概要
トヨタが製作し、ル・マン24時間レースに投入したレーシングカー。
正式な車名はGT-Oneだが、一般にTS020と呼ばれる事が多い。
設計はTTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ。後のTMG)で行われた。
戦績
1998年に3台が参戦しデビュー。
本戦ではミッショントラブルが多発し2台がリタイア。
残った1台が総合9位を獲得するに留まった。
翌1999年には改良を加えて再び3台が参戦。
BMW、メルセデス・ベンツ相手に善戦したが、ここでも運悪く2台がクラッシュによりリタイア。
残った1台は命運を託され、怒涛の追い上げでトップを狙うも、直線でタイヤがバーストして緊急ピットインを余儀なくされ、結局2位に甘んじた。
引退試合となった同年の富士1000kmも2位で終え、一度も優勝を掴むことは無かった。
しかし、ル・マンではファステストラップを連発するなど戦力の高さは本物であり、後にル・マン優勝を飾ったベントレー・スピード8はTS020をベンチマークして設計されたと言われる。
優勝こそ逃したものの、その洗練されたスタイルや頭一つ抜けた速さは当時のレースファンの記憶に残り、今なお高い人気を誇る。
余談
- メイン画像の通り外観はプロトタイプカーそのものだが、市販車をベースに改造したレーシングカーの規則であるGT1の規定に合わせて開発されたため、1台だけ公道仕様車が存在する。この個体は市販されず、現在はドイツで保管されている。
- 1999年仕様のカラーリングはスポンサーであるマルボロのもの。ただし煙草の銘柄を車体に掲げることは禁止されているため、文字は入っていない。同様の事例はF1やラリーでも多数存在した。
関連項目
TS030:系譜上の後継。2012年のル・マンでデビューした。