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ポセイドン編

ぽせいどんへん

ポセイドン編とは、車田正美原作の漫画「聖闘士星矢」の章の1つである。女神アテナ率いる聖闘士たちと、海皇ポセイドン率いる海闘士(マリーナ)たちとの抗争がテーマとなっている。
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概要編集

原作では単行本14~18巻に収録。


アニメ「聖闘士星矢」(いわゆる「無印」)では100話~114話で扱われている。(それに先立つアニメオリジナルの「北欧アスガルド編」とも設定がリンクしているので、99話から「ポセイドン編」と数える場合もある)


原作では十二宮編の終了後、一度ストーリーを仕切り直して、すぐにポセイドン編が始まるが、アニメでは十二宮編とポセイドン編の間に「北欧アスガルド編」が挟まり、沙織と星矢たちはアスガルドでオーディーンの地上代行者であるポラリスのヒルダならびに彼女が率いる神闘士(ゴッドウォーリアー)と戦ったのち、そのままポセイドンの海底神殿へ引き寄せられてまた新たな戦いが始まるストーリーとなっている。そのため、牡牛座のアルデバランを襲撃・倒したのが原作では海闘士(マリーナ)となっているのが、アニメでは神闘士となっているなど、原作・アニメで内容が一部改変されている。


しかし、「ポセイドン神殿に捕らわれた沙織を奪還するために星矢たちが海闘士と戦う」というストーリーの骨子は同じである。


テレビアニメ版は本作で終了した為、原作ポセイドン編最終回は希望を描きながらも哀し気な幕引きだったのに対し、アニメ版ポセイドン編最終回は明るい形で幕引きとなった為、紫龍の視力と氷河の左目は治り、辰巳徳丸青銅二軍童虎春麗ポラリスのヒルダフレア鷲星座の魔鈴黄金聖闘士も登場したことで大団円を強めた(もっとも美穂と星の子学園の子供たちの登場は後のアニメ作品まで待つことになったが…)


ストーリー編集

物語は十二宮編終了から約一ヶ月後。星矢たち青銅一軍(のうち、一輝除く四人)が東京のグラード財団系列病院にまだ昏睡状態のまま入院している時期から始まる。


 その夜城戸沙織は執事の辰巳を伴い、ギリシャの海商王ソロ家のパーティに出席していた。アテナの化身としてではなくグラード財団の総帥として出会った相手は、16歳の誕生日を迎えたソロ家の若き当主ジュリアン・ソロ。彼は初対面で沙織に興味を示し、求婚する(しかし沙織はこのときまだ13歳なので、どこまで本気の求婚だったのかは不明である。またそもそも沙織に運命的なものを感じたのも、ジュリアンの内に宿っていたポセイドンの魂の影響だったようだ)。

 しかし沙織は一顧だにせずこれを謝絶。翌朝早くの帰国に備えてソロ邸を辞去する(早く東京に帰って星矢たちの看護をしたかったようである)。

 自身の美貌と権力に絶対の自信があったジュリアンは、沙織の拒絶に唖然とするが、その直後、ソロ邸から遠望できるスニオン岬のポセイドン神殿廃墟に光るものがあるのを発見、引き寄せられるように向かった先で、三叉の鉾を発見する。それは海界を統べる大神ポセイドンの象徴であり、ジュリアンは自分が七つの海に君臨する神の化身であることを知らされる――。


 同日同時間、就寝中の沙織は謎の襲撃者に襲われ、あやうく誘拐されかけたところを、駆けつけてきた(元から警護についていた?)黄金聖闘士獅子座のアイオリアに救われる。

 このときアイオリアは、誘拐犯をライトニングプラズマで容赦なく叩きのめした後になって、「こいつは単なる雑兵。背後にはとてつもなく巨大なものがあるのでは」と言っているが、普通に生け捕って尋問しようという考えは浮かばなかったらしい。

 このとき聖域(サンクチュアリ)は、13年にも及んだサガの叛乱事件がようやく収束し、沙織を真のアテナとして推戴する新体制が発足したばかりで、十二宮編の戦いによって黄金聖闘士が半減した直後でもあり、残りの(まだあまり統制が取れていない上に、明確なリーダーも不在な)黄金メンバーで、果たしてアテナ(沙織)を守れるのか、不安がよぎる出だしとなった。

