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概要

ジョセフ・ロビネット・バイデン・ジュニア(英語:Joseph Robinette Biden Jr.、1942年11月20日 - )は、アメリカ合衆国の政治家。第46代アメリカ合衆国大統領。短縮形名はジョー・バイデン(Joe Biden)。ニューキャッスル郡議会議員、デラウェア州選出連邦上院議員、副大統領を歴任した。デラウェア州に移り住み、現在も自宅を構える。元々は弁護士だったが、その後政治家へ転身した。上院議員時代は外交と司法に明るい政策通・調整型の政治家として知られた。

経歴

1942年11月20日にペンシルべニア州スクラントンに誕生する。デラウェア大学で学んだ後、シラキュース大学で法務博士号を取得した。ロースクールを経て1969年に弁護士となり、1970年にデラウェア州のニューキャッスル郡議会議員に選出された。1972年1月に29歳でデラウェア州の上院議員に当選し、アメリカ史上5番目に若い上院議員となった。

連続6期も連邦上院議員を務め、外交・刑事司法・薬物問題などに取り組み、上院の司法委員会委員長、外交委員会委員長などを歴任した。

2008年アメリカ合衆国大統領選挙における民主党内での予備選挙撤退後、バラク・オバマ大統領候補から副大統領候補指名を受ける。共和党のジョン・マケイン大統領候補が副大統領へ指名したサラ・ペイリンと比べ地味であると批判された人選だったが、黒人で若く、経験値の低いオバマに対して白人中産階級出身で、大ベテランのバイデンはその欠点を埋めることができると期待されての指名だったという。この人選は概ね成功と評価されており、ペイリンが重職に就く者としての資質を疑われるような言動を繰り返す中で無難に選挙戦をこなして勝利した。

2012年アメリカ合衆国大統領選挙ではオバマ大統領と共に再選し、2期8年に渡って政権を支えた。なお1回目の出馬時、もしもの時のために上院議員選挙にも出馬・当選していた。結局当選したため規定によりすぐに辞職した。

2020年アメリカ合衆国大統領選挙において、再任を目指すドナルド・トランプと大統領の座を争い、選挙において建国以来史上最多得票を記録した上で選挙人の過半数を獲得する勝利を収めた。しかし、当のトランプが不正選挙であるとして敗北を一切認めなかったため、そのまま勝利を宣言する演説を行うことに。敗北した候補による敗北を認めて勝者を称える演説の後に、勝者による勝利宣言が行われるという慣例が破られる形となった。

2021年1月20日より正式に大統領に就任した。閣僚は副大統領・長官ポスト16のうち女性(6人)や人種的マイノリティが11を占め、「アメリカ史上多様性に最も富んだ政権」を自称する。ただし、カマラ・ハリス副大統領、ジェン・サキ大統領報道官、ピート・プティジェッジ運輸長官を除くと、ジャネット・イエレン財務長官を筆頭に60代から70代の実績あるベテランを中心とした安定感重視の顔ぶれとなり、閣僚の平均年齢は60歳を超える。

人物

一家揃ってカトリック教徒である。カマラ・ハリスが黒人初・南アジア系初・女性初と、初めて尽くしの副大統領であるため隠れがちであるが、彼もまた史上最高齢かつジョン・F・ケネディ以来2人目のカトリック教徒・史上初のデラウェア州出身者の大統領でもある。

良く言えばフランク、悪く言えば野暮で軽率なところがあり、トランプほどではないが失言癖や言い間違いが多い。重要法案が通った際、喜びのあまり公の場で思わず"This is a big fucking deal!(こいつぁクソでけぇ仕事だ!)"と極めて下品な単語を用いてしまったり、トランプとの討論会で発言を遮り続けるトランプに対して"Will you shut up, man?(兄ちゃん、黙ったらどうだ?)"と悪態をついたことも。また、トランプと同じくアルコール依存症で道を誤った近親者がいるという理由で全く酒を飲まないと公言している。

妻のジル・バイデンは、夫の大統領着任後も仕事の大学教授を続ける事を表明している(ソース)。

政治的スタンス

バイデンは連邦上院議員時代より民主党右派"リベラル穏健派・中道左派の政治家とみなされていた。大統領選挙での勝利が確定した後には民主主義国家との連帯を重視して諸問題に取り組む価値観外交を表明しており、中華人民共和国とは明確な対立路線を打ち出している。

大統領就任後は科学的見地に基づいた新型コロナウイルスへの対応など前任者のトランプ政権とは一線を画す政策を採用した。2兆2500億ドル規模の大規模な公共投資・大企業や超富裕層への増税・気候変動対策など、歴代でも最も左派色の強い国内政策を打ち出した。一方で政府調達でアメリカ製品を優先する「バイ・アメリカン」法についてはトランプ前政権と同様に運用を強化する方針である。

宗教への態度

中絶容認派(プロチョイス派)であり、この立場が理由でカトリック司祭からミサにおける聖体拝領を断られた事がある(CNN記事)。

枢機卿クラスの高位聖職者もこの聖餐の儀式にバイデンが受け入れられるべきで無いと主張している(ソース)。

2012年に同性婚肯定と合法化推進の立場を表明(ガーディアン紙記事)、2016年にはホワイトハウス職員の二人の男性の同性結婚式の立会人をつとめた(ハフポスト紙記事)。当選した暁には、LGBTQの権利を国際的にも拡大すると明言している(LGBTQ「平等法」、就任100日以内に成立目指す=バイデン氏)。

カトリックの公式見解においては、信徒である政治家はヴァチカンの公式見解に反する政策を支持してはならず(バチカン教理省『同性愛者間の結び付きに法的認知を与える提案についての諸考察』)、バイデンはこれに従っていない事になる。

しかし、個別の聖職者や保守派信徒の反発はともかく、ヴァチカン側やトップのローマ教皇が彼を名指しで直接制止しようとしたことは無い。

第266代ローマ教皇フランシスコの就任式(2013年)の際に行われたミサにはバイデンも参加している(ソース)。

また、カトリック教会も一枚岩ではなく、イエズス会などは人工妊娠中絶については一定の理解を示す立場をとっている。