矢吹可奈(Blooming_Clover)
やぶきかなぶるーみんぐくろーばー
みんなの心に元気や楽しいを届けられるそんなアイドルを目指して
矢吹可奈は猪突猛進前に進んでいきます!
「アイドルマスターミリオンライブ!」の登場人物矢吹可奈の記事にて、漫画「アイドルマスターミリオンライブ! Blooming Clover」についての記述があまりにも長くなったため、また記述内容にネタバレを大量に含むため、「Blooming Clover」に関する記述はこの記事に分割した。
以下では作品の根幹に関わるネタバレを大量に含むため注意されたし。
北沢志保と共に主人公に抜擢される。
ある年の春、765プロの新人アイドルオーディションを受け、合格してアイドルになった14歳(中学2年生)の女の子。苦手なものはお化け、好きなことは歌うこと…であるが、その歌唱力はまだまだ発展途上。
劇場には片道1時間かけて3回の乗り換えを経由して通っている。中学校では合唱部に所属し、イメージに反して結構体力はある。しかしながらその合唱部にはアイドルになって以降は顔をあまり出せていない様子で、それが第40話以降では火種となる模様。
両親が共に暮らしているが、たまに家を空けることがある(第29話)。
単行本7巻の第26話時点まで、本編のみならず番外編なども含めて全ての回に何らかの形(回想なども含む)で登場している唯一の登場人物であったが、番外編の第26.5話(雑誌掲載時第29.5話)で遂に一切登場しない回が出てしまった(とはいえこの回は4ページのみであったが…)。なお、本編に限れば2022年12月現在最新話の第58話まで全話に登場している。
1巻
第1話
765PRO ALLSTARSに憧れ、アイドルになるべく765プロのオーディションを受けるも、審査結果はダンスが10点満点中2点、歌唱に至っては10点満点中0.5点。本来ならば不合格のところだが、誰もが緊張している最終審査で「歌でその場にいる人間を笑顔にした」という点からアイドルとしての才能をプロデューサーに認められ、1ヶ月遅れで合格通知を受け取り、ミリオンスターズに合流することとなる。
そして、プロデューサーやアイドルらとの初顔合わせのため765プロライブ劇場に初めて足を運び、高坂海美に劇場を案内された後、アイドル達の前で早速自己紹介の為に一曲歌う。音程はともかく、楽しそうな可奈の感情が伝わってくるということでアイドルらには概ね好評だったが、可奈の指導係に任命された志保には「なぜあの実力で笑っていられるのか理解できない」と一蹴され、可奈と呼んでほしいと言うも「矢吹さん」と呼ばれることになる。
第2話
指導係となった志保の下で連日レッスンに参加し、その後バックダンサーとして初めて公演に参加することになる。本番前は志保に諭されても「今日はステージ楽しもうね♥」と楽観視していたが、ピンスポットの照明の熱、声援による空気の振動、この人の豹変などのステージ上の独特の雰囲気に適応できず、志保を巻き込んで転倒するなど大失敗してしまう(音響トラブルでリハーサルができなかったという事情はあったのだが)。少しでも早く結果を出したかった志保は自分のパフォーマンスを邪魔されたことに激しく憤り、可奈は憧れていたステージの怖さに直面して肩を落とす。
その後、屋上で同じくバックダンサーとして出演しており失敗に落ち込んでいた箱崎星梨花と会い、彼女がライブのことをよく分かっていなかったことを知り、この公演の直後に行われるASの公演を一緒に観ることを決める。
第3話
ASの公演の開演前、星梨花がアイドルになった経緯を聞く。
そしてライブMCでは、萩原雪歩も同じようにステージが怖かったが仲間のお陰で今のようになれたことを知り、星梨花と共にアイドルとして頑張る決意を新たにする。
第4話
