トライスタービジョン
とらいすたーびじょん
本記事の概要
2021年現在、「トライスタービジョン」とは田中琴葉・所恵美・島原エレナの3人からなるユニットの名前として主に使われる名称である。俗に「TSV」と略されることも多い。
この3名に関する基本的な事項等については「ことめぐエレ」の記事を参照。
本記事においては、「トライスタービジョン」という名称の変遷、及びこれが初めてユニット名として使用された漫画「アイドルマスターミリオンライブ! Blooming Clover」における本ユニットの内容を記述する。
名称について
語源
「トライスタービジョン」を分解すると
- 「トライ」=「tri」(ラテン語等で「3」を意味する接頭辞)
- 「スター」=「star」(英語で「星」)
- 「ビジョン」=「vision」(英語で「視覚」または「展望」など)
となり、即ち「3つの星の展望」、意訳すれば琴葉・恵美・エレナという3人のアイドルがまばゆく輝く道程を示す言葉となる。また、言うまでもないが「TSV」は上記の3語の頭文字をとった略称である。
名称の変遷
GREE版ミリオンライブは2013年にサービスを開始し、黎明期からこの3人は親友同士のトリオとして仲の良い様子が度々カードやストーリーで示されていた。しかし、当時からユニット名まであった訳ではなく、故にpixiv等では3人の総称として「ことめぐエレ」が定着していた。
「トライスタービジョン」という名称が初めて登場したのは、2014年9月1日の「いざゆけ!第2回アイドル大運動会ガシャ」におけるSR「トライスタービジョン 所恵美」のカード名である。このカードでは3人が色違いの共通衣装に身を包んでステージに立っていた。
あくまでこの時はただのカード名であったが、「トライスタービジョン」という語句が初出で聞き慣れない造語であったこと、また「シンデレラガールズ」におけるユニット「トライアドプリムス」と接頭辞・年齢層・人数などにおいて共通点が見られたことなどから、この名称が3人のユニット名であるという見解がプロデューサーの間で広まることとなった。
その後、2017年11月27日発売の雑誌「電撃マオウ」2018年1月号にて「アイドルマスターミリオンライブ! Blooming Clover」第8話(単行本2巻収録)が掲載される。この回では3組のユニットが結成され、その中にこの3人からなるユニット「トライスタービジョン」が含まれていた。この時、初めて公式の媒体で「トライスタービジョン」がユニット名として登場したのである。
しかしながら、同作に当時登場していた他のユニット名「Clover」「ダブルエース」「シグナル」はいずれも同作オリジナルのユニット名であったため、「トライスタービジョン」も同様に同作固有の設定なのではないかという可能性が残っていた。
その後、2019年6月27日にシアターデイズにて第6回の「ミリオンフェス」が開催され、琴葉・恵美・エレナのSSRが登場(因みにこれらのSSRに付属する専用衣装は上述のSR「トライスタービジョン 所恵美」における衣装をオマージュしたものである)。そして、フェス開催と同時に公開されたコミュにおいて、ユニット名が「トライスタービジョン」であることがゲームでも初めて判明したのであった。
2021年現在では公式・非公式共に「トライスタービジョン」は3人のユニット名として扱われることがほとんどであり、上述のカード単体を指すことはほぼ無い(当時でもあまりなかったが)。
なお、SR「トライスタービジョン 所恵美」は2019年10月12日にイベント「ミリコレ!~MILLIONLIVE COLLECTION~」の報酬としてシアターデイズにも実装されたが、名称はSR+「ハッピーフレンズ 所恵美+」となっている。この「ハッピーフレンズ」はGREE版の同カードの覚醒前の名称である。
概要
ミリオンスターズの第2弾ユニットとして、「Clover」「ダブルエース」と同時に結成されたユニット。リーダーは田中琴葉。
