アバドン【Abaddon】とは、『新約聖書』の「黙示録」に記される怪物(悪魔/魔神)の一種である。
概要
「ヨハネの黙示録」にて語られる"七つの災厄"の五番目に出現する存在。
その姿自体は不明であるが、彼が天使のラッパによって召喚された際に率いる奇怪なイナゴから"蝗の王"と呼ばれることもある。
また奈落の主ともされ、冷獄に封じられたルシファーを見張っているともいう。
アバドンのイナゴ
アバドンが率いるイナゴは、「金の王冠、人の顔と女性の髪、獅子の歯、蠍の尾」を持つとされ、人に襲いかかって尾の毒針で刺すという。その飛び回る様相は"戦車を轢く馬"に例えられ、おびただしい数の群れで襲来するという。
尾に付いた毒針の毒は人を殺すことはないが、死をも上回る激痛を5ヶ月ものあいだ人に与えて苦しめるという。
ただし、彼らが刺すのはキリスト教徒以外の異教徒だけであり、さらに言えば彼らは決して人を殺すことを神から許されていないという。
原形について
名前はヘブライ語で【破壊者, 滅ぼす者, 奈落の底】という意味になる。
そして原形はイナゴによる虫害であり、その神格化とされる。実際、イナゴによる虫害の威力凄まじく、1万の大群で4000kmを移動し、広大な田園を七日も経たずに食い潰すという。
創作での扱い
その正体が不明なことから、存在が類似する魔王ベルゼブブをモデルとしてイナゴ型の悪魔(怪物)として描かれることが多い。
またアトラスのRPG『女神転生』シリーズでは、不気味な緑色の魔神として登場する。