志保、星梨花との3人でステージデビューの2枠を懸けてオーディションで争うことになる。当然歌唱審査が大きな懸念材料となり、幼少期から大好きで歌っているのに上手に歌えないことを嘆く。しかし、横山奈緒・中谷育・七尾百合子との接触から「どうしたらどの音が出るか分かる」楽器では正常に音程を取れることが分かったため、彼女らに助力を仰ぎそのことを生かした練習で上達し、オーディションの歌唱審査では歌唱力の大きな成長を見せ一同を驚かせる。しかし、志保と星梨花も当然努力で苦手を克服しており、力及ばず落選。
だが、それを告げられた時の可奈は一切悲しげな表情を見せず、むしろ笑顔を見せていた。それは、歌が大好きなのに上手く歌えないことを嘆いていた自分が、初めてここまで上手に歌うことができたから、そしてこれからも大好きな歌を素敵に歌えることの喜びを噛み締めていたからだった。
ところが、そんな可奈の姿を見た志保が体調不良で倒れ――。
おまけマンガ
二階堂千鶴の買い物に同行する。
2巻
第5話
志保の体調不良を受け、志保のデビューの白紙化と可奈の繰り上げ合格が決定。「こんな形でステージに立つのは不本意だと思うけどさ」とPから直々に志保の代わりを任される。
幼少期からの「アイドルとしてステージで歌う」という可奈の夢。それが思わぬ形で、目の前に転がり込んできたのだった。
が、可奈の答えは――
「イヤです!!」
驚愕する一同。眼前のチャンスを可奈が拒んだ理由は、第1話以来志保がいつも頑張っているところを近くで見ており、自分より遥かにアイドル活動に取り組んでいる志保がステージに立つ姿をどうしても観たかったからであった。
そんな可奈の想いにPも折れ、予定通り星梨花と志保のステージデビューが決まる。
第6話
引き続き志保のサポートに徹し、公演中は観客席の最後方で他の観客と同様にペンライトを持って志保らを応援していた可奈だったが、「頑張った可奈もステージに立たせてあげたい」と徳川まつりらが主張したため、舞台袖に呼び出される。突然の出番に、第2話で感じたステージの恐怖が甦るが、見かねた志保に手を握られて落ち着かされ、ステージに立つ。前を向き、ファンの姿や表情などをその視界に捉えた可奈は、自分のパフォーマンスでファンが湧いていることを初めて実感し、感謝の気持ちを胸に抱いて志保と共に「L・O・B・M」を歌い切る。
終了後、先刻の応援が志保の緊張を融かす力になっていたことを知った可奈は、自分がステージに立てた時よりも涙を流してそれを喜んだのだった。
3巻
第9話
海美のダンスについていけず筋肉痛が悪化する中、この日もユニットでレッスンに参加。
数日後のユニットデビューライブ3週間前、4ユニットによる合同レッスンが行われるが、それに憧れの存在であった天海春香が飛び入りで参加することになり可奈は驚愕する。
第10話
春香らとレッスンを行うが、「Brand New Theater!」のリハーサルの際には春香らの前で不甲斐ないパフォーマンスを見せてしまい、更にリーダーである志保にその責任を負わせてしまうことになる。
劇場の屋上で塞ぎこんでいると、春日未来、そしてプチシューを差し入れに来た春香が会いに来る。自身の春香への憧れを語り、春香みたいなアイドルになりたいと話すが、春香に「それは難しいんじゃないかな」と断じられる。それは他人にはなることはできないが、自分の「道」を1歩ずつ進むことで見えてくるものがあるという意味であった。
自分が765プロに入ってから歩んできた「道」を振り返る可奈。
そこで一際大きな存在感を放っていたのは、第6話のステージデビュー直前で不安に震える可奈の手を握ってくれた志保であった。
この会話をきっかけに、これまで明確なビジョンを持っていなかった可奈は「志保の隣に立てるアイドルとして輝ける自分になる」ということを一つの目標にするようになる。
第11話
引き続き歌織と紗代子の下で声帯模写などの歌唱練習を行い、歌織のステージデビュー公演ではこの3名で「MUSIC♪」を歌う。
第11.5話
佐竹美奈子の作る昼ご飯に舌鼓を打つ。
4巻
第12話
