宗教・神話
処女懐胎と聞いて、誰もが思い浮かべるのが新約聖書に登場するイエス・キリストだと思われる。
『受胎告知』の話で有名であり、聖母マリアは神により処女の身で、男性との性交なしで身ごもり、ナザレのイエスを産んだと伝わる。
「人間の男性との性行為」なしで子を産んだ例なら他の神話にも例がある。男神とのセックスを抜きにしても。
- アレクサンドロス大王:アポロンの使者である大蛇との交わりで生まれたともいう伝承があるが、本人はゼウス(ユピテル・アモン)の子を自称しており、この伝承を載せた『プルターク英雄伝』には母オリンピアがこれを否定した発言も記されている。
- アウグストゥス:母アイティアがアポロン神殿で眠気に襲われウトウトしている所に大蛇が入って来て彼を身ごもったとスエトニウス『ローマ皇帝伝』にある。
- プラトン:ディオゲネス・ラエルティオス『ギリシア哲学者列伝』によるとプラトンの母ペリクティオネを見てムラムラして犯罪寸前にいきかけた父アリストンの夢にアポロンが現れ、彼女の身を清浄に保つよう命じる。が、プラトンには兄が二人居る。
- サオシュヤント:ゾロアスター教における救世主。性行為にはよらないものの、ザラスシュトラの精子が乙女の胎内に入って身ごもる。という形をとる。
- アッティス:キュベレー(アグディスティス)の切り落とされた男根から生えたアーモンドの木の実を手に取った川辺の娘ナナが胸に押し当てて身ごもる。性行為のシーンは無いが、ナナの性体験の有無は不明。
……がある。
しかし、これらの例は母親の処女性が不確かであったり、あからさまな性的、エロティックな要素があるという点でイエス誕生にまつわる奇跡説話とは異なっている。
このほか、ミトラスのように岩石から誕生していたり、ホルスのように叔父の企みでバラバラにされたあげく失われてしまった父のペニスを母がラピスラズリで再現し命を吹き込み、それを治して性行為をする事で身ごもっていたりする。
フィクション
- スター・ウォーズ
- シミ・スカイウォーカー:アナキン・スカイウォーカーをミディ=クロリアンの意思で妊娠した。
自然界において
交接を経ずに妊娠する例は、人間などの哺乳類では確認されていないが、虫や魚等ではわりと見られる現象である。
魚類ではドバイで飼われているトラフザメという種類の鮫が4年連続で雄の存在なしに身ごもった例、米国ネブラスカ州の動物園の水棲生物エリアで飼育されていたシュモクザメが3年間オスと出会っていないのにもかかわらず出産した例などがある。
人為による「処女懐胎」
現代人類は生物学や医学等の科学技術を駆使することにより、人工授精というテクノロジーを生み出した。その事により「処女懐胎」も現実に可能としている。
本来は不妊治療に用いるこの技術を「処女懐胎」を実現するため試みる女性も少なくはない。
(パートナーがHIVに感染しているため人工授精を選択し結果的に処女懐胎となった事例もあるようだが。)
なお某教会はこのような手段による処女懐胎は認めていない(生命倫理的な問題もあるが、それ以上に神の所業を人の子が行うことが許されないらしい。)