- 901系A編成→209系900番台、浦和電車区ウラ90編成
- 901系B編成→209系910番台、浦和電車区ウラ91編成
- 901系C編成→209系920番台、浦和電車区ウラ92編成
概要
JR東日本209系電車のうち、試作車の3編成がデビュー当初に名乗っていた形式。
浦和電車区に10両編成3本(30両)が配置、京浜東北線・根岸線用として1992年5月7日から営業運転を開始した。営業開始当日はA編成とC編成が使用され、先頭車の前面にはヘッドマークが取り付けられたほか、A編成は大宮駅で、C編成は桜木町駅において「祝 21世紀の通勤電車デビュー」と称し、出発式セレモニーが実施された。
当初は901系と称したが、1994年1月から3月にかけて量産化改造を行った上で209系の900・910・920番台とされた。901系としての落成当初は上部側面帯の色が黒色であったが、量産化に伴い下部側面帯と同様のスカイブルーに変更された。
量産化改造では209系0番台の仕様と極力合わせられたが、試作車と量産車では一部仕様が異なる。
- ドアチャイムがない
- ドア上LED表示器を搭載していない
- 車椅子スペースがない
- 車体の号車番号表示がステッカーではなくアクリル札
- スカートが小形
- 6扉車が連結されていない
3編成とも試作車であるため、それぞれの仕様は大きく異なっている。特筆すべきはVVVFインバータ装置の違いで、
- A編成はパワートランジスタを使用した直列分散方式・個別制御インバータ。原設計は富士電機。安定性が低かったため不採用となり、2001年に量産車と同じものに換装された。
- B編成はGTOサイリスタを用いた並列分散方式・個別制御の2レベルインバータ。原設計は東芝。C編成のものに一歩及ばず量産車には採用されなかったが、255系に同様のシステムが採用された。
- C編成はGTOサイリスタを用いた1C4M2群構成の3レベルインバータ。原設計は三菱電機。メンテナンス性が高いことが評価され、量産車に正式採用された。
量産化改造では主要機器はそのままであった。この特殊仕様が保守上の弱点となったことや、車体の老朽化が0番台と比べると顕著となったことから、E233系の導入を待たずして209系500番台を中央・総武緩行線から転入させる形で置き換えられた(中央・総武緩行線の不足分はE231系の追加導入で補充)。
2006年に試作車B編成にあたるウラ91編成を皮切りに、翌年の3月にはC編成ことウラ92編成が、同年の8月にはA編成ことウラ90編成が東大宮へ疎開回送された。その後3編成とも長野総合車両センターへ廃車回送されている。
保存車両
2010年より、クハ209-901が車両番号表記を登場時の「クハ901-1」に復元した上で東京総合車両センターの正門付近で保存されている。