必要がある。
- カラーダイヤ
各ステージに6個ずつ、あべこべモード含め12個ある白ダイヤ。
獲得条件はフルーツを一定数集めてゴール(最大3個)、箱全破壊、ミス回数3回以内でゴール。そしてステージ内に隠されたひみつダイヤを見つける。
それらとは別に4色のカラーダイヤも存在するが、ステージ含め場所はほぼノーヒント。
ステージ背景に目を凝らせば落書きでヒントが描かれているが、気付かない人はスルーするレベルでわかりづらい。
- きおくのカケラのテープ
特定のステージ道中に置いてあるVHS。手に入れるとステージ選択画面から「きおくのカケラ」に挑戦できる。
ただしテープがあるところまでノーミスで行かないといけない。歴代で言うドクロの足場のようなもの。
きおくのカケラではステージごとに、箱を壊した数に応じてトロフィーが貰える。
ステージ道中では1の事件が起こる前までのクラッシュ誕生の研究しているコルテックス達のセリフがながれる。
- レリック
鬼門その一。
お馴染みタイムアタックで貰えるのだが、今作はスピードシューズが廃止されている為代わりに新アクションのトリプルスピンで加速していくのだが、慣れないうちはかなり難しい。プラチナの設定も厳しいので要練習。
- ブッとびパーフェクトトロフィー
鬼門その二。
ステージをノーミス&全ての箱を壊してゴールで獲得できる。
ステージ一つ一つが長くて難易度が高く、アクアクがいても即死になるポイントが多い今作では非常に難しい。
※設定やCVなどの詳細については、個々の記事を参照。
プレイアブルキャラクター
- クラッシュ・バンディクー(CV:スコット・ホワイト(全世界共通))
お馴染み脳ミソ筋肉な主人公。悪の科学者たちの野望を止めるため、時空をまたにかけた大冒険へと旅立つ。
時代の流れか、新たに自撮りが趣味となっており、ボス戦の真っ最中でも行える呑気さを見せる。
頭脳明晰なクラッシュの妹。これまでは使えるステージやアクションの少なさから劣化と呼ばれることもあったが、今作ではそれら全てをクラッシュと共有できる。
トレードマークのノートパソコンはタブレット端末に。イベントシーンでは喋らない兄の代わりによく喋る。
歴代シリーズから続くお馴染みの悪党。一部ステージでプレイアブルとして使用可能で、敵を足場に変える特殊な光線銃や、空中ダッシュを用いたギミックで攻略していくことになる。
『3』で初登場した犬(ディンゴ)とワニの合成獣。
まさかのプレイアブル化。火炎放射器ではなくバキュームを用いたアクションを使う。
悪事から足を洗ってレストラン経営に勤しんでいたが、CMですらお店がディスられるという有様であった。ある晩そんな店を爆破され、さらにマルチバースに巻き込まれて冒険する羽目に。
- タウナ・バンディクー(CV:戸田亜紀子)
初代クラッシュのヒロイン。
まさかまさかのプレイアブル化。厳密には過去作のタウナとは別の存在で、地球がマルチバース化したことでやってきた「別時空のタウナ」。
スピンの代わりにローリングソバットを行い、壁キックやグラップリングフックを用いた身軽なアクションを使用する。
ボスキャラクター
『3』で初登場した科学者で、英語交じりの話し方も復活。
異空間からの脱出を諦めず、ウカウカを利用して時空の穴を開けさせた。その後はまるで親玉のような態度で次元征服を狙う。
『2』で初登場した侍言葉で話すサイボーグの科学者。コルテックスに忠実で、自らの功績を示すためブリオと競い合う。
『1』で初登場した科学者。『2』ではクラッシュに協力したが、何だかんだで元鞘に。だが忠誠心は殆どない。
サポートキャラクター
初代からお馴染みの守護神のマスク。
歴代シリーズではプレイヤーに追随していたが、本作はプレイヤーの周囲を回るようにして守ってくれる。今作はステージクリアで彼の力を持ち越すことができない。
クォンタム・マスク
今作の鍵を握る、特別な力を持つ4つのマスクたち。アクアクとも旧知の仲。
これまでのアクアク・マスクやウカウカ・マスクは箱から取得することで一部ダメージを肩代わりしてくれたが、彼らはステージの道中に設置されるステージギミックの一部。
先へ進むには彼らの協力が必要不可欠で、その力を得たクラッシュとココは独特なアーマーを纏い、マスクは背面に装着される。その際はアクアクのような掛け声、あるいは呪文のようなSEも聞こえる。
