動物にとっての人肉
武器を持っていない人間は同等以上の大きさの動物と比較して戦闘力、足の速さ等に劣るため、大型肉食獣の餌としては好適である。それでも腕力のある男性などは投石などで反撃されることがあるが、子供や女性などは足も遅く、力も弱く、仕留めれば手軽に数十キロの肉が手に入るため、足の速い草食獣をわざわざ追うよりはずっと割に合う。
そのため大型の肉食獣(ライオン、虎、豹、野犬など)や雑食獣(熊)に人間の弱さと人肉の味を覚えさせてしまうのはとてつもなく危険である。
人間と生活圏が重なる場合は、駆除や捕獲などにより、人間を恐れさせることが肝心となる。猛獣よけの鈴というものがあるが、人間が餌になることを学習した個体にとっては「餌の在り処」を知らせるものとなり、逆に危険にもなる。
人間にとっての人肉
人間が人間を食べることをカニバリズムという。現代においてはどこの国でも厳重に禁止されているが、過去にはしばしば起ったことが知られている。
コンゴ、パプア・ニューギニア、昔の中国や戦前までの日本においては人肉食にまつわる複数の記録があるが、人肉を獣肉と同等の日常的な食肉とみなす通念文化は存在しない。むしろ薬としての効果を期待するか、死者の骨肉を喰らうことにより霊的なパワーを取り込むといった呪的なアイテムとみなされている。
しかし、文化を問わず食糧難によってやむをえず人肉を食べるケースは少なくなかった。
有名なケースとしては「アンデスの聖餐」と呼ばれる事例。日本においては「良栄丸の遭難」や「ひかりごけ事件」が有名であり、その他にも大戦中に撃墜したアメリカ人パイロットを守備隊の日本兵が食べた事件や羽柴秀吉の鳥取城攻めにおいて飢餓状況の中で死んだ者の肉を食らったという記述が存在する。
世の中には人肉食を嗜好する者も僅かながら存在し、しばしば猟奇的な事件が発生することがある。
知られている事例としては佐川一政のパリ人肉事件がある。