上述の通り、本作では俗称であった「トライスタービジョン」が公式媒体において初めて正式なユニット名として採用された。
本作内ではユニット名の由来については言及されていないが、第14.5話(4巻)では記事冒頭のように「3つの輝く星がごとき3人のユニット」と紹介されている。
ストーリー
結成は第8話であるが、便宜上結成以前のメンバーの動向についても記載する。
※物語の根幹に関わるネタバレを大量に含みます。ご注意ください。
第0話
765プロに所属するアイドルの初顔合わせの場として懇親会が行われ、ここで3人は初対面を果たした。
1巻
第1話で琴葉と恵美、第4話で恵美とエレナが登場し、既に仲が良い様子を見せている。
2巻
引き続き恵美とエレナが第5~6話に登場。第6話では2人とも定期公演に出演し、エンディングでも隣にいる。
そして第8話で、「シグナル」に次ぐミリオンスターズ第2弾ユニットとして、「Clover」「ダブルエース」と共に「トライスタービジョン」が結成される。また、琴葉はプロデューサーからリーダーに任命された。
この3ユニットはミリオンスターズ全体の今後を託されるという重大な責務を背負い、1ヶ月後のユニットデビューライブを目標に活動を開始する。琴葉は責任感から不安の色を隠せないでいたが、恵美やエレナから「3人いるんだし」と励まされ前を向く。
3巻
第10話、ユニットデビューライブ3週間前。上述の4ユニット合同でレッスンが開催され、最後に各ユニットは「Brand New Theater!」のパフォーマンスをするという課題を課せられる。
事前(恐らく第8話直後)に琴葉は1ヶ月分のレッスン計画をバインダー1冊にまとめ、リーダーに不安もあるが「3人で最高のパフォーマンスができたらって…!」と抱負を2人に語っていた。恵美とエレナもそれに感化され、3人は年長者らしく気迫のこもったダイナミックなパフォーマンスを見せる。トレーナーから高評価を貰うも、琴葉は細かなミスを詫び「本番では修正します!!」と反省も忘れなかった。レッスン終了後、3人は反省会としてレストランへ向かう。
第11話でもレッスンであったが、一同のテストが近いことから琴葉の提案でその合間に勉強会も「ダブルエース」と合同で開催されていた。
4巻 - 第12~13話
第12話、ユニットデビューライブ7日前。最初で最後の通しリハが行われ、3人はより磨きのかかったパフォーマンスを見せるが、同時に「Clover」の内部分裂に心を傷めていた。
そして翌日の第13話で北沢志保が失踪したことが発覚。琴葉は志保の捜索を手伝わせてほしいと百瀬莉緒や横山奈緒と共にPに直訴し、その日のレッスンは中止となり3人は数時間に渡って捜索活動にあたったが成果なし。その後、劇場に戻ってきた志保が矢吹可奈らの手で救われたのを3人は見届け、恵美は涙を浮かべた。
4巻 - 第14.5話(雑誌掲載時第13.5話)「『トライスタービジョン』は星空に歌う」
第13話の翌日(明記されていないが第13~14話の内容から分かる)の昼間、3人はライブの宣伝を兼ねた仕事としてやまぶどうテレビ(地方ローカル局)の登山ロケ番組の収録に参加。例によって琴葉は気を引き締め、難易度の低い山だからと侮る恵美らを窘める。
なおも警戒を解かない琴葉に対し、恵美は崖の側で落ちるふりをしておどけ、琴葉の肩の力を抜かせようとする。
しかし、その場で石に躓き、恵美は本当に崖から転落。更に、咄嗟に恵美を救おうとした琴葉も巻き添えとなり、崖を滑落した2人は遭難してしまう。
一方でロケ班のエレナは突然の出来事に錯乱し、後を追って崖を飛び降りようとするもPに何とか制止される。Pはすぐさま警察などに連絡しようとするが、ディレクターは責任を取らされることを恐れ、警察沙汰を避けようとしてPと衝突する。
大ごとになればライブに支障が出て劇場の皆にも迷惑がかかることも理解したエレナ。しかし、エレナは琴葉と恵美の身の安全を第一に考え、自分達がトラブルを起こしたことをディレクターに謝罪した上で、琴葉と恵美が助かる方法を教えてほしいとお願いする。その真摯な姿勢にディレクターも心を動かされ、関係各所に連絡し、ロケ班は救助の体制を整える。
