概要
2010年03月30日にニコニコ動画へ投稿された、小雨大豆と酔狂倶楽部制作【酔狂文庫:【ショートショート】ビックフット】内のショート動画「よこいずむ者」
これは「よこいずむ者」とダンディな声を持つ「私」の物語だ。
※記事内の画像はイメージです。
よこいずむ者
「私」が畳の上で寝ていると、襖の影から「よこいずむ者」がこちらを見ていた。
(その姿は「私」のような手や足は見当たらず、顔だけの体だった。丸い目が二つあり、一つは長く伸びた鼻の上ともう一つは厚い唇の横にあるような姿だった。そして、その体色は「私」のような肌色だ。)
「よこいずむ者」がそばにいる日は大抵、まったく良い一日になるものだ。
「私」がベッドの上で憂鬱に押し潰されそうになっていると、頭の上で「よこいずむ者」がつまらなそうに【いしいぼん】でいた。
(【いしいぼん】とは、「よこいずむ者」が両目を少しだけ開けて、顔だけの体を丸まめているように見える姿の事だ。)
だから「私」も一緒になってずんぐりと【いしいぼん】でしまった。
「私」がなんとなく窓の外を眺めていたら、ベランダの上で「よこいずむ者」がめそめそと【おずめ】いていた。
(【おずめ】とは、「よこいずむ者」が顔だけの体から水を流して溶けているように見える姿の事だ。)
だから「私」も大声をあげて【おずめ】かずにはいられなかったのだ。
「よこいずむ者」が喜び勇んで【ねぶりねぶり】れば、「私」も一緒になって【ねぶりねぶり】。
(【ねぶりねぶり】とは、「よこいずむ者」が何かを見つめ瞼を伸ばすなど、いつも以上に変わった形に見える姿の事だ。)
「よこいずむ者」が憤って【あびめ】いていたら、「私」も負けずに【あびめ】きぶってみせ見せるのだ。
(【あびめ】とは、「よこいずむ者」が「私」に顔だけの体を近づけて、話しかけてくるように見える姿の事だ。)
いつも「私」の側には「よこいずむ者」がいて、彼らは「私」に囁きかける。
我らと共によこいずめ。
だから「私」も遂には堪えきれなくなって、今日もこうして【よこいずむ】のだ…。
関連項目
「私」が見る「よこいずむ者」の姿を例えるなら…
目玉のおやじ…目玉に肌色の体が共通している。こちらは大きな目玉が1つに人型の体が生えている妖怪。
" あっ、またこの子変な動きしてる。 "
「私」の姿を見て、優しい声の者が可笑しそうに語りかけてきた。
「よこいずむ者」とは、
それで「よこいずむ者」が【おずめ】いたり、
それから「よこいずむ者」がまた一緒になって【ねぶりねぶり】したり、
そうして「よこいずむ者」が「私」へ【あびめ】いたり、
そして「私」が「よこいずむ者」と【よこいずむ】いでいたり、
と、これは一つの解釈である。もしかしたら「よこいずむ者」とは、「私」のような者にしか見えない人ならず者かもしれない…。
はたして「よこいずむ者」とは一体何者なのか…。
確かなことは、いつも「私」の側には「よこいずむ者」がいるという事である。
関連動画
あぁ、かくも素晴らしきかな…