ライブ1週間前の通しリハーサルにて、他の3人についていけなかった志保を励ますため、彼女らを離れて1人洗面室にいた志保の元を訪れる可奈。歌織の「しっかり想いを込め」た歌は「きっとみんなに伝わる」という言葉、そして何より自分の信念を信じて、可奈は志保のために歌を歌う。
しかし、志保は「あなたが歌って楽しいだけでしょ」と可奈を突き放し、歌の力を信じていた可奈はそれが裏切られたことにひどく落胆する。
第13話
翌日、志保が失踪したことが発覚し、可奈は他アイドル達と一緒に雨の中レインコートを被って志保を捜すも成果なし。Pは「ここにいてもできることは何もない」と一同に帰宅解散を命じるが、可奈はある場所へ一目散に向かう。
それは、いつも自主練を行っていた広場。「絶対ここに来る」という可奈の勘は当たり、志保は(おそらくそれまでの捜索隊が撤収してから広場に来て)そこに立っていたが、この日の家族とのいざこざ等からアイドルを辞めることを仄めかす発言をする。
志保の気持ちを察した可奈は、大雨の中、最初のオーディションの課題曲であった「Dreaming!」を志保の前で歌う。
それは可奈が、自分の歌で誰かが笑顔になってくれるととっても嬉しいから、そして自分の歌は未熟だけれども誰かを笑顔にできるおまじないくらいにはなるとやはり信じ続けているからであった。
更に星梨花や海美も合流し、3人で「Dreaming!」を歌い踊る。
「いっしょに、いくよー!」
一度裏切られても歌うことを貫いた可奈は、志保に幼少期に抱いていたアイドルへの憧れを思い出させ、遂に翻意させることに成功する。
翌日、志保の家庭事情を知り、星梨花の提案でCloverは北沢家で合宿を行うことになる。
第14話
合宿が開始。2日目には、これまた憧れの存在であった高槻やよい、水瀬伊織とも出会う。
余談だが、志保の弟の陸は同じCloverの海美と星梨花のことははそれぞれ「海美お姉ちゃん」「星梨花お姉ちゃん」と呼ぶのに対し、可奈のことは「可奈ちゃん」と呼んでいる。
第14.5話
田中琴葉の回想内で第12~13話のシーンが登場。
5巻
第15話
ユニットデビューライブまであと2日。第2話や第10話での失敗から、ライブに対しちょっぴりの恐怖心を覚えるも、4巻で一悶着あった志保が元の姿に戻ったことに安堵し、海美と星梨花の存在や自身の成長から、今回こそは志保にステージを楽しんでほしいという偽りない想いを志保に伝える。恥ずかしいくらい真っ直ぐに感情を伝えてくる可奈に対し照れた志保は、走るペースを上げる。すると可奈も志保以上にペースを上げ…
そうして切磋琢磨する2人は、互いに屈託のない笑顔で接する関係になっていた。
第16話
ユニットデビューライブ当日となり、可奈は志保の家族のことを気にかけつつ、またオープニングとして出演した野々原茜と紬の出番を楽屋で見守った。
第17話
ライブも進行し、Cloverの出番の直前。可奈、星梨花、海美も緊張が極限に達する中ーー
志保「失敗の許されないユニットデビューライブ 緊張して当然だと思う」
可奈「!? 志保ちゃん…」
志保「でもそれは1人だったらの話」
志保「Cloverは♪」
海美「4人で♪」
星梨花「1つ♪」
可奈「Cloverはぁ♪ 4人で1つ♬」
4人「ファイト オーー♬」
なんと、事あるごとに志保にスルーされていた「Cloverのうた」を、志保が主導する形で歌ったのであった。
そして、結束を確かめた4人はステージに立ち、最初の1曲が始まる。
第18話
ライブは進み、最後の楽曲「Clover Days」。可奈は歌織らのお陰でこのように歌えるようになったこと、Cloverの3人のお陰で楽しく歌えること、そして第10話で誓った「志保ちゃんの隣に立てるアイドルとして輝ける自分になる夢」を叶えられたことの喜びを噛み締めながら歌う。
ライブ終了後、志保に呼び止められる。第1話から今までのあまりに多い出来事を思い返して言葉に詰まる志保は一言、可奈にこう告げる。
