回収は成功した。諸君、史上初の地球と宇宙を往復したモビルスーツだ。
機体データ
型式番号 | T1号(仮称コード) |
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所属 | 地球連邦軍 |
開発 | 地球連邦軍カリフォルニア基地工場 |
全長 | 約20m(シャトル形態時) |
重量 | 約45t |
固定武装 | バルカン砲×2、小型シールド×2 |
概要
型式番号なし。仮称コードT1号。
ホビージャパン別冊のムック『HOW TO BUILD GUNDAM WORLD 3 MOBILE SUIT Ζ GUNDAM』に登場。
一年戦争後、地球連邦軍が連邦政府からの要請を受けて開発した黎明期の可変モビルスーツ(TMS)。MS形態からシャトル形態への変形が可能で、単独での大気圏離脱・突入双方を実現した初のMSとも言われる。
スペースノイドをはじめとする市民に対するデモンストレーションや、TMSであるガザシリーズの開発を進めていたアクシズへの牽制といった政治色の強い動機によって計画が推進されたため、ガンダムタイプかつ実用化を前提としない技術実験機として開発された。生産数も1機に止まる。
「完成までの期間は可能であれば1年以内」という政府からの要望を受け、開発期間の短縮を図るべく胴体部の基本レイアウトはヘビーガンダムの設計を参考にしつつ、関節の一部へのアクチュエーター駆動の採用、コックピットのリニアシート化といった近代化が行われた。マグネットコーティングも施されている。
可変機構も背部のオプションパックに集約する形で単純化されており、シャトル形態への変形時には股関節と膝関節を折り曲げるとともに、オプションパックから折り畳み式の主翼を展開し、頭部は機体整流耐熱カバーで覆い隠される。また、両腕部には飛行中の姿勢制御に使用される小型シールドが装着されているが、これに可変機構はない。
脚部には高機動スラスターとともに新型の強力熱核ロケットエンジンが計2基内蔵されており、これはMSを低軌道まで上昇させられるだけの推力を誇る。ただし、使用されるのは大気圏離脱時のみで、その後の推進は高機動スラスターに依存しており、大気圏再突入後は滑空が主となる。また、尾翼が存在しないため、大気圏内での姿勢制御は主に脚部を可動させて行う。
脚部の内部スペースの殆どを推進系が占めているため歩行能力が貧弱で、地上での移動はホバリングが主になる点、熱核ロケットは試作段階なこともあり、120%出力噴射を行った場合は修復不可能なまでに破損する点、地上からの離陸時には支持架による補助が必要になる点、などの問題点があり、MSとしての完成度は高いとは言い難い。
また、実験機ということもあり、確認されている武装は小型シールドを除くと頭部のバルカン砲2門のみである。
連邦政府より開発要請が発せられたのは宇宙世紀0083年3月で、翌月より連邦軍カリフォルニア基地工場で開発を開始。宇宙世紀0084年8月に実機が完成した。細部テストを経て、同年11月にカリフォルニア基地にて唯一度の公式飛行に臨んでいる。
公式飛行は報道陣にも公開されており、まず地上でシャトル形態からMS形態への変形を披露し、続いてシャトル形態へ再変形し離陸。大気圏を離脱した後は軌道を周回し、離陸から1時間半後に大気圏に再突入、着陸間際にMS形態へと変形してホバリングによって着地、という行程が取られた。
この飛行後のシャトルガンダムの消息は不明であり、熱核ロケットが大破したため修復不能と見なされ廃棄されたとも、ケネディ宇宙港の戦争博物館に収蔵されたとも、ティターンズに接収されてサイド7に移送され、ガンダムMk-Ⅱ開発時の参考にされたとも言われる。
なお、派生仕様として高機動スラスターと冷却システムなどを主体とした宇宙空間用のオプションパックを装備することも計画されていたが、実機が製造されたか否かなどの詳細は不明。
余談
デザインの原型は、アニメ『機動戦士Ζガンダム』企画時に大河原邦男がΖガンダムのものとして描いた没デザインで、『HOW TO BUILD GUNDAM WORLD 3 MOBILE SUIT Ζ GUNDAM』にて、北野雄二による1/100スケールの模型作例としてリメイクされた。
現在の設定もその際に与えられたものである。
関連タグ
ガンダムGT-FOUR - 本機に先駆けて一年戦争中に開発されたとされる可変ガンダム。機動兵器としての完成度に難のある試作機である点も共通している。
アッシマー - 同時期(宇宙世紀0083年)に開発が開始された連邦軍の可変機。こちらは実用レベルに達している。
サイコガンダム - 本機と同様に、Ζガンダムの没デザインを再利用して設定された機体。