 そしてこの不安は、のちに海底神殿の戦いにおいて、「(アテナの命がかかっているにもかかわらず)黄金聖闘士たちが、星矢たちの加勢に行く行かないを巡って一触即発の対立状態になる」という事態となって、実現してしまう(この黄金聖闘士間の結束の弱さは、さらにこの後「ハーデス編」でのアテナ陣営に暗い影を落とすことになる)。


 ギリシャにおける沙織襲撃から三日後、世界は各地で同時多発的に起こる大津波大洪水に見舞われ、未曾有の大水害によって多数の死者を出す。さらにその後十日間、原因不明の降り止まない大雨が続き、このままではいずれ地球全体が水に覆われてしまう――と危惧されるようになったそのとき、東京の城戸邸でふたたび沙織が襲撃される。

 その襲撃者たちの口上(律儀に主犯の名から自陣営の状況まで説明してくれる)によって、沙織は打ち続いた水の惨事が、自分と同じく現代によみがえった海皇ポセイドンによるものだと知る。

 襲撃者たちは病院を(意識がないのに本能的に)抜け出してきた星矢によって追い払われたものの、これでアテナ軍とポセイドン軍の抗争勃発は決定的となり、沙織はポセイドン一党に狙われる身となった。

 黄金聖闘士たちは東京にいるアテナ(沙織)に、安全確保のためにも聖域に来てほしいと進言するが、沙織は治療中の星矢たちを病院に置いて、自分だけ安全な場所に籠もることはできないとこれを拒否。そんな沙織を守るため、聖域の黄金聖闘士たちは話し合いの末に、警護として牡牛座のアルデバランを派遣する。沙織は彼に守られながら、十二宮戦の負傷でいまだ半死半生(回復するまでは最低でもまだ半年はかかる)状態の四人の青銅聖闘士たちの看護を続けることになる。

 だがそのアルデバランは、刺客として病院を襲った海闘士・海魔女のソレントに奮戦虚しく倒されてしまう(彼だけでなく、このポセイドン編での黄金聖闘士たちはある事情によってあまり頼りにならない)。

 その現場に駆けつけた沙織は、刺客に狙われた星矢たちの命を守るため、ソレントに「わたしをポセイドンのもとまで案内しなさい」と命じ、ポセイドン一党の本拠地である海底神殿に単身乗り込んでいく。ポセイドンと直に話をつけ、災厄をやめさせようというのだ。襲われた側なのに襲撃者に命令する沙織の、女神としての貫禄が光る場面である。


 一方そのころ、アテナ軍の本拠地であるギリシャの聖域(サンクチュアリ)から、さほど遠からぬ地中海の海底神殿では、肉体の内に宿る海皇ポセイドンの魂を覚醒させたジュリアン・ソロが、配下の海闘士たちと共に、人類の粛清と地上支配計画を進めていた。「地上を穢し、邪悪をはびこらせる人間どもを粛清し、神話の時代のような、心清き善人だけの世界を作る」――それが彼らのかかげる理想だった。

 そこへ単身乗り込んできたアテナその人に海闘士たちは驚愕するが、アテナ(沙織)も旧知のジュリアンがポセイドンであることに驚く。ふたりは粛清計画の是非を巡って対話するが、決裂。アテナは大海を支える巨大な柱「メインブレドウィナ」の中に人柱として捕らわれ、世界に降り注ぐ雨をその身ひとつに受けて、地上の水没を遅らせようとする。


 アテナを奪い去られた(というより勝手に飛んで行かれしまった)聖闘士たちは、ついに海皇ポセイドンとの全面対決に踏み切る。沙織を奪還しようと海底神殿に乗り込んだのは、半死半生状態から奇跡的に回復し、ふたたび立ち上がったペガサス星矢アンドロメダ瞬ドラゴン紫龍キグナス氷河の、のちに伝説と呼ばれることになる四人の青銅聖闘士たちだった――。