「これからもアイドルがんばりましょうね、可奈」
そして、今までろくに笑わなかった志保が満面の笑みを可奈に向けてくれたことに、可奈は頬が緩まずにはいられなかったのであった。
なお、可奈本人は呼称の変更には本話の終了間際まで気付いていなかった模様。
6巻
第19話
Webラジオ「くろらじ」などCloverとしての新しい仕事も始まり、次の目標として夏休み1週間連続公演に向けて大好きな歌をもっと上手に歌えるように頑張ることを決意していた矢先、志保から歌の練習と勉強を禁止され絶望する。
第20話
歌を禁止された理由を他の仕事にリソースを割くためと勘違いした可奈は、海美らと共に自主練を重ね、「くろらじ」の収録現場で更に上達した歌を志保に聞かせるが、約束を破ったことを怒られる上に「前より悪くなった」と酷評される。禁止の理由がどうしても分からない可奈は志保にヒントを求めるが志保は口を割らず、両者ヒートアップ。遂には「志保ちゃんのバカ!」と吐き捨て、現場を去ってしまう。
帰り道、少々落ち着いた可奈は「志保ちゃんにひどいこと言っちゃったな…」と後悔して涙を流すが、そこで木下ひなたが歌を歌う。その後、同様に演技で悩んでいた所恵美と合流し、先刻のひなたの歌で胸のくよくよがなくなっていく感覚、春香や千早らの歌を聴くのと似た感覚を感じたことから、「うまく」やろうとするのが間違いなのではないかと考える。しかしながら自分らしく歌っているままでは進歩がないと悩んでいるところに、双海亜美と双海真美が現れる。
第21話
亜美と真美にカラオケに連れられ、歌わされる。点数の取りやすい曲を選択し、自己最高点の81.075点を出すも、皆には不評。次に可奈の好きな歌を歌うように言われたため、上手く歌えないが大好きな歌を歌ったところ、点数は68.510点ながら「とってもいい歌だった」等と高評価を受け、歌に気持ちを込めて歌うことが大事であることを気付かされる。
しかし上手く歌わないことで周囲に迷惑をかけることをなおも案じる可奈だったが、琴葉から「勝手に周りの気持ちを決めつけるのはよくない」と諭され、更に海美にも志保の真意を知らされた可奈は、「友だちに届けたい歌がある」と一同に助力を改めて依頼する。
7巻
第23話
冒頭で海美の女子力焼きそばを被弾して倒れる。Cloverの年長者として役割を果たせていないと思い、女子力特訓に精を出す海美に可奈はそのままでもいいと思うと言うが、海美に「自分を変えたいって思うことはいけないことなのかな?」と問われ、可奈は答えを返すことができなかった。
8巻
第27話
星梨花が出演する定期公演の日、公演に来た星梨花の父親の元を志保や海美と共に訪れる。彼は第24~25話で星梨花にアイドルを辞めさせようとしており、志保らの説得で第26話に一旦結論を保留としたところであった。
可奈は、第3話で星梨花から聞いた「知らない世界を知りたくて」というアイドルになった動機のこと、そしてその夢を叶えさせてあげるためにこれからもアイドルを続けさせてほしいと星梨花の父親に頼み込む。
そして公演終了後、星梨花の父親はアイドル活動を続けることを容認する姿勢を見せ、可奈らは安堵の表情を見せた。
第28話
星梨花や海美と共に、志保から「ユニットの方向性をどうすべきか」の相談を受け、皆で考える。結果的に方向性まではまとまらなかったが、「ちゃんと考えて行動する」「困ったらみんなと話し合う」「目の前のことを精いっぱいがんばる!」というアイドルとして前進する方針を策定した。
第29話
1週間連続公演まであと4日。両親が諸事情で不在のため、ひなたの家にエミリーと共に泊まることになる。
ファンレターでわざわざ宿や新幹線を予約して来るファンもいることを知り、一人暮らしでちゃんと自律できているひなたと比べて夏休みでだらけている自分を反省し、また第20話での恩返しもできていないことを悔やむ。
