概要
野生のうさぎ達の生活を描いたイギリスの児童文学。著者リチャード・アダムス(アダムズとも表記)の処女作にして代表作。アダムスはこの作品でカーネギー賞、ガーディアン賞を受賞している。
1972年に初版が発行。日本では神宮輝夫が翻訳を担当し、1975年に旧訳版、2006年に新訳版がそれぞれ刊行された。
登場するキャラクターは一部を除きうさぎ。ただし、思考・生態・文化などは感情移入しやすいように人間調にデフォルメされている。例えば本作のうさぎは共通言語「lapine」を使って会話する設定だが、現実のうさぎに声帯は無い。
また一部描写には宗教的なバックボーンが存在し、これらはキリスト教的もしくはリーダーシップ的な寓意(アレゴリー)を含んだ寓話とも評され、類似する作品に『ナルニア国物語』『指輪物語』等が例に挙げられる事がある。
1996年、続編作の『Tails from Watership Down』という短編集が展開された。
英語圏での人気は非常に高く、映画化・TVアニメ化・舞台化の他、近年でもNetflixでリメイク作品が制作されるなど、世代を超えて根強い人気を保っている。
一方、映像作品は原作改変が特に多く(特にTVシリーズ)、オリジナル展開・キャラクターの改変(一例:性別転換)はもはや恒例行事。
あらすじ
イギリスのハンプシャー州にあるサンドルフォード繁殖地の巣穴に住むヘイズルは、弟・ファイバーの「サンドルフォードを災厄が襲う」という予知を聞いた。ヘイズルは群れの長スリアラーに予知の内容を説明したが聞き入れて貰えず、現状に不満を抱く仲間を集めて群れを離れる。
行く先々の困難を退けていく内、ヘイズルは群れの長として仲間に認められた。やがて彼らは定住の地ウォーターシップ・ダウン(丘陵)へと辿り着く。
登場キャラクター
殆ど植物とうさぎ言語lapineに由来。何匹かはlapineと英語の二つの呼称が存在する。
なお、幾つかの記事は本作品から引用されたガンダムシリーズの機動兵器の単独記事として作成されている。これについては根深い問題なので後述する。
ウォーターシップダウン
ヘイズル、ファイバー(フライルー)、ビグウィグ(スライリ)、ブラックベリ、ダンディライアン、ホリー、ピプキン(フラオ)、ストロベリ、シルバー、ホークビット、バックソーン、スピードウェル、エイコン、クローバー、ボックスウッド、ヘイスタック
エフラファ
ウーンドウォート、ハイゼンスレイ、キャンピオン、ブラッカバー、バーベイン、オーキス、スノードロップ、チャービル、ネルシルタ、セスシナング
神話/伝説
エル・アライラー、インレの黒うさぎ、フリス、ラブスカトル、虹の王子、ロウズビイ・ウーフ、ハフサ
その他
キハール、スリア・ラー、カウスリップ、ルーシー、シルバーウィード
タグ付け・検索の注意喚起
2002年以降、ガンダムシリーズの作品『ADVANCE OF Z』における機動兵器の名前に本作由来の名称が引用され(※大元は植物)、そこから名前が浮上するようになった。これが日本でマイナー気味な本作の知名度向上に大きく寄与していることは間違いないだろう。
一方でpixivに限らずネットでキャラ名・関連用語を調べるとガンダム関連で埋め尽くされ(「検索汚染」)てしまうため中々本作には辿り着けない。ネット検索の際には植物由来は勿論のこと、lapine由来の名前であろうと作品名の併記・一致検索・マイナス検索(例 -ガンダム -AOZ -TR 等)を利用するなど工夫する必要がある。
本サイトでも長年ガンダム関連が記事を独占していたが、今後の記事の棲み分けは慎重に行って頂きたい。この注意喚起は両作品の記事に載せるものとする。