概要
【破壊力:A / スピード:A / 射程距離:E※/ 持続力:D / 精密動作性:C / 成長性:D】
※アニメ版ではC判定。
第5部「黄金の風」のキャラクター、ブローノ・ブチャラティのスタンド。
近距離パワー型の人型タイプ。能力は「拳で触れた対象にジッパーを取り付ける」能力。ただそれだけ。
聞いただけでは何が強いのか分からないかもしれないが、シンプルな能力設定の裏に屈指の戦闘力、応用力、利便性を備えた非常に優秀なスタンドである。
第一に、取り付けたジッパーは本体の意思により自在に開閉できる。能力の作動に取り付けられた物体の硬度は関係なく、生物、非生物問わずあらゆる物体に取り付ける事ができる。
すなわち、スティッキィ・フィンガーズに触れられる事は硬度を無視した切断を許す事を意味する。人間からしてみればバラバラに分解されて戦闘不能に陥るのと同義で、頑強に閉ざされた壁や扉もこの能力の前では何の意味も持たない。
そして分解するだけでなく、ジッパー同士は同じ規格であり別々の物体同士を結合することも可能である(自分の腕をジッパーで取り外し、同じようにジッパーで取り外した他人の腕と交換してつないだりなどもしている)。また、このジッパーによる結合を応用し、傷の切断面にジッパーを取り付け、即席かつ強引ではあるが縫合・接合などの手当てを行うなども可能(敵スタンド使いとの戦いで切断されたアバッキオやトリッシュの腕をつなぎ直したことも)。
それ以外にも、ジッパーの開閉を利用して立体的に高速で移動したり、途中まで開いた物体に相手の手足を挟み込んで拘束したり、自分を分解する事で敵の攻撃を躱したり、ジッパーで自分の腕を螺旋状に展開して射程を大幅に伸ばしたり(=能力発動条件の「拳」の射程を伸ばせる)、地中を潜航する敵を相手に自身も地面をジッパーで切り開いて地中を進んだりなど、その異常なまでの応用力を披露している。
細かいところでは口にジッパーを取り付けて文字通りの「お口チャック」状態にしてしまった事も。ネタっぽいが相手の発言を封じるのに普通に有効である。
第二に、ジッパーの種類は一般的なジッパーの機能としての開閉(切断、接続)ができるようにしたものと、ジッパーで開いた物体内部に異空間を作り出すパターンの2種類に分けられる。
例を挙げると、前者を壁に取り付けて開くと壁を貫通して向こう側に届く(通り抜けフープのような)能力となるが、後者は壁にジッパーの出入り口が付随した異空間を作り出す(四次元ポケットのような)能力となる。
本編ではこのジッパー内部に人や貴重な物体を隠したり、人に取り付けて着ぐるみのようにその人間内部に潜航するというダイバー・ダウンのような能力も披露している。
また、この能力によってバラバラに分解されていても内部の機能的には結合したままとなっており、「バラバラに分解されてなお生き続ける」状態を作り出す事ができる。ズッケェロなどはこの機能によって拷問を受ける羽目になった。
逆に、ジッパーを開ききって分割してしまったあとにその切断面に付けていたジッパーが解除されると「完全に切断された」状態になる。ペッシはこの作用により、スティッキィ・フィンガーズのラッシュで「全身にぶちこまれたジッパーを一瞬で全開&即座に切断面のジッパー解除」され、ズッケェロとは逆にバラバラにされて即死してしまった。アリーヴェデルチ。
ビーチ・ボーイの追跡から気配を隠すため、自身の肉体をバラバラにした上で心臓にジッパーをつけて一時的に切断し心音を止めるという、どこかで見たような荒業も披露したことがある。
単純にスタンドビジョンのパワー・スピードも近距離パワー型として申し分ないスペックであり、本体であるブチャラティの冷徹な判断力と機転も相まって、シンプルかつ応用力に富んだ非常に強力なスタンドとなっている。
登場部の主人公であるジョルノよりもブチャラティら他のメンバーの戦闘シーンの方が目立つように見えるのは、このスティッキィ・フィンガーズのシンプルかつ強力な性能が一因だろう。スゴ味があるッ!
ラッシュの掛け声は「アリアリアリアリアリアリアリ…アリーヴェデルチ(さよならだ)」。
由来
名前の由来は1971年にリリースされたローリング・ストーンズの代表作のひとつといえるアルバム名。直訳すると「粘つく指」だが、これは「盗み癖」というスラングの意味もある。
このアルバムが71年にレコード盤として発表された際は、アルバムジャケットに写るジーンズの股間部分に可動する本物のジッパーが取り付けられているという細工がされていたので、スタンド能力の着想は恐らくここであろう。
また、アルバムの1曲目に収められた「ブラウンシュガー」という曲の名は、ブチャラティが憎む麻薬(ヘロイン)を意味する隠語。
余談
ASBやEoHの北米版やアニメの海外配信では「ジッパーマン(Zipper Man)」と訳されている。
元ネタの名称を使えない際には名前の一部を変更する。それがしにくい場合は能力を意識した名前をつけるといった訳され方がされていると思われ、「スティッキィ」も「フィンガーズ」も単体ではスタンドの意味として通じにくい結果能力優先で名付けられたと思われる。
それにしてもあまりにもストレートにそのままなネーミングで、ウルトラマンやアンパンマン、一部アメコミキャラのようなヒーローを思わせる名称から話題になりやすい。
「スティッキー・フィンガーズ」だったり「スティッキィ・フィンガー」だったりと、よく名前の表記を間違えられる。
Pixiv内でも誤記タグでの登録数が本タグと大して変わらなかったりする。やれやれだぜ