概要
裸子植物(イチョウ目イチョウ科)の落葉高木。現代ではありふれた樹木であるがこれは人為的な植栽で広まったもの。生きた化石とも称され、外見的な形態は2億7000万年前から全く変わっていない。原産地・自生地は確認されていないが、最古の出典が中国の漢詩であるため、中国のどこかであろうと思われている。
イチョウ目の仲間は4科17属があったがその内の本種以外は、全て絶滅しており(原因の大半は氷河期)、現在は本種のみである(要するに最後の生き残り)。
学名は「GINKGO」。来日した先生が銀杏の読みであるギンキョウを「GINKJO」と書いたところ何故かこのスペルになった。漢字表記は「銀杏」。樹木を指す「イチョウ」も「銀杏」、種子を指す「ギンナン」も「銀杏」でややこしいため、区別したい場合は仮名表記が望ましい。中国では公孫樹とか鴨脚樹とか言われる。鴨脚の中国語音「ヤーチャオ」が「イチャウ」の語源という説が有力。
葉は扇形をしていて、切れ込みが入ることが多い。秋には葉が黄色に色づいてから落葉する。葉の形は広葉樹のようだが、イチョウは(裸子植物なので)針葉樹の方に近縁である(イチョウ自体は広葉樹でも針葉樹でもない)。
公害に強く、幹には大量の水分を蓄えているので耐火性もあり、街路樹に適する。火災から社寺などの建築物を守るために植樹されることもあった。
種子はギンナンと呼ばれ、食用にされるが、ビタミンB6の欠乏を引き起こす物質が含まれているため、多食は禁物である。ネコのフンのような悪臭を放つため、街路樹にイチョウの雌株を植えてあると、落ちたギンナンが歩行者に踏み潰されてえらいことになる。
一方でこの臭い成分に高い防腐作用の効果があり、簡単に腐葉土へ分解されない性質を持つ。このため化石として出土しやすい植物の一つであり、考古学では出土したイチョウの化石の種類がおおよその地質年代を割り出すヒントになるとされる。
日本の家紋でも用いられ、先の性質から【不変不滅】を意味する縁起の良い紋とされる。