概要
第104期訓練兵団を7番で卒業した、頬のそばかすが特徴の長身で黒髪の少年。
訓練兵入団時には、憲兵団へ入団して王に仕えることを希望していた。
優しい分押しが弱い面もあるが、細やかで真面目な性格をしている。
同じく気が優しく理知的なアルミンとは訓練生時代から仲が良かった。
寛容でありながらも冷静かつ現実的な洞察力と判断力も持っており、周囲への気配りやサポートも忘れない。故に、仲間と衝突しやすいジャンの露悪的な性格や特性にも前向きな理解を示しており、彼と共に行動していることも多かった。→進撃親友組
その性格から、同期からも指揮役になることを期待されていた。
しかし、トロスト区奪還戦にて戦死。
死に際を見た者は居ないらしく、死亡時の詳しい状況は不明。
その遺体は、右上半身が噛み千切られた無残な状態でジャンに発見され、早々に他の死体と共に荼毘に付された。
「誰しも劇的に死ねるってわけでもないらしいぜ」
「どんな最期だったかもわかんねぇよ…立体機動装置もつけてねぇし…」
「あいつは誰も見てない所で人知れず死んだんだ」
彼の存在と言葉はジャンに強い影響を与え、その死は調査兵団への入団を決意させた。
その早すぎる退場は作品のファンにとっても大きな衝撃であり、彼の人柄も相まって長く語られることとなった。
マルコの死について
以下にネタバレあり
マルコの死には謎が多い。
まずトロスト区の防衛戦が終わり、エレンの巨人化が判明した時にはマルコは生きていた。
その後トロスト区奪還作戦の際に巨人に半身を食われ死亡したと思われるが、遺体で発見された時に、兵士であれば肌身離さず装備している筈の立体起動装置を所持していなかったという不自然な点があった。
後にマルコの立体機動装置をアニが持っていた事が判明。アニはアルミンに持っていた理由を問い詰められた時に、拾ったものだと話している。
またアニメでは原作者からマルコの死の真相を聞いた上で製作されており、巨人化したエレンが開閉扉を岩で塞ぐ瞬間までマルコは生きていた事が判明する。その生存が確認される最後のシーンでは、後ろを振り向いて何かを見たような描写があった。
その死の真実はあまりにも残酷なものであった。
トロスト区奪還作戦中に、マルコは偶然にも近くにいたライナーとベルトルトの会話を耳にする。
「あぁ…いざとなったら俺の巨人で何とかするしかなさそうだ」
「でも…作戦が成功したらせっかく空けた穴が塞がれてしまう」
「構わねえさ…俺達がこの5年間ずっと探してた手掛かりをようやく見つけることができた」
「オイ…二人共…」
「一体…なんの話をしているんだ?」
その驚愕の内容に、マルコは思わず何の話をしているのかと二人に声をかけてしまった。
今の話は冗談だと言うライナーの言葉を受け取り、マルコは作戦を続行するために逃げるように立体機動でその場を飛び立つ。しかしマルコはあの話は冗談などではなく、エレンが巨人化できるなら超大型巨人たちの正体も人間であり、ライナーとベルトルトが人間の姿をした敵の巨人であるという事に勘付いてしまう。
そしてライナーも、察しの良いマルコを誤魔化すことはできないと悟っていた。
報告される事を恐れたライナーに押さえつけられたマルコは、近くを通りかかったアニに助けを求めるが、ライナーとアニのやり取りからアニもまた彼らの仲間であることに気付く。
そしてマルコを手にかけることをためらうアニに対し、ライナーは壁内人類への敵意を示す証明としてマルコの立体起動装置を奪い、民家の中に投げるようアニに言い放つ。それに泣く泣く従ったアニによってマルコの立体起動装置は外され、巨人が近づいている事を確認した三人はマルコを残して飛んで行った。
「…何だよ 何で…そんなに…急ぐんだよ」
「まだ…ちゃんと…話し合っていないじゃないかぁあああ」
マルコはジャンが語ったように「人知れず死んだ」のではなかった。
しかしその死は三年間仲間として過ごした者たちに裏切られ、何故三人がそんなことをするのか理由を知ることもできないまま、近くに来た巨人に捕らえられ半身を食われるという、あまりにも絶望に満ちた最期であった。
一方、マルコを殺した三人も、これを目的のためと割り切ることはできなかった。
アニとベルトルトは巨人に食われるマルコを泣きながら見つめ、ライナーは良心の呵責ゆえに「マーレの戦士の自分と104期生兵士の自分」という心の分裂を決定的なものにしてしまった。
- しかし後にベルトルトは、この時に味わった地獄を自分自身の手で終わらせるため、かつての仲間達を躊躇いなく殺すと宣言している。
三人がマルコから奪った立体起動装置は、彼の死から一月後、アルミンたちに三人の正体を示す手がかりとなった。
原作で上記の経緯が明かされたのはウォールマリア奪還作戦の際のベルトルトの回想(原作19巻)だが、アニメでは第2期、エレン奪還戦の段階(原作10巻に相当)で、一部のみではあるが回想されている。
また、彼の最後の言葉は彼の死から4年後、袂を分けたかつての仲間たちに深く響くことになる。
余談
物語が始まって早々に退場する羽目になったマルコであるが、作者によると「マルコはまだ死ぬ予定ではなかったのですが、キャラが立たなかったので早めに死んでもらいました」とのこと。
真面目なキャラクターゆえにアルミンとの被りなどが気にされたかもしれない。
ジャンがマルコの死をきっかけに調査兵団への入団を決意したのは上記の通りだが、元々はジャンが調査兵団に入る経緯は異なっていたということだろう。マルコに活躍の場が与えられていたかもしれないし、ライナー達に抹殺される最期でも無かっただろう。
後に、マルコが憧れていた憲兵団に入団するキャラクターとしてマルロ・フロイデンベルクが登場する。
彼は理想主義で生真面目だが、マルコのような物柔らかさは無く、ジャンからはエレンに似たバカと評されるほどの熱血漢である。
名前やキャラクターの類似からするに、マルロのポジションは元々マルコが想定されていたのかもしれない。
なお
原作から100年後の世界を描いた嘘予告、「進撃のスクールカースト」でも既に事故で死亡しており、顔の右半分の肉が抉られた幽霊として登場している。ネタコーナーとはいえ、つくづく幸薄いキャラクターである。