その後、ひなたがスカウトされた経緯、ひなたは立派なアイドルになるまで家族とは会わない覚悟だったこと、しかしながらエミリーに再三説得されて家族を今回の公演に招待したことを聞く。ひなたの言う「立派なアイドル」になれているかは怪しい上に、台風の接近で来場客が減ることも考えられるが、とにかく今回のライブを全力でやり切ることを可奈は誓ったのであった。
翌日(公演3日前)は歌織と紗代子と共に歌の特訓。いつも以上に気合が入っている様子だった。
第30話
公演2日前、1日目メンバーのClover、ひなた、エミリーと共にPに呼び出され、台風接近のためライブの中止が決定したことを伝えられる。家族との再会の機会を奪われたひなた、それを受け入れられないエミリーを筆頭に、一同は悲壮感に包まれる。
そんな中、昨年の台風の時に春香らの歌に勇気づけられたことを思い出した可奈が口を開く。
「何か…できないかな?」
悲しいのは自分達もファンも同じ。アイドルは皆を笑顔にするものだから、ライブが中止でもファンの為に何かできないかという提案であった。Pも乗り、代替企画について話し合いが始まる。
極限の悲しみの中にあっても可奈がブレークスルーとなる一言を発することができたのは、第28話で「ちゃんと考えて行動する」「困ったらみんなと話し合う」「目の前のことを精いっぱいがんばる!」という前に進む方法に、このような状況においても忠実になることができたからだった。
そして、ライブ等の様子をまとめた「ミリオンスターズ特別動画」を配信することに決定する。翌日(公演前日)に収録を行い、さらに翌日、配信の日を迎える。その最中には、可奈も両親と思しき人物(※未確定)と共に動画を観ている様子が描かれている。
動画の最後のMC。志保にコメントを振られ、スタッフや視聴者に感謝を述べた可奈は、続けて「あきらめなければ夢は叶う そんなことばかりじゃないですけど」「それでも立ち止まらず一歩を踏み出してよかったと思います」と、行動を起こして観客に笑顔を届ける機会を作ることができたことの喜びを嚙み締める。
そして、これからも仲間と共に「みんなの心に元気や楽しいを届けられるそんなアイドルを目指して 矢吹可奈は猪突猛進前に進んでいきます!」と抱負を高らかに宣言し、4人で最後の楽曲の名を告げる。
「Clover Days」
「ねえ 雨の中で 光届けて 一緒に 笑っていようよ」
全世界のファン、アイドルやその家族、被災者等に、文字通り豪雨の中で笑顔を届けることに成功した可奈達。目の前にファンはいなくとも、その表情は充実感で溢れていた。
翌日(公演2日目)、台風一過で快晴の東京。もう1日台風が早く来ていたら…と惜しみながら志保らと共に劇場に移動していると、その姿をファンに発見され、前日の動画のお礼を言われる。
そして、ひなたの事情を聞いた律子らから、彼女らがテレビ番組の収録で獲得した旅行券を与えられた可奈達6人は、4日後(公演6日目)、北海道の空港の到着ロビーに立っていた。
9巻
第31話
ひなたの地元の夏祭りのステージにゲスト参加するために北海道にやってきた一同。鉄道でひなたの実家の最寄り駅、更にひなたの農園に勤める男達の運転する車でひなたの実家へ向かう。可奈は、地元と通勤用車両の北海道のスケールの大きい駅舎や雄大な自然などに圧倒される。
ひなたの祖母との再会を見届け、その夜の歓迎会ではエビフライなどの美味しい食事に舌鼓を打っていた。
10巻
第36話
季節は秋に移り、可奈は歌のオーディションを複数件受けていたがいずれも落選と、うまくいかない日々が続いていた。
そんなある日、可奈は補習回避のため中学校で友人から古文を教えてもらっていた可奈は、逆境にもめげず意気揚々と劇場に向かうが、この日は自分のレッスン日ではないことが発覚し急に暇になる。すると、Pからお遣いを頼まれた志保と会い、一緒に事務所に行くことになる。
