概要
映画の連作として企画されたアニメ作品。
原作者車田正美があたためていたハーデス編後の原作続編の構想を提供し
2004年2月14日に第1作「聖闘士星矢 天界編 序奏〜overture〜」が公開された。2024年の同日を以て20周年となる。
TVアニメシリーズのスピンオフ的な位置づけだった従来の星矢シリーズの映画と違い、
原作の続編であることが明確に発表されていた作品である。
あらすじ
女神アテナこと城戸沙織はハーデスとの戦いで廃人になった星矢を自身の別荘で介護していた。しかし神々は神殺しとなった星矢を許さず、アテナの姉に当たる女神アルテミスが3人の天闘士を送り込むも、アテナは彼らを止めようとする。そんな彼女を堕落したと感じたアルテミスはアテナの前に現れて地上の女神の地位を渡すように言う。星矢達の命を救う為にアテナはその要求に従う。しかし地上の女神となったアルテミスは天罰として人間を滅ぼそうとする……。人類の命運をかけた最大の戦いが始まるのだった。
本作オリジナルキャラクター
イカロス斗馬
唯一の人間の天闘士。
テセウス
天闘士の1人。
オデュッセウス
天闘士の1人。
アポロン
アルテミス
天界編とはなんだったのか
本作では、原作で積み残された謎「魔鈴の実弟」について
一つの答えが出されているなどファンに取って気になっていた部分にも触れている。
が、興行的にはほぼ失敗といっていい結果に終わった。
また、本作監督の山内重保のクセのある演出、ペガサス星矢と城戸沙織の
関係に強くウェイトが置かれた仕上がりはファンからも賛否両論、
かなり手厳しい意見が相次いだ。またストーリーの仕上がりも原作者の納得いくものでは
なかったらしく、後述の声優変更騒動の際にそのようなコメントをしている。
特にキグナス氷河とドラゴン紫龍の出番はかなり少なく、また星矢と沙織のすっぽんぽんシーン、(続編が予定されていたとはいえ)中途半端な終わり方など困惑を招くような描写が多かったのもある。
これに加えて、本映画公開前にリリースされたOVA『冥王ハーデス十二宮編』の時点から既に指摘されていた、メインキャスト声優達の加齢による声の変化の問題がさらに浮き彫りになっておりOVA『冥王ハーデス冥界編』後半の声優変更騒動にも繋がることになるなど大きな課題を引きずることになった。
当時は既に星矢のTVシリーズも終わってから既に15年も経っており、プロモーションの面でも様々うまくいかなかったところがあるのも否めず、またスタッフもインタビュー等でスケジュールなどが苦しかった事を述べており、さらに脚本も当初担当していた横手美智子が病気で途中降板して大和屋暁に交代するなど制作状況も混乱があり、纏めて言えば全ての噛み合わせが結果的に良くない方向になってしまった不幸な作品でもある。
しかしファン全体に叩かれるような完全駄作だったかと言うとそうでもなく、荒木伸吾作画監督の手による美しい作画やデジタル作画ならではの色彩やエフェクト、フェニックス一輝・アンドロメダ瞬の共闘シーンや水の表現など絵的な面では見所も多く、また死後の状態とはいえ黄金聖闘士達も登場し、それ故この作品を気に入っているファンも少なくはない。
安易に黒歴史扱いしていいものかどうかは論議の分かれるところである。
その後の展開
上記のような状態だったので続編の制作アナウンスは10年以上経っても無く、ほぼ絶望視されている。
本作の設定は多少形をかえて原作者によりネクストディメンションとして再生することになる。
斗馬、アルテミスはこちらでも登場しているが多少デザインや設定に差異がある。