ラニロリ(CV:伊藤節生)
最初に出会う青白く光るマスク。困った顔をしているのが印象的だが、喜怒哀楽の激しいかなりのお喋り。クラッシュたちのナビゲーターでもあるので出番は多い。
次元を操る能力を持っており、青い枠しか見えない足場や箱、邪魔なギミックを出現させたり消したりできる。いわゆるスイッチギミック。
アカノ(CV:中村大志)
黒い岩を削って作られたような重厚なマスク。ダークマター製らしくとても重い。強面で口数も少なく、クラッシュ兄妹をビビらせた。
ダークマターのパワーでスピンアタックを強化する能力を持ち、『竜巻スピンアタック』以上の持続時間と滞空だけでなく、ボディプレスでしか壊せなかった鉄ワク箱の破壊や、敵の弾の反射等が可能となる。
ただし爆発には無力で、スピン中は静止できないので回り過ぎに注意が必要。
カプナワ(CV:土門敬子)
時計の針と、月の満ち欠けが描かれた縁取りが特徴のマスク。陽気で悪戯好きなお婆ちゃん。
身に着けた者以外の時間を鈍化する能力を持ち、一瞬しかタイミングのない足場を踏んで渡ったり、障害物を遅くして避けたりできる。
触れたらアウトのニトロ箱を踏んでも、即座に飛び立つことで実質無効にする事が可能。
イカイカ(CV:杉山紀彰)
上下の矢印を合わせた形状をした緑色のマスク。顔が二つあり、穏やかな老人と悲観的な少年の二重人格。
重力を反転させる能力で天井を走ることが可能。ただし当然ながら天井のない所で反転するとミス扱いになる他、跳んでいる最中に何度も反転させて滞空し続けるようなことはできない。
その他のキャラクター
『3』で初登場したコルテックス達の黒幕たる悪のマスク。だが、時空の穴を開けるために力を使い果たし、本作では部下達に裏切られて実質退場となっている。
しかしコルテックス使用時にアクアクの代わりに召喚される場合があり、どういう扱いなのか今一わかっていない。
ストーリーにはOPと召喚を除き全く登場しないので死亡したと思われたが…?
レーシングシリーズに登場していたレーサー宇宙人。
本作では、たまたま地元の近くに居付き悪巧みを始めたトロピー達に脅され、警備やタクシー代わりにこき使われている。
雪山ステージで乗り物ポジションを担う白熊の子供。本作でもあるステージで出会い操作が可能。
日本では2001年にPS2で『さくれつ! 魔神パワー(海外版はThe Wrath of Cortex)』という副題でクラッシュ・バンディクー4が発売されているが、海外ではこの作品は外伝的な扱いとなっておりナンバリングが振られていない。
当時利権を持っていたコナミが独断でナンバリングを振ったためとされている。が、一応『3』でもナンバリングは存在しない(示す要素はある)こと、システムは概ねシリーズを踏襲していたこと、下記の通り本作でも意識したところもあるため、『魔神パワー』も決して無理なナンバリングというわけでもない。汚い言い方をすれば評判が悪かったために外伝にしたともとれる。最も今までの作品のキャラクター達を蔑ろにさせず、本作の何処かでカメオ出演している。
偶然か意図的かは不明だが、一応どちらも4つのマスクが物語の主軸である。しかし『魔神パワー』では恐ろしい敵として、『マルチバース』では頼もしい味方として登場しており、真逆の立ち位置になっている。
旧4を意識しているところとしては、序盤にクランチに関するメモが貼ってあるなどもある。よって海外でも実質『魔神パワー』が4とみなされていたきらいはあるようである。
紆余曲折あったが、結果的に日本では全く違う「クラッシュ4」が二つ存在することになってしまった。混同を避けるため『魔神パワー』の方を「旧4」、こちらの『マルチバース』を「新4」と呼び分ける人もいる。
また、トロフィー名やステージ中に見つけられる小ネタで、クラッシュバンディクー5やアドバンスと言った他作品の要素も存在する。
本作から日本語版におけるクラッシュの声は全て外人の声優に統一する事になり、初代クラッシュの声を担当した山口勝平のボイスになるのはほぼ無いと思われる。…が、山口氏の声ではないがクラッシュがペラペラ喋っているシーンがあるムービーが収録されている。古株ファンとっては驚きの光景なので、気になる方はそのムービーをゲーム内で探してみるといいだろう。