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概要

ホーメロスの叙事詩『オデュッセイア』の主人公。ギリシャの島国・イタケーの王。

英語名は“ユリシーズ”。

母方の祖父アウトリュコスが「私は今まで多くの人間に憎まれてきた(オデュッサメノス)。故に憎まれしもの(オデュッセウス)と名づけなさい」と言い、その通りに命名された。とんだDQNネームである。


文武に長けた智将。

弓と槍の腕前を誇る武人であるが、それ以上の武器は彼自身が編み出す知略である。


トロイア戦争より以前、美女ヘレネーの求婚者として「ヘレネーが夫と選んだ者の窮地を助ける」誓いをした為に出陣を余儀なくされる。

(そもそもこの誓いは、元々求婚者としてやって来たオデュッセウスがヘレネーの付添人をしていた従姉妹のペネロペと相思相愛になり、彼女を妻にするには「まず先にヘレネーの結婚をなんとかしないとムリ」と言われたので、それを発端にオデュッセウス自身が発案した


しかし当時ペネロペとの間に息子テーレマコスを授かったばかりのオデュッセウスは、狂人のふりをして胡麻化そうとした。その方法として牛とロバに鋤を牽かせ、不揃いの畝に塩をまくという無為に明け暮れるオデュッセウスだったが、偽りと気づいた使者のパラメーデースはテーレマコスを抱き上げると鋤の進む方に置いた。息子に気付いてつい立ち止まってしまった事で偽装は露見し、やむなくオデュッセウスは誓いに基づいて出陣する。


神託により、アカイア(ギリシア連合軍)が勝利するには、英雄ペーレウスと海の女神テティスの子・アキレウスの参戦が条件と示された。

しかしテティスは手を回し、アキレウスに女の恰好をさせてスキュロス島に送り込んだ。アキレウスは「平穏無事に長生きする」「戦に出れば武功を立てるが若死にする」と予言されていた為である。

そこでオデュッセウスは商人に化け、スキュロスの王女達に商品を見せる。様々な宝飾品や絹織物の中に剣や武具を混ぜると、女達が目もくれない中でアキレウスだけが武器に手を伸ばした。

その手を取って女装を暴くと、オデュッセウスはアキレウスに流れる英雄の血脈と過去の偉業を朗々と語り聞かせる。この言葉にアキレウスは奮い立ち、トロイア戦争に参加する事を決めた。


その後トロイア戦争は10年の長きに渡り続き、双方の陣営に少なからぬ犠牲を出した。泥沼の戦況を終わらせる為、オデュッセウスは木馬の作戦を提案する。

これにより遂にトロイアは落城。アカイアの諸将は故郷への帰途に就くが、オデュッセウスにとっては長き困難の旅路となった。この物語が『オデュッセイア』である。


帰路において立ち寄った島ではキュクロプスポリュペーモスによって洞窟に囚われ、日に2人ずつ食われる事になってしまった。

そこでオデュッセウスはポリュペーモスにワインを献上。機嫌を良くしたポリュペーモスが「お前は最後に食ってやろう。名は何と言う」と言うので「ウーティス(誰でもない)」と名乗った。酔いつぶれたポリュペーモスの一つ目を部下達と協力して潰し、悲鳴を聞きつけた仲間のキュクロープス達が「誰にやられた」と聞くが、「ウーティス(誰でもない)」とばかり繰り返す。呆れたキュクロープス達は引き上げてしまった。

さてポリュペーモスは多くの羊を飼っており、日に一度洞窟から出して草を与えなければならなかった。目の見えないポリュペーモスは手探りで羊の背を撫で、一行が逃げるのを阻止しようとしたが、オデュッセウス達は羊の腹にしがみついてやりすごす。ついでに羊を丸ごと船に乗せると、脱出に成功した。

地団太踏んで悔しがるポリュペーモスに、船上のオデュッセウスは「イタケーのオデュッセウスにしてやられたと言って回るがいい」と嘲笑した。ポリュペーモスは父である海神・ポセイドンに復讐を願い、この後オデュッセウスはポセイドンによる様々な妨害を受ける。


魔女キルケーの支配するアイアイエー島を訪れた一行だったが、キルケーの館に偵察に行った部下達は帰って来なかった。キルケーは島を訪れる男達を歓待した後、飽きれば魔法を使って動物に変えてしまうのが常だった。

やむなくオデュッセウスは単身館に向かうが、伝令神ヘルメースが現れ、キルケーの魔法を無効化する薬草を与える。オデュッセウスに取り押さえられるキルケーだったが、自分の術が通じない英雄の出現を喜ぶと、部下達を元の姿に戻し、一行は今度こそ歓待を受けるのであった。

やがてオデュッセウスとキルケーは恋に落ち、一行は1年間を島で過ごす。しかしやはり故郷が恋しいオデュッセウスは船出を決意。キルケーは様々な助言を与え、愛する男を見送った。


