概要
秋田禎信の小説『魔術士オーフェンはぐれ旅』の第1巻(1994年5月12日発売)に登場し、アザリー討伐戦においてたった2行で死んでしまった魔術士。享年22歳。
その正体はオーフェン(キリランシェロ)が魔術士養成機関《牙の塔》時代に師事していたチャイルドマンの弟子のひとりであり、オーフェンから見たら兄弟子にあたる。
作中ではハーティアから「アザリーはコミクロンを殺したじゃないか」という形で初めて名前が登場し、オーフェンからは「彼はコミクロンだったのか…」とだけ言われた。
古い友人が義姉に殺される、しかも自分はその義姉を守ろうとしているという、オーフェンの辛い状況が垣間見える。
しかし、それからコミクロンについて言及されることはなかった。
そして1997年4月18日に発刊された『無謀編』の書き下ろし短編(プレオーフェン)「魔術士オーフェン・暗黒編 清く正しく美しく」にて、ついに、在りし日の本人が登場。
第1巻では描写されなかったその容貌は、医療・研究用の白衣を着用し、長い黒髪を、女性のように三つ編みおさげに編んでいる少年という、インパクトが強すぎるものだった。
(特に女装趣味というわけではなく、口調も振る舞いも男性そのもの)
年齢はキリランシェロ&ハーティアより2歳上で、同い年のコルゴンとは仲が良かった。
機械いじりが好きで、くだらない戦闘メカを作ってはしょっちゅうキリランシェロを巻き込んでバカな研究を行っていた。
…その人物像は、とても「怪物となったかつての仲間(正しくは師)に殺された悲劇の青年」とは思えないキャラクターで、一気に読者の興味を引いたのだった。
ハーティア曰くレティシャに気があったらしい。
プレオーフェンではしばしばアプローチしているが、そのやり方が見当違いすぎるため、毎回失敗していた。
ハーティアにとって、コミクロンの死は大きなショックであり、人間に戻ったアザリーと対面した時には「コミクロンは死んだ! おまえのせいだ!」と殴りかかっている。
能力
人体の構造と機能をことごとく熟知し、キリランシェロやレティシャなどでは治しきれないような重篤な負傷であっても治せてしまう技量を持つ。
当時、ことあるごとに攻撃魔術をぶっ放しまくっていたチャイルドマン教室の生徒たちが大事に至らなかったのは、大概がコミクロンのおかげ…だったらしい。
同世代にコルゴンがいたためにずっと次席止まりであったが、チャイルドマン教室に席を置くだけあって、間違いなく優秀な魔術士であり、コルゴンから最接近領のメンバーに誘われるほどだった(最終的には辞退している)。
特にアザリーとキリランシェロの出奔で教室が瓦解した後、レティシャやハーティアが調子を崩して評価が落ちる中、基礎が完成していたコミクロンは順調に評価を上げていった。
令和アニメ版
原作よりはいくばくか出番が増えており、アザリー討伐隊の一員として、オーフェンと5年ぶりの再会を果たしている。
アザリー討伐時にはオーフェンの傷を魔術で癒すなどの活躍を見せるが、アザリーの火炎放射に防御結界を突き破られ、火だるまになり悲痛な断末魔を上げて炭化するという非常にエグい最期を迎えた。
現代パートでは断髪している。