劇場の駐車場付近で、2人は福田のり子・周防桃子と会う。このうち桃子は11歳でありながら以前から芸能界で活躍していた"先輩"であり、そして765プロに入ったばかりの頃、ミスをしたPを桃子が威圧感たっぷりに叱責している場面をたまたま目撃していた可奈は、桃子の前だと緊張で挙動不審になってしまっていたのだった。
事務所に着いた可奈は、自身が敬愛する歌姫・如月千早と春香に出会う。千早が新曲を歌うことになったのを知った可奈は興奮するが、一方で最近ASが多忙になったため閑散としがちな事務所に千早が哀愁を抱いていることも知った。
劇場に戻った可奈たちは、Pから「765プロファン感謝祭」の開催について伝えられる。そして更に、Pは可奈・のり子・桃子の3名に対し、
(桃子は)「『アイドルとは?』ということを可奈とのり子から教わって」
「その代わり桃子は『プロとは?』ってのを2人に教える」
という内容を、「秋の課題」として遂行するよう通達した。
桃子にアイドルとして「今を楽しむ気持ち」「未来を夢見る気持ち」を持ってほしいというPの意向を聞かされた可奈は、これまでの経験を生かして桃子の先生となることを決心するが、桃子に「桃子の方が芸能界では先輩だから」とあの時のようにすごまれた可奈はたちまち委縮してしまう。こうして、3人による秋の物語が幕を開ける。
第37話
前回から数日後、可奈は志保・海美・のり子・篠宮可憐と共に、桃子がメインとして出演する撮影のエキストラに参加する。
可奈たちの役はただ歩くだけの通行人であったが、可奈はついついカメラを意識してしまい不自然な歩き方になってしまいダメ出しを食らう。しかし志保の「買い物の途中だと思って歩いてみたら?」という具体的な設定を考えるアドバイスに従うと自然に歩くことができた。
志保が第24話のショーで自身が演じた役の設定を完璧に憶えていることを知った可奈は、第6話のステージデビューの際に志保が「矢吹さんは私と星梨花といっしょに ステージでアイドルしたいそうですから」と第5話で留守電に残した内容を憶えていたことを思い出し、懐かしい気分に浸る。
一方、桃子の"女優"としての仕事ぶりも目の当たりにした可奈は、桃子が演技の仕事に並々ならぬ熱意を注いでいることを感じ取り、『プロ』の定義として「少しでもいい仕事ができるように一生懸命がんばる人のこと」という結論をのり子と共に出した。
その1週間後、今度は可奈とのり子が「アイドル」について桃子に教える番であったが、松田亜利沙の呼びかけによって他のアイドルが多数集まってしまう。
第38話
この日のプランをろくに考えていなかった可奈(とのり子)は窮地に立たされるが、青羽美咲が備品の見回りをしているのに便乗し、「掃除をしよ~っ!」と提案。可奈本人は適当に言ったつもりだったのだが、亜利沙によってもっともらしい理由が付けられたため本当にエントランスの清掃を皆ですることになる。
チケット売場やポスターの額などを丹念に清掃した一同。清掃が終わったところに帰ってきた奈緒・美奈子が見違えるほどピカピカになったエントランスの様子に思わず笑顔になったのを見た可奈は、清掃後の今の感覚を「ステージに出たあとみたいな気持ち」に喩える。自分たちが頑張ったことで誰かに笑顔をもたらす構図に、アイドルのステージと似たものを感じたようだった。
清掃を終えた可奈は、志保から届いた1件のメッセージに驚愕する。なんとこの日、志保とその家族は千早と会って色々と話をしたというのである。
11巻
第40話
この日、午前は「くろらじ」の収録を行い、午後からはのり子の主催する懇親会に海美と共に合流するため駅に向かった。
その駅で、「矢吹?」と声をかけられる可奈。なんとこの駅には同じタイミングで可奈の所属する合唱部の面々(先生含む)が老人ホームでの合唱会の帰りでたまたま来ており、突然の邂逅にちょっとした騒ぎになる。
一部の部員が海美らにサインをもらっている間、可奈も友人と話していたのだが、その時に可奈がやや申し訳なさそうな顔をしていたのに海美は気付き、不審に思った。