セイレーンの住む岩礁では、船乗りを惑わす歌声を封じる為、オデュッセウスは蜜蝋を部下達の耳に詰めた。そして自分はマストに括りつけてもらい、歌声に魅了されて暴れ回ったが、事前に歌の威力を知っていた部下達は漕ぐ手を止めず、歌が聞こえなくなってオデュッセウスがおとなしくなるまで全力で難所を乗り切った。


六頭六足の怪物スキュラとすべてを飲み込む大渦カリュブディスの間を通り抜ける際、オデュッセウスはスキュラが住む崖に寄せた航路を取らせた。飛んできたスキュラは不運な6人の部下を掴んで飛び去り貪り食ったが、その間に船は進む事が出来た。

「前門の虎、後門の狼」と同じ意味を持つ「Between Scylla and Charybdis(スキュラとカリュブディスの間)」という成句はこれに由来する。


その後も仲間を失いながらもオデュッセウスは生き残り、ようようイタケーに辿り着いたのは10年後の事だった。

既に王が死んだと確信した男達はペネロペに求婚を迫り、館に居座っては飲み食いでイタケーの財宝を浪費し、ペネロペやテーレマコスを苦境に陥れていた。復讐を求めるオデュッセウスはアテナの力によってみすぼらしい老人に化け、館に物乞いとして入り込む。

求婚者達に馬鹿にされ、時に暴力を振るわれながらも、ひたすらオデュッセウスは復讐の機会を待った。その間にも自分の正体を知ったテーレマコスや乳母、下々の者に「自分の正体は来る時まで明かさないでほしい」と頼み、協力をとりつける。


やがてペネロペは決断し、求婚者達に宣言した。

「私が再び嫁ぐ相手は、我が夫オデュッセウスが残した弓に弦を張り、並べた12本の斧の穴を矢で貫き通した青手とする」

鉄の強弓が運び出され、求婚者達は挑戦したが、矢を射るどころか弦を張る事さえ出来なかった。そこに現れた老人が弓に触れて嘲りを受けるが、次の瞬間彼はやすやすと弦を張り、一矢で斧を貫き通す。

そこでオデュッセウスは真の姿を取り戻し、求婚者達を次々と射殺した。彼らに通じた不届き者達も、協力者らによって皆殺しにされた。

かくして王は帰還を果たしたが、ペネロペはあまりの出来事に、目の前の男が本当に夫なのか判じかねてしまう。しかしオデュッセウスは二人以外に知らないある秘密を聞かせると、ようやく彼女は夫が帰ってきた事を知り、涙を流して喜んだ。


その後、隠居を余儀なくされていた父ラーエルテースとオデュッセウスは再会。親子はうれし涙に掻き暮れるが、そこへ婚約者達の遺族が仇討ちと称して戦いを挑んでくる。

ラーエルテースは激怒し、老いたる身で一番槍の誉れを挙げる。オデュッセウスもこれに加わり血みどろの闘争となるが、アテナが仲裁に入る為、両者の間に雷霆を落とした。


その後、オデュッセウスは静かに余生を暮らした。最後は予言の通り「老衰」によってこの世を去ったと伝えられる。(異説はあるが割愛)


他の作品でも、妻の名前含め 登場人物の名前として用いられることがある。

よってイラストとしても、元ネタのものよりコードギアスオデュッセウス・ウ・ブリタニア天子と政略結婚した人)のものなどが多い。

MSの絵しかない上にMSの方の記事しかないペーネロペーよりは幾分マシとは言えるが。


なお、初代ローマ皇帝ロムルスの母レア・シルヴィア。彼女の生家アルバ王家は、トロイアの王族でヴィーナスの子アイネイアースが、賢王ラティヌスの娘ラヴィニアと婚姻した事で建国されたと、《ローマ神話》で語られている。

ラティヌスの父こそがオデュッセウスであり、かつてオデュッセウスがアイアイエー島に訪れた際、キルケーとの間に出来た子であると記されているが、このくだり、《オデュッセイア》では無い。(《オデュッセイア》では子供の有無は記載なし)《テーレゴネイア》というのもあるが、あれは完全に二次創作だと今も昔も悪評が出ているので関係無し。


その他創作物

パオフゥ

パオフゥの初期ペルソナ。包帯を巻いた侍のような姿をして、一部の人からシュノーケル侍とも言われている。→オデュッセウス(ペルソナ)


アトランティス仮面

Fate/GrandOrder第2部「Cosmos in the Lostbelt」第5章「神代巨神海洋アトランティス」に初登場。→オデュッセウス(Fate)


その他のオデュッセウス


関連タグ

ギリシャ神話 オデュッセイア

テーレマコス

サイクロプス セイレーン スキュラ

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