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福音書

ふくいんしょ

福音書とは、ナザレのイエスの教えを記した書物のこと。四つの福音書が正典として新約聖書に収められている。
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概要編集

キリスト教聖典である新約聖書に含まれている四福音書は『マタイによる福音書』『マルコによる福音書』『ルカによる福音書』『ヨハネによる福音書』である。

これらの他にもイエスの弟子の名を冠した福音書があるが、外典や偽書(旧約聖書と異なり新約聖書には「偽典」というカテゴリー名は存在しない)として正典から除外された。


伝統的な立場ではタイトル通りの名前の著者が記した福音書であるとされる。本文批評の手法を取り入れた近代聖書学では肯定されないものの、聖書学においても成立時期はナザレのイエス没後数十年内に収まり、一世紀の歴史上の人物の伝記資料としては異例のスピードで書かれたものと言える。


新約聖書において、四福音書の次には復活後のイエスの昇天の記事を含む『使徒行伝(使徒言行録)』が続き、次にタルソスのパウロらによる書簡類が続き、末尾に世界の終末と神の国の到来を描く『ヨハネの黙示録』が配置されている。


四福音書の内容編集

いずれも、イエス・キリストの誕生から死と復活までを描く伝記(聖人伝)スタイルの書物。幼年時の記述は少なく、青年期を飛ばして30才頃から磔刑死直後までの「公生涯」と呼ばれる時期の記述が大半を占める。

大天使ガブリエルによる受胎告知、聖母マリア処女懐胎、誕生と幼年期の少しのエピソードから、ヨルダン川洗礼者ヨハネから洗礼を受け、その後荒野にてサタンからの誘惑を受けるが打ち勝ち、高弟たる十二使徒と出会い、「よき知らせ(福音)」の教えを語り、聖地エルサレムにおいて当時のユダヤ教宗派(ファリサイ派、サドカイ派)その他律法学者たちと対決し、既存勢力から恨みを買い処刑されることになり、最後の晩餐後に刑場に向かい、十字架上で死亡し、その後復活する。というのが大まかな内容である。


内容は重複が多く、とくにマタイ、マルコ、ルカは書き方の視点に共通点が多く「共観福音書」と総称される。

福音書に限らず聖書テクスト一般において同じ場面や発言を記した箇所を「並行記事」といい、四福音書においては比較・研究のためにそれをわかりやすく配列した「共観表(シノプシス synopsis)」と呼ばれる書も編まれている。


四福音書の扱い編集

キリスト教において、旧約聖書はイエスがメシア(キリスト)である事を預言(予言)し、「予型」という共通する象徴的描写がなされた、と支持される。

福音書に続く部分はイエスを模範とする使徒たち弟子たちによる実践と解説であり、最後の黙示録は福音書においてイエスが予言した再臨の詳細を語ったものと言える。

開祖イエスを中心に据えるキリスト教において、四福音書は極めて重要な位置を占め、この部分だけを書写した写本も多い。

個別の福音書や四福音書のみを一冊の書物にしたものを英語では「Gospel Book」、ドイツ語では「Evangeliar」という。

ギリシャ語で福音そのものを意味するエウアンゲリオン(Evangelion)も英語表現ではこの「福音書を収めた本」を意味する事もある。

ページに彩色を施し、宝石を填め込んだ豪華な装丁がなされたものも多数現存している(外部リンク参照)。


キリスト教の教派によっては「福音書の本」を宗教儀礼に用いる所がある。東方正教会における例が有名で、儀礼用の福音書も美しい金属製カバーがつけられている。日本正教会における用語(訳語)では「金装福音経」ともいう。


外典編集

正典ではないが、おおむねユダヤ教、キリスト教と世界観を共有しているものと、グノーシス主義に基づくものとがある。

前者に属するものの日本語訳は教文館の『新約聖書外典』シリーズ、後者に属するものの翻訳は岩波書店の『ナグ・ハマディ文書』の第二集「福音書」で読むことができる。


後者では四福音書と共通する文章も多い語録式の『トマスの福音書』、裏切り者として知られるイスカリオテのユダを実は真の弟子だったとする『ユダの福音書』が特に有名である。


外部リンク編集

日本語版ウィキソース「聖書」

英語版ウィキペディア「Category:Gospel Books」

ウィキメディアコモンズ「Category:Gospel Books」

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