その後、一同はのり子の主導でプロレス観戦に行くことになる。
最初は屈強な男たちに恐れ慄き「怖い」というイメージを述べ、また互いの技を正面から受け止め合うレスラーの様子に「なんで攻撃避けないのかな?」と率直な意見も漏らしたが、のり子の解説と共に観戦していくにつれて段々とその興奮を理解するようになり、最後には満足して会場を後にした。
その後、皆で街を歩いていると、レンタルビデオ店のワゴンで、桃子がパッケージに映っている「将軍鳥物帖」という1本の映画を可奈は発見する。杏奈らはこの映画のことについて桃子に訊こうとするが、桃子は口を割らず、更に杏奈がこの映画を検索して☆1.3という凄まじい低評価の作品であることを知ってしまうと、詮索しようとしたのり子に「大キライ」と吐き捨てて帰ってしまう。結果的に可奈の何も悪気のない行動が発端となって、大きな亀裂を桃子とのり子らの間に作ってしまうことになった。
第42話
数日後、可奈は海美・ロコと劇場に向かうが、桃子との一件を引きずっており深刻な表情のままだった。見かねた星梨花や可憐、紬(茜)の気遣いにより少し元気を取り戻すが、桃子にどう謝ればいいのか途方に暮れる。
その後、のり子の意見で搦手を使わず面と向かって謝罪することを決めた一同は、劇場にやってきた桃子に対し「この前はごめんなさい!」と頭を下げる。桃子側も言い過ぎたことを反省していたため、仲直りは成立することとなった。
Pは一同に、自分なりのプロとしてのなりたい自分を想像するように言う。可奈も「アイドルとして前に進みたい」という目標は前々から決まっているのだが、その目標に向かおうとする自分に対してやはり何か引っかかるものがある様子だった。
その後、可奈はのり子・桃子・豊川風花と共に、週末の仕事についての打ち合わせをする。そして週末、4人は仕事の場である海辺に来ていた。
12巻
第43話
海辺でのグラビア撮影の仕事を迎えた可奈たち。可奈は緊張しながらカメラの前に向かうが、カメラマンの早坂そらの要求は「1曲歌ってもらっていいですか?」だった。
そらの先導に合わせて「MUSIC♪」をのびのびと歌い、その後ものり子・桃子とビーチバレーで遊ぶなど、お仕事というよりただの遊びの時間をしばし過ごす可奈だったが、それは可奈たちの素朴でかわいらしい笑顔を引き出すためという撮影班の目論見通りだった。かくして、撮影は順調に進む。
第44話
午後、雨の降る海辺で行われた風花の水着での撮影に、可奈たちは声援を送る。
終了後、風花から、理想通りというわけではないながらも様々なことに挑戦できるアイドルへの想いを聞いた可奈たち。帰り道、のり子から「これからどんなことに挑戦したい?」と問われた可奈は、「プロとして目の前のお仕事がんばらなきゃなって」と歯切れの悪い答えを返すにとどまった。
第45話
ある日、海美と2人で劇場と反対方向のどこかに向かって歩いているところを大神環らに発見される。
第46話
近辺の公園のベンチに腰を下ろした2人。第40話での可奈の様子が気になった海美に、何か気にかけていることがあるのではと問い質された可奈は、自分が人知れず抱えていた悩みについて打ち明ける。
合唱部に入っているように、皆と一緒に音楽を奏でられる合唱が大好きな可奈。この年の合唱コンクールもいたく楽しみにしていたのだが(第20話回想で課題曲が公開されていた)、よりによって日程が「Clover」がゲスト出演する春香の公演の日に被ってしまっていたのだった。
そして、このことを相談した学校の友人からも「アイドルになるのは可奈ちゃんの夢だったんでしょ!お仕事がんばらないと」と後押しされてしまったこと(但しこの友人はコンクールに出たいという可奈の本心を汲み損ねていた)、桃子の「将軍鳥物帖」の一件を聞いて自分のわがままでアイドルとしてのキャリアを失うのは絶対に避けたいと思ったこと、相談しようにもPが多忙そうなこと、といった理由から、合唱コンクールへの出場を諦める方針でいたことを明かす。(この部で度々話題になっている、「プロ」のアイドルとしてふさわしい選択は何か――と、可奈なりに考えた行動であるとも考えられる)
