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聖体

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せいたい

聖体とは、カトリックにおけるミサや東方正教会における聖体礼儀において、イエス・キリストの血肉に変化したと信じられるパンのことである。この時起こるとされる変化のことを聖変化という。

概要

パンとともに用いられるワインイエス・キリストになっているとみなされ日本語では尊んで「御聖血」とも表記される(聖体は「御聖体」)。

カトリック正教会において、聖体と聖血は比喩でも象徴でもなく、ガチでイエス・キリストの肉と血になっていると見なす。

もちろん小麦粉で出来た食べ物やぶどうを原材料とするアルコール飲料がホモ・サピエンスと血液になっていると考えているわけではない。

物体としての見た目、また材質が炭水化物やアルコールであることを踏まえながら、

そうした外観を残して実体がキリストの肉と血になっているという信仰である。

カトリックにおいてはパンとワインの実体は完全にキリストの肉と血になる、とされる。カトリック教会はこの捉え方を「全実体変化」と呼ぶ。

一方正教会はというと、キリストの肉と血に変化しつつも、その聖体はパンとワインとしての実体も残している、と見なしている。

どういうメカニズム、原理で聖変化が起こるのか、については聖霊(聖神)のはたらきであり理解を超えているとして、両教派ともそれ以上の説明を加えてはいない。

カトリックと正教会の聖体には、この他カトリックはパンに酵母を使わず、正教会は使う等の違いがある。

カトリックで使われるのは薄い煎餅のような形状をしており、ホスチアと呼ぶ。

なお、ユダヤ教過越ペサハ)祭において食されるマッツァー(マッツォ)というパンも酵母無しのものである。

薄い形状なのもホスチアと共通している。

ユダヤ人であるナザレのイエスもペサハの時期には酵母無しのパンを食べていたのだろう。

プロテスタントの諸教派では、パンとワインが実際にキリストの血肉に変化するとは考えない。

ルーテル派では、パンとワインと同時にキリストの血と肉が共に現存する(共在する)という立場、

カルヴァン派では、聖餐式という場にキリストが臨在するという説、改革派教会ではあくまで象徴であるという説を唱える。

儀式の起源とされる聖書箇所

「一同が食事をしているとき、イエスはパンを取り、祝福してこれをさき、弟子たちに与えて言われた、「取って食べよ、これはわたしのからだである」。

また杯を取り、感謝して彼らに与えて言われた、「みな、この杯から飲め。

これは、罪のゆるしを得させるようにと、多くの人のために流すわたしの契約の血である。

あなたがたに言っておく。わたしの父の国であなたがたと共に、新しく飲むその日までは、わたしは今後決して、ぶどうの実から造ったものを飲むことをしない」。(『マタイによる福音書』26章26-29節)

いわゆる「最後の晩餐」の一シーンであり、『マルコによる福音書』では14章22節以下、『ルカによる福音書』では22章15節以下に平行記事がある。

パウロによる『コリント人への第一の手紙』11章23節以下でも引用されている。ルカ伝や一コリントにあるように、イエスと彼の血(犠牲)による「契約」を記念する意味合いを持つ。

後述のヨハネ伝に「わたしは天から下ってきた生きたパンである。それを食べる者は、いつまでも生きるであろう。わたしが与えるパンは、世の命のために与えるわたしの肉である」(6章51節)とあるように、この聖体(パン)をいただくことは信仰によって神から賜る「永遠のいのち」にあずかることの象徴でもある。

「契約」とは旧約聖書の『エレミヤ書』に記された、神が未来にイスラエルの民と結ぶ「新しい契約」を指す。

契約のしるしとして血を用いる発想は『出エジプト記』24章8節でモーセYHVHに言われたままに生贄雄牛の血を祭壇と民にふりかける記事などにみられる。

血を飲むことは律法においては禁忌であり、ユダヤ教では現在も守られている。

もちろん人肉も律法で許可された食品(カシュルート)ではない。

『ヨハネによる福音書』6章では、イエスが自分を、『出エジプト記』に記された、放浪中のイスラエルの民に天から与えられたマンナ(「天からのパン」とも呼ばれる)と呼び、自分というパンを食べるように言ったシーンが描かれている。

この時ユダヤ教徒側が「この人はどうして、自分の肉をわたしたちに与えて食べさせることができようか」と反発したと記されている。

ヘブライの信仰だけでなく、異邦人(ローマ人)の文化でも人肉食は忌避されており、クリスチャンが行う聖餐は「人肉食の儀式」であるというデマが流れた。

その他

神の子の血肉に変化したパンとワイン」という呪物としても魅力のあるものであるため、キリスト教の信仰を持たないのに儀式に参列し、魔術に使うために聖体をこっそり持ち帰ろうとする者もいたらしい。

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