琴葉と恵美は登山道に出るため荒れた山を登る。そんな中、恵美が「チェリー」を歌い出す。この曲は、懇親会(第0話)で初めて会い意気投合した3人が、終了後カラオケに向かって歌った曲だった。
初対面時から不思議なくらい気が合い、ユニットも組めたらという願いも実現した3人。ラストピースのエレナにもう1度会うべく道なき道を進むが、依然状況は開けない。琴葉は自分達の力で前に進んだ「Clover」(第13話)と比較して自分の無力さを嘆くが、恵美が滑落時に左膝を負傷していたことに気付く。恵美はこれ以上琴葉に心配をかけまいと黙ったまま山を長時間歩いていたのだったが、そんな恵美を琴葉は珍しく語気を強めて窘める。
琴葉は持っていた救急用品で恵美の傷の手当てを行い、なおも「チェリー」を歌いながら山を進む2人だったが、滑落から6時間以上が経過し日没を迎える。一泊を覚悟して腰を下ろす2人だったが、そこに草木をかき分ける物音と共にある物体が近づく。事前に大神環から聞いていた大型の猪などの獣と勘違いし、2人は怯えながら身を寄せ合うが――
それは2人を捜索していた救助隊員だった。
かくして2人は保護され、現場にはエレナとP達が到着。エレナは2人が無事だったことに大粒の涙を流しで抱きつき、琴葉も安心からか自然と涙を零す。そして同じく2人の無事を安堵したP達に対し、恵美は自分の失態から大騒動になったことを謝罪。そして、救助隊員らにも発見してくれたことに3人で感謝の弁を述べた。
発見地点が山頂に近い位置だったことから、一同は山頂まで改めて山を登る。
やがて山頂に到着し、3人は薄暗いながらも星々が輝く夜空を眺める。その光景を、前述のカラオケのミラーボールの様子と重ね合わせたエレナが突然歌い出したのは、「チェリー」。
予期せぬシンパシーに琴葉と恵美は思わず笑ってしまうが、エレナは2人の手を引き、3人は歌いながら踊り出す。自分達はまだまだ星には程遠いが、3人でいればいつでも笑顔になれると、同じように3つ揃って夜空に輝くオリオン座の三連星の下で、3人はその絆を確かめ合ったのであった。
その後、一泊して翌日に帰京した模様(単行本4巻挿し絵より)。
5巻
第16話、いよいよ迎えたユニットデビューライブ本番。オープニングに続いて3ユニットは登場し、最初の1曲「Brand New Theater!」を計9人で歌う。
第17話、「トライスタービジョン」は「ダブルエース」に続く2組目のユニットとして登場。高校生ながら大人っぽさを前面に出したパフォーマンスで、中谷育らを魅了し志保の母などを驚かせる。
MCでは恵美が第14.5話の遭難の件に言及。「遭難」という不穏なワードに客席はざわつくが、エレナは改めて2人の無事を安堵し、琴葉は3人でステージに立てたことの喜びを語った。
そして夕日をバックに温かみの溢れる楽曲を歌唱し、パートは終了。3組目の「Clover」に後を託し、ステージを下りた。
第18話のライブ終了後は、出演メンバーと共にケータリングを楽しんでいる。
6巻
第19話、ライブの成功を機に雑誌のグラビアを中心に仕事を増やす3人。
そんな中、夏休みの目玉企画「1週間連続公演」が発表され、その千秋楽の演劇公演を担当するユニット「夜想令嬢」のメンバーに恵美が選ばれる。
史上初のユニット掛け持ち(第40話時点でも唯一)という事態に喜びより困惑が勝り、今後の活動はどうなるのかをPに聞く恵美。そしてPの口から、「トライスタービジョン」自体は活動を継続するが、今決まっている仕事以外は個々での活動がメインになると告げられる。
3人での活動の場が減ること、そして何より、琴葉がアイドルになったのは演劇の仕事がしたかったからであることを知っているために自分が先に演劇の仕事を貰ってしまったことに負い目を感じる恵美だったが、本心を2人に見透かされ、琴葉からも「私のことは気にしないでがんばって!
