あの女は……同じだ。みんな。
だから……消し去ってやる……。
解る必要なんてない。
ただその時が来たらあるがままを受け入れればいい。
現実と死をな……。
CV:緑川光
概要
肉体年齢18歳。物語の随所に登場する真紅の髪の男。3年前までは暗殺者イドとしてグラーフと共に行動していた。6年前にはエルルにて暴走を始め、敵味方問わぬ大虐殺を繰り広げた。その際にヴェルトール・イドに乗り込んでカーラン・ラムサスに命乞いさせるほどに追いつめ、強烈な敗北感を植え付けた。このためラムサスには強い敵意と憎悪を向けられ、当時を知る人々には「エルルの悪魔」と呼ばれる。
イドが姿を見せる時、そこには必ず破壊と殺戮がもたらされる。
主人公と非常に似た技を使ったり、ラムサスからも「同一人物では?」と見られるなど謎が多い。
性格
強者に興味を示すなど戦闘狂としての一面を持つが、基本的には破壊そのものを目的として行動する。このため話し合いでの意思疎通は不可能に近く、誰の言葉に対しても耳を貸すことはない。
また自分を害する存在には命を持って贖わせる冷酷さを持つ。
戦闘力
作中屈指の実力者。当時12歳くらいだったにも関わらず生身でギアを何機も殴り倒すという芸当を見せている。生身での戦闘力がこれなのだから、当然ギアを用いた力も凄まじい。初対決で用いた機神黒掌のインパクトはかなりのもの。
この技はレベルを上げれば主人公の最強技として使用できるようになるが、モーションは異なる。
搭乗ギア
ヴェルトール(ラハン村壊滅時)
ヴェルトール・イド(代表的な機体。イドと言えば大体これ)
ヴェルトール2(カーボナイト凍結を破った後、ゾハルと接触するために使用したという説明のみ)
ゼノギアス・イド(最後に搭乗した機体)
正体
その正体は、主人公フェイの中に存在する第二人格。実は「主人公フェイ」はイドの下位人格(第三人格)であり、父カーンに記憶を封印されたイドに代わって誕生した(フェイと外見や服装が違うのはゾハルの力によるもの)。記憶の封印と主人格「臆病者」の存在によってイドは表に出て来れず、フェイに過去の悪夢などを見せることで自分が表出しやすくしていた。フェイがどうしようもない絶望や悲しみに襲われた時、それをスイッチとして表出する。なお、イドが出ている間はフェイは眠っているため、その間の出来事はフェイの記憶に残らない。逆にフェイが目覚めればイドも引っ込まなければならず、また暴れるなどして精神エネルギーを消費するとしばらくの間、表に出て来れなくなる。
誕生までの経緯
幼少のフェイ(臆病者)はミァンとなった母から人体実験に掛けられたことで苦痛を味わい続け、それから逃れるためにもう一人の人格を生み出した。これがイドである。グラーフがフェイ(臆病者)を連れ去ろうとした時、打ちのめされる父親の姿を見て接触者としての力が暴走。自分自身が攻撃に巻き込まれそうになるが、自分を取り戻した母によって庇われる。その際に臆病者は精神の奥に引っ込んでしまい、代わりに表出したイドは「自分の力が母を殺した」という結果だけを押しつけられてしまう。このため「破壊によってしか人との一体感を得られず、だから全てを破壊するしかない」と思い込むようになってしまった。グラーフと行動を共にしたのは両者の目的が合致したためと思われる。
そして3年前、グラーフはイドの肉体を奪って一体化しようとする。だが父カーンに阻まれ、イドは記憶を封印された。
フェイの肉体を乗っ取った時はメイン画像のような姿になるが、精神世界で出て来る時は「臆病者」と同じく幼少期の姿で登場する。
劇中での活躍
臆病者が精神の奥に引っ込んだ後、グラーフによって次代の肉体として鍛え上げられる(つまりフェイが使っている技はイドのもの)。3年前にはついにグラーフとの合一を迎えようとするが、父カーンによって阻まれる。父によって記憶を封印され、ラハン村が襲撃されるまでの3年間、イドは精神の奥に引っ込むこととなった。
グラーフの策略によってラハン村が戦場になった際、フェイの前で親友が命を落としたことでイドが表出。ヴェルトールの力を用いて敵味方問わず破壊の限りを尽くした(このため村人たちには「フェイ」が破壊活動を行ったと誤解された)。
その後、キスレブ国境艦隊(元アヴェ王国駐留部隊)の指揮官ヴァンダーカムとの戦いで友軍が次々と倒され、フェイの感情が揺らいだことで再び表出。ヴァンダーカムを撃破した後、勝負を挑んできたラムサスのワイバーンを軽々と大破。更に居合わせたバルトにも勝負を挑み、圧倒。バルトを救うべく特攻してきたユグドラシルを持ち上げ、バルト諸共砂漠の底へと葬った。
その後、気絶したフェイはキスレブ軍に捕らわれの身となる。バトリング(ギア同士が闘うトーナメントのようなもの)に参加したところ、リコの部下の独断でヴェルトールに爆弾を仕掛けられ負傷してしまう。その間隙を突いてイドが出現し、「フェイ」を害したハインリヒとレオナルドを抹殺した(死体はモンスターに食べられたので、イドの仕業とは気づかれなかった。ただしシタンやリコには疑われていた)。
その後、ラムサスとの戦いでフェイが昏睡状態になった時に表出し、ストーン司教と仲間たちの戦いの場に登場。仲間たちと戦いを繰り広げるが、父カーンの介入によって足止めを受け取り逃がした(ストーンが遺構から連れ出したエメラダを取り戻そうとしていた)。
終盤では、フェイがエリィの両親の悲劇を目の当たりにしたことでそれをスイッチに出現。ソラリスを破壊し尽くし、多数の犠牲者を出した。続けて仲間たちにも襲い掛かるが、エリィの決死の説得により人格がフェイに戻ってしまった。
しかし、そのエリィがデウスと一体化してしまい、フェイは様々な現実から目を逸らしてしまう。結果、イドはついにフェイの精神の抑えつけることに成功。ゾハルとの第三次接触を得て完全なる力を得、世界を滅ぼすための手段を得ようとする。仲間たちとカーンが駆けつけた時は、ヴェルトール2は真紅の機体ゼノギアスへと変貌しており、その力を用いて圧倒する。
しかし、仲間たちの呼びかけに応えたフェイはイドに飲み込まれることなく自分を保ち続けていた。そして臆病者に呼ばれたことで、臆病者、イド、フェイの三人の人格が一堂に会する。臆病とイドは互いに「母を殺した罪」を押しつけ合っていたが、フェイは「母さんを殺したのは俺たちだ」と臆病者を叱咤。イドに隠していた上記の真実を見せさせた。これにより「母の愛」を知ったイドは当初は動揺したものの、フェイの言葉に応じ、人格の統合を受け入れる。
実はイドは、ゾハルの力だけではなくフェイの前世の記憶も持っていた。人格が分裂したきっかけはミァンの虐待によるものだが、多重人格になってしまったのはゾハルが原因とのこと。
こうしてすべての人格は統合され、禍々しい真紅のゼノギアスは、清浄なる白き機体へと生まれ変わったのだった。
関連タグ
ヒカリ(ゼノブレイド2):同じく強大な力を持った上位人格。ただし色と「逃避を目的として生み出された別人格」と言う点ではホムラと似ている。
サラ・キッド・ジール:イドのオマージュ。