『繭に籠り、蚕は最後の夢を見る』
概要
インディーズゲーム制作スタジオ『NAYUTA STUDIO』によって制作された、1980年代の日本を舞台にした一人称視点のホラーアドベンチャーゲーム。養蚕の起源に纏わる茨城県の民話、金色姫伝説を下敷きにした姉妹の愛憎劇と、姉妹の子孫である主人公の秘密を解き明かす物語となっている。
マルチエンディングでエンドは全四種類。
難易度選択やオートセーブ機能、画面酔い軽減機能などプレイヤーに優しい機能がある。
また本編以外にも昔懐かしい10円ゲームで遊べるやり込み要素や、テレビ視聴ギミック、卵の秘密、10円ゲームの当たり券の意味など小ネタも充実している。特にやり込み要素の10円ゲームに至っては、プレイヤーによってはこっちが本編と語るほど熱中してしまう人もいる。
主題歌は作詞・作曲・編曲:えびかれー伯爵氏,歌唱:朝木ゆう氏の『繭籠り』。
2023年10月9日に無料体験版がSteamで配信され、その翌々月の12月7日に製品版が発売された。
一部アイテムは体験版から製品版への引継ぎが可能となっている。
ゲーム自体はプログラマーUTUTUYA氏とデザイナーのKOZUE氏の二人だけで作られた。
あらすじ
――198X年
親元を離れ都会で下宿生活を送る男子大学生、陣場湊。
ある夜、湊は父栄治から母方の祖母である深山絹が危篤だとの知らせを受け、
母の生家がある山深い村「一ノ瀬」へと向かった。
幼い頃会ったきり、十年以上疎遠だった祖母。
実の娘である亡き母の葬儀にすら顔を出さなかった祖母に
湊は以前から嫌悪感を抱いていた。
田舎道を進むバスに揺られながら
たった一度祖母と話した時のことを思い出す。
「――お蚕様はね
たとえ繭を出られても
もう口はないし 飛ぶこともできない
卵を産んで死んでしまうの」
「人がそういう虫にしてしまったのよ」
赤く染まる空と山の影が迫る夕暮れ。
湊はこの地で
窒息するような恐怖と隠された真実を知ることになる。
(配信サイトから引用)
登場人物
- 陣場湊(じんば みなと)
今作の主人公。親元を離れ、都会で下宿生活をしている男子大学生。祖父と母の件で母方の祖母である深山絹のことを嫌っている。
祖母の危篤の知らせを受け、父に先んじて祖母の暮らしていた『一ノ瀬』へ足を踏み入れる。ところがその日の晩に祖母宅の庭で謎の白い大女と遭遇。それをきっかけに一ノ瀬の怪異と母の実家・深山家に纏わる因縁に深く関わっていく。
大学ではオカルト同好会に入ってるらしい。
- 陣場栄治(じんば えいじ)
湊の父親。絹が危篤になった事を湊に知らせる。湊と同じ様に絹の事をあまり良く思っておらず、10年以上疎遠にしていたものの、今回の一報を受けて絹の世話をするため一ノ瀬へ向かう。
しかし絹の危篤に関わるトラブルが原因で湊と合流出来なくなってしまい、そのため劇中では一度も登場せず、声だけの出演となっている。
- 陣場結(じんば ゆい)
湊の母親で本編では既に故人。母であり湊の祖母である絹に対して苦手意識を持っていた様であり、その反動からか父であり湊の祖父である佐一の事を頼っていた。
少女の頃からのとある性質に悩んでいた。湊の悪夢で確認できる容姿は大層な美人。
- 深山佐一(みやま さいち)
湊の祖父。井戸に落下した事故で亡くなっている。娘の結に信頼され、湊のこともよく可愛がっていたため彼からも好かれていた。
- 深山絹(みやま きぬ)
湊の祖母。気難しい人物で人付き合いも悪く、佐一が亡くなった事を湊達に知らせなかった事、そしてそれが元で起きた悲劇のために、湊から嫌われている。外にあまり出たがらないらしいが……。
- 深山綾乃(みやま あやの)
絹の家の仏間にある遺影で確認できる美女。絹の姉妹にあたる女性で若くして亡くなったらしい。容姿は湊の母・結に酷似している。かつて行方不明になってしまったらしいが…。
- 深山久兵衛(みやま きゅうべえ)
深山家当主にして綾乃・絹の両姉妹の父親。湊の曽祖父にあたる。蚕種業で財を成した金満家だが、娘達には厳しく接していた模様。綾乃の災難を前に何とか娘を救おうと死に物狂いで文献を読み漁り、その方法を探していた。その結果、『ウツロ』なる秘薬の開発に成功するが…。手記のみの登場人物。
- 島村彌平(しまむら やへい)
深山家の主治医。当主の久兵衛とは友人関係にもあった。主に体の弱かった綾乃の検診をしていたものの、事件以降日を追う毎に変容する綾乃に恐怖を覚え、徐々に精神を蝕まれていく。後に耐えきれなくなり自死した事が手記にて判明する。手記のみの登場人物。
- 蚕女(仮称)
湊が絹の家の庭で遭遇した怪物。3メートルはあろうかと思われる背の高さと伸び切った手脚、背中と腰辺りにある蚕の模様に似た痣、足元まで伸びた漆黒の髪に蒼白な肌は疵だらけと異様な容姿をしている。
顔の方も右目は赤く光り、左目には同じく赤い光を帯びた蜘蛛の様な単眼が幾つか付いており、人とも異形ともつかない。口元には真っ赤な紅を差しているため、女性的な要素も垣間見える。
湊を敵と見做したのか、彼の姿を見ると凄まじい速さで追い回し、幾度となく殺そうと襲い掛かる。
- ヒヨコ
隠しキャラ(?)。卵から孵った時に見た湊を親だと思い、以降はどこまでもついてくる様になる。なおエンディングの1つでは1年後に鶏に成長した姿が見られ、やはり変わらず湊の後をついて回っている。
隠しキャラ(?)。二周目以降の隠し要素で関わり続けると隠しゲームオーバーを見られる。
関連動画
ティザートレーラー
主題歌『繭籠り』