!」と背中を押され、全力を尽くすことを誓う。
しかし第20話で恵美は稽古において演出家から「自分らしさを出さないでほしい」というダメ出しを再三食らい、意気消沈する。そんな恵美の前に現れた双海亜美/真美に誘われる形で、第21話で3人は他のアイドルと共にゲームセンターやカラオケに向かう。
そのカラオケで突然相談会が始まり、恵美は「自分らしさを抑えて心に届く演技はどうすればできるのか」という悩みを吐露。同じく歌に悩んでいた可奈と共に煮え切らない態度を示す恵美に対し、琴葉はおもむろにマイクを手に皆の前に出る。
本心をストレートに伝えることはできない琴葉は、マイクの力を借りて、強い自分を演じてでもその想いを伝えることを決心したのだった。
恵美が自分の悩みを演出家やメンバーに相談していないことを見抜いた琴葉。追及された恵美は、「頼れるわけないじゃんか…」と言葉を絞り出すが――
「なんで友だちに頼れるわけないの!?」
そして、演劇の仕事はしたいが、友達に仕事が決まって嬉しいし頼ってもらえないのが悔しいという「本当の気持ち」をさらけ出した琴葉は、恵美の「本当の気持ち」を聞き出す。
「怖いの」
周囲や琴葉の期待に応えられないことがひどく怖いこと、第14.5話と同様に周りに迷惑はかけられないという想いから相談を渋っていたこと、そして1人で思い詰めた挙句「夜想令嬢」における自分の存在意義まで見失いかけていたこと。
自分の心中を吐き出した恵美は、最後に一言「助けて」と涙ながらにヘルプを送り、琴葉は恵美を救うべく部屋をもう1室借りてそこで演技の相談をすることを決め、部屋を出て受付に向かう。
エレナは「はなれてたって友だちなのは変わらないんだよ」と、自身が演技に疎いこともあり2人は干渉しないようにしていたが、戻ってきた2人はエレナにも助けを求める。
琴葉「私たちは3人で『トライスタービジョン』でしょ」
それにエレナも応え、3人は別室に移動した。
その場で恵美は琴葉に「相手の役者を見ること」「エドガー(恵美の役)ならどう行動するかを常に第一に考えること」などを伝授され、エレナからも「エドガーのこと大好きになればいい」とアドバイスを貰った恵美は、第22話で再び稽古に臨む。
恵美は前日までとは違う明確な意図を持った演技をすることができ、演出家を唸らせる演技をすることができる。その頃琴葉とエレナは可奈達の元に行っていたが、2人とも恵美の成功を確信していた。
8巻
上述の通り琴葉とエレナは同日に出演するため、第28話で一緒にレッスンを行っている他、第30話の動画でも共に登場している。
9巻
第33話にて、遂に恵美が公演本番を迎える。恵美はこの夏の経験や研鑽、そして第21~22話で琴葉やエレナから吸収したことを最大限に生かし、会心の演技で観衆を劇中の世界に引き込む。
前日に本公演での出番を終えた琴葉とエレナも観覧に訪れ、琴葉は自分もこの舞台に立ちたかったという悔いを消し去ることはできなかったものの、両名とも「今日のみんなは最高だヨ!!」と恵美らに賛辞を惜しまなかった。
終演後の第34話では、感極まった様子の琴葉が恵美らに感想を伝えているとみられるシーンが描かれている。
その翌日の第35話では、3人は溜まりに溜まっている恵美の夏休みの宿題の消化のために、歌織・紗代子・天空橋朋花とファミレスに来ていた。
11巻
第41話にて、3人揃ってのドラマ企画への参加が判明している(詳細は不明)。