ポセイドン軍のキャラクター編集

 ポセイドン編における敵キャラジュリアン・ソロならびに配下の七将軍(海将軍とも)美形が多い上に強キャラ揃いであり、一連の「聖闘士星矢」シリーズの中でも人気が高く、登場から30年以上が経過する現在でも盛んに二次創作が行われている。


 彼ら一人一人の詳細なデータは海将軍(ジェネラル)ないし海闘士(マリーナ)の項目を参照されたい。


 なお彼ら海闘士が纏う鎧は「鱗衣(スケイル)」と呼ばれ、聖闘士における「聖衣(クロス)」同様、小宇宙の高まりに呼応して海闘士に超人的な戦闘パワーを発揮させる。

 従前から、そもそも聖闘士の聖衣は、海闘士の鱗衣を真似て作られたもの、という設定があったのだが、現在チャンピオンRED誌で連載中の派生作品「海皇再起」において、「鱗衣の原型は、はるか古代アトランティス大陸においてポセイドンに仕えた錬金術師が作り出したもの」、というさらに詳細な由来が語られた(ただその技術はロストテクノロジーになっていたようである)。

 一方、聖闘士たちの聖衣はムー大陸由来とされていて、その技術はチベット奥地に住むジャミール一族が継承してきた。原作時点での継承者は牡羊座のムウ。のちに「聖闘士星矢Ω」において牡羊座の貴鬼ならびにその弟子である羅喜が継承している。

 しかしどうやら海闘士たちには技術継承者がいないようで、アテナVSポセイドン戦が終了したのちも、海魔女のソレントは破損した鱗衣をそのまま着用していた。アテナ軍とポセイドン軍は神話の時代から幾度となく戦い続けてきたらしいが、少なくとも技術継承の面では、現在はアテナ軍のほうが優位なようである。


関連タグ編集

聖闘士星矢

城戸沙織

聖闘士(セイント)

海闘士(マリーナ)


ジュリアン・ソロ:本編においてポセイドンの依り代となった16歳の少年。沙織いわく「最初からアテナの化身として生まれた自分とは違って、ポセイドンに肉体を利用されただけの普通の人間」らしい。


海皇ポセイドン:神話の時代より七つの海を統べる大神。ギリシャ神話の「ポセイドン」はエンタメ作品にもよく登場するポピュラーなキャラなので、pixivでは「聖闘士星矢」に登場する海の大神には「海皇ポセイドン」のタグが使われるのが一般的である。自称「アテナとは宿敵同士」らしいが、その覚醒は聖域の黄金聖闘士たちにとっては「ほんの小さなアクシデント」扱いされている。


海将軍(ジェネラル):別名「ポセイドン七将軍」。海闘士の最上位。ポセイドン編における星矢たちの敵。アテナ軍の黄金聖闘士に相当する。


海魔女(セイレーン)のソレント:海皇ポセイドンの(というよりジュリアン・ソロの)最側近である海闘士。七将軍のうちもっとも早く素顔で登場する(登場自体はシードラゴンが一瞬早いが、こちらは顔を隠している)。ポセイドン編終了後もジュリアン・ソロに仕えており、美貌で人気があるせいか、最近の派生作品ゲームその他にも時折登場している。ポセイドンの理想に心酔する忠臣、かつ黄金聖闘士アルデバランを倒した強キャラなのだが、なぜか女神アテナである沙織が苦手で、命令されると臣下のように従ってしまう。


海龍(シードラゴン):七将軍の筆頭。完全には覚醒していないポセイドンの代行者としてすべての戦いの指揮を執る謎の男。ポセイドン編のキーパーソン。


アルティメットコスモ聖闘士星矢Ωのゲーム。原作ポセイドン編終結から十数年後の設定。作中あるイベントにて、ジュリアン・ソロとソレントが登場する。黄金聖闘士となって沙織を守護している星矢と、ジュリアンの平穏を守るためにポセイドンを目覚めさせたくないソレントの間で、アテナ側からなされたある依頼を巡って軋轢が起こる会話がある。


海皇再起:ポセイドンと海闘士たちが主役の派生作品。正式名称「聖闘士星矢 海皇再起 RERISE OF POSEIDON(リライズオブポセイドン)」。

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