概要
オベロンは妖精の王とされ、その姿は身長が1メートルほどの醜い又は端正な小人とされる。
その源流はメロヴィング朝の魔術師アルベリヒ、または中世ドイツ叙事詩に登場するディートリヒ・フォン・ベルンの道化アルベリヒとされる。
オベロンは13世紀のフランスの武勲詩「ユオン・ド・ボルドー(ボルドーのユオン)」に初めて登場する。
作中のオベロンは小人(ドワーフ)の王で主人公ユオンを助ける存在として、「魔法の笛」と「魔法の杯」を与え、困難を克服させている。ただし、キリストの教えを破ったユオンの助けに応じられないという一面も見せている。
「ユオン・ド・ボルドー」のオベロンはモルガン・ル・フェ(アーサー王の異父姉)とジュリアス・シーザーの子とされ、このことからオベロンはアヴァロン島の王とも伝えられる。
また別の説ではケファロニアの女王の息子であるとされ、オベロンの洗礼時に多くの女官が集まって贈り物を捧げたが、悪い妖精が来て彼に背が低くなる呪いをかけたという。
他には元はトロンクという名の醜い小人だったが、美しい妖精になって王国を獲得したという説もある。
ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「夏の夜の夢」では妖精の王として登場。いたずら者の妖精パックの悪ふざけを見て喜んだり、羊飼いに化けて人間の女性に絡んだりするなど放埓な性格の持ち主である。
妖精の女王である妻ティターニアとインドから連れて来た子供を巡って喧嘩をしており、パックに命じて“浮気草”を取ってこさせる。パックの帰還を待つ間にオベロンはデメトリアスとヘレナの会話を立ち聞きし、“浮気草”の力で両者を娶せようとする。
パックの手により“浮気草”の汁はティターニアと森に入った人間の男のまぶたに塗られ、ティターニアの方は見事図に当たって機屋のニック・ボトムを愛するようになる。だが、もう一方は本来の目標であったデメトリアスではなくライサンダーに魔力がかかり、男女四人の関係は混迷を極める。
オベロンはすぐにパックを叱りつけて“浮気草”の魔力を解かせ、自身もティターニアの下へ行って子供の所有権を得、彼女のまぶたにディアナの花を塗って正気に戻し、両者は和解する。
女神転生シリーズのオベロン
初出作品は「真・女神転生」で“妖精”種族最上位の悪魔。
デザインは王冠、蝶の羽根、王族然とした赤い服、サーベルが特徴の美青年であるが、デビルサマナーシリーズではカブトムシのような姿をした老人として描かれる。
攻撃、回復、補助スキルをバランスよく所持する為、敵としても仲魔としても強力な存在である。
本編には「真・女神転生Ⅱ」で妖精が住まう旧新宿の王として君臨しており、戯曲の様にパックの失敗でヒロインにかかった“浮気草の露”を解除してくれる。
また、「真・女神転生Ⅲ」ではヨヨギ公園、「真・女神転生 STRANGE JOURNEY」では妖精の街の王様として扱われ、「デビルサマナー葛葉ライドウ対アバドン王」では別件依頼“地図から消された村”では戯曲の如くずる賢く立ち回ってティターニアを魅了し、葛葉ライドウを小姓にする為夫婦で襲いかかる。