解説
ラノベ『魔術士オーフェン』シリーズのキャラクター。
年齢は「はぐれ旅」第1巻当時で30歳程度。
長い黒髪をうなじでくくった男性。
キエサルヒマ大陸黒魔術の最高峰《牙の塔》の教師にして、大陸最強の魔術士。
主人公・オーフェンの師であり、彼を含めた7人の魔術士たちを育て上げた。
その正体は、遡る事200年前から疑似的な時間転移(一度、粒子段階まで分解され、再度元の姿で再生される、一種の冬眠)で現代に現れた過去の魔術士であり、天人種族の巫女・シスター・イスターシバの弟子「アルフレド・マインス」。
大陸の滅亡を予見したイスターシバによって、天人種族を含めたドラゴン種族に代わって人類を導く「後継者」を見つけるため、大陸を保護するアイルマンカー結界が崩壊しつつある現代に現れた。
チャイルドマン・パウダーフィールドという偽名は、「火薬の庭」と呼ばれる戦乱の時代に生まれついた、イスターシバの「子」という意味で、再生直後に思いついた。
転移後はフリーランスの暗殺者として活動し、「はぐれ旅」から遡る事10年ほど前、《塔》に自ら赴き、教師としてスカウトされた。この時、若干20歳であり、《塔》の教師としては異例の若さであったが、当時の《塔》は王都のスクール出身の「魔人」プルートーの出現によりその存在意義が揺るがされつつあり、チャイルドマンによってふたたび権威を取り戻そうとしていた。
《塔》の教師時代は、オーフェン(キリランシェロ)ら7人の若者を育てた。
表向きは、チャイルドマンの技能は一個人の範疇を超えていることから7人に分割したという理由だったが、実際には大陸の危機に備え、個人ではなく組織で対応することを見越してのことだった。
だがその教育の最後は、助手でもあったアザリーの魔術実験失敗によって訪れる。
月の紋章<バルトアンデルス>の剣の実験に失敗して怪物と化したアザリーに対し、《塔》は抹殺の判断を下したが、チャイルドマンはそれに逆らい、あくまで保護するために彼女を追って大陸中を駆け回った。
アザリーに心酔していたキリランシェロも、《塔》に逆らう形で出奔したため、チャイルドマン教室は事実上瓦解した。
そして「はぐれ旅」本編、チャイルドマンの追走を「自分を殺すため」と勘違いしたアザリーは、白魔術によって彼と自分の精神を入れ替え、チャイルドマンとして《塔》の精鋭(コミクロン含む)を集めて討伐隊を結成。
言葉を離せない怪物の姿となった彼に総攻撃を浴びせて殺害した。
本編ではコミクロンに次いで、早々に退場してしまったわけだが、彼がオーフェンたちに遺したもの、大陸中にある痕跡などは、物語全編を通じて現れており、その存在の大きさが推し量れる。
プレオーフェン
オーフェンの学生時代を描いたプレオーフェンでは、当時のチャイルドマンの様子も描かれる。
当時のチャイルドマンは25歳。生徒の最年長であるフォルテ・パッキンガムとは5歳程度しか離れていない、若者と言って差し支えない年齢である。
「はぐれ旅」で描かれる厳格な面はあくまで一面に過ぎず、問題児だらけの生徒たちを抱えながら、彼らを導く師としての姿、生徒たちを利用して《塔》上層部と交渉する賢しい面もあることがわかる。
同世代の《塔》教師であるマリア・フウォンとは、ただの同僚というレベルを超えた間柄だった。
能力
およそ人間の魔術士が到達し得る最高の能力を兼ね備えた、間違いなく最強の部類の魔術士。
本作には「最強」と称される魔術士が、故人・存命に関わらず多く登場するが、チャイルドマンは文字通りの最強である。
彼の師・イスターシバをして「知識、行動力、理解力、先見性、その他いかなる分野においても人間種族で汝を超える者は存在しない」と言われた。
白魔術(精神魔術)そのものといえずとも、それに近い独自の黒魔術の構成を編み出し、これは《塔》の最秘奥とされている。
格闘術・暗殺術も随一であり、そもそもが200年前に存在し、今では廃れてしまったものであるがゆえに、現代人では対応が困難。オーフェンに継承されたのも、この「特殊拳法」である。
加えて、「ネットワーク」と呼ばれる、白魔術に類する情報網を扱うことのできる人物の一人でもある。
漫画版(沢田一『魔術士オーフェン』)では
漫画版ではオーフェンは貸金業者ではない為、アザリーとの再会より前から既に面識があり、非公認の下請けとしてオーフェンを雇っていた設定になっている。また、アザリー(怪物)はチャイルドマン隊に討伐される寸前で精神を入れ替えた事になっており、こちらではトトカンタにいたチャイルドマンの肉体には本人の精神が宿っている(漫画版連載時にはまだ過去の人間という設定が無かったので、このような扱いになったのだと思われる)。