『魔術士オーフェン』の主人公オーフェンの本名で、出生時のフルネームはキリランシェロ・フィンランディ。
作中では法律上「名字を持って(名乗って)よいのは土地所有者(いわゆる定住者)とその家族(土地所有者と生計を共にする者)のみ」とされているため、孤児となり後の生活のために行政に資産整理をさせられた時点で「フィンランディ」姓を剥奪されている。
本記事では主に《牙の塔》時代について解説する。
CV:中西裕美子(TBS版)/森久保祥太郎(はぐれ旅)・田澤利依子(はぐれ旅幼少期)
人物概要
両親の事故死後、孤児院でアザリー、レティシャらと姉弟のようにして育ち、その後《牙の塔》へ入門。
暗殺者育成に特化したウオール・カーレン教師の教室にて学んだ後、チャイルドマン教室に転籍。
大陸最強の魔術士チャイルドマン・パウダーフィールドから、「全ての戦闘技術」と「暗殺技能」を受け継ぎ、徹底した精神制御の訓練を受けている。
魔術や体術そのものの威力・精度を単体で見た場合、オーフェンの右に出る者は幾人も挙げられるものの、「決戦能力」に関しては《塔》で彼に勝る人間は存在しないと言われ、「鋼の後継」(サクセサー・オブ・レザーエッジ)、「戦闘芸術品」(アーティスティック・バトル・アスリート)と称されていた。
また極秘裏に狙撃拳銃の使用訓練も受けていた。
基本的にこの時代の彼は姉ふたりのわがままと横暴と暴力に泣かされる日々を送っており、そのせいで命の危険に陥ることも頻繁にあった。
夜間外出がばれた際にはその際出会った熊による負傷に加えて姉(おそらくレティシャ)の折檻まで受けて瀕死の重傷を負ったことも。
しかし彼にとっては美人・聡明で成績も優秀な彼女らは悩みの種であると同時に自慢の種でもあり、「レティシャは美人だと思うがどうか」などと師チャイルドマンや級友に聞いて回ったりと重度のシスコンな部分も。
史上最年少となる15歳で宮廷魔術士《十三使徒》の入宮審問に召喚されるが、彼を呼び止めるべく《塔》から送られてきた使者ミラン・トラムが放った「チャイルドマンが君に暗殺術を教えたのは、万が一のときにアザリーを殺させるため」という言葉に逆上。
彼を半殺しにしてしまいそのため審問は失敗、《塔》へと戻る。
その後にアザリーが怪物化し失踪するという事件が起こり、彼女を追ってキリランシェロも飛び出すことになる。オーフェンという名はこの時に名乗る。
性格は温厚穏健で人当たりが良く、素直な性格。年間主席を取り、《塔》最エリートに所属する天才ながらそれを鼻にかけるような言動もなく、むしろ強大な姉ふたりや師の存在感を強く感じすぎているせいか自己評価は不相応に低めなほど。
そのため他教室のイールギットは彼を大いに気に入っていた様子だった。
5年後の彼とは一見まるで別人で、劇中でもキリランシェロを知る人物がオーフェンを見て同一人物だと気づかないシーンが何度もあり、作者も「この子は誰でしょうというクイズが成立しちゃいそう」と述べている。
しかし級友の作る人造人間(と称するがらくた)に容赦なくバットを振るって破壊していたり、窮地に陥ると級友でも容赦なく見捨てようとするなど後につながる性格も垣間見える。
師チャイルドマンからの評価も高く、教室内ではもっとも期待されていたうちの一人。
ただチャイルドマンは彼の才能を高く買うと同時に、精神的未熟さ・不安定さへの懸念も表明しており、「才覚の高さゆえに自己嫌悪に取り付かれている」「実態のない功名心に走りやすい」「最年少で《十三使徒》に抜擢されるようなことがあれば、思いとどまらせるのは難しい」と述べている。
(事実そのとおりであった)