しかし、アイドルとして多忙になっていく中で、今回の合唱コンクールのように諦めなければならないことがどんどん増えていきそうなことに対して恐怖も感じていた。
自分の心の整理がつけば大丈夫と強がる可奈に対し、過去に似たような経験のあった海美は「どっちも(に出るの)は無理なのかな?」と、とりあえず一度Pに相談しようと提案する。1人で悩んで途方に暮れていた可奈は、海美の優しさに思わず泣き出してしまった(彼女の抱えていた辛みの大きさは想像に難くない)。
その後、劇場で事の顛末を聞いたPは可奈に「気を使わせてしまってすまなかった」と謝り、アイドル業を大切に思ってくれているのはありがたいが、芸能人には学生時代に学校行事にろくに出られなかったことを後悔する人間が多いということを述べ、人生に一度しかない中学2年生の学校生活も尊重してほしいと語る。そして、おそらく学校側とも協議を重ね、当日の可奈のスケジュールが決定する。
- 余談だが、『Brand New Song』第14話(3巻)でも、七尾百合子による「アイドル業で本を読んだりゲームしたりする時間がない」という同種の悩みがテーマとなっていた。
第47話
合唱コンクール及びライブ当日、10分の遅れも許されない過密スケジュールが決行される。
まずは営業イベントでの仕事を全うし、若干のタイムロスになるもののファン対応も親身になってこなした可奈は馬場このみの運転で中学校へ。しかし渋滞で足止めを食らい、予定時刻までに到着できない見込みとなってしまう。
やがて迎えた開始時刻。「矢吹はやっぱ厳しかったか…」と残念がる友人やクラスメイトだったが、幕が開くとほぼ同時に…
「ちょっと 待って~…」
「!?」
なぜか疲労困憊で壇上に現れたのは、可奈だった。
車が動かないことにしびれを切らした可奈は、なんと脇の歩道を、志保・星梨花・海美と一緒に少なくとも3km以上走って学校まで辿り着いたというのである。
そして可奈をそこまでの行動に突き動かしたのは、前述の「お仕事がんばらないと」と言った友人の存在。彼女は以後の経緯から可奈がライブと同じくらいコンクールに出たがっていたことを察し、先の発言を後悔しており、可奈からコンクールの開始時刻に間に合わないかもしれないと知らされた際に、アイドルの応援者としてではなく昔通りの一人の友達として、「わかった 無理しないでいいからね けど、待ってる。」とメッセージを送信していたのだった。
無事に歌唱を完了した可奈は、再びすぐに移動を開始。劇場での開演時刻にも無事に間に合う。
開演直前、共演する春香たちの前で、可奈は今回の一件における心境を語る。
「私自身は前と何も変われていなくて みんなの応援と手助けのおかげで 笑顔でアイドルができてるんだって」
「そう思ったら胸の中が『ありがとう』って気持ちでいっぱいで! この気持ちをどう返したらいいのか想像もつかないんですけど…!」
「今日のステージも感謝を込めて全力でがんばりたいと思います」
皆のお陰で一件を乗り越えてまた新たなアイドルとしての芯ができた可奈の姿に、春香も「可奈ちゃんももう立派なアイドルなんですね」と成長を認めると共に、「私も負けてられませんね」とライバル心を芽生えさせていた。
13巻
第48話
ロコが制作したロコアートの発表の場にベレー帽を被って登場。絵画と風船を組み合わせたパフォーマンスアートに一同と共に驚嘆の声を漏らし、「ステージのアイドルみたいにカッコよかったな~」と評していた。
第51話
事務所から劇場にやってきたPと千早に、可奈は事の顛末を語り出す。
第48話でPが語っていた「人は変われない」という台詞がずっと心に引っかかっていた志保は、そのことについてCloverの他の3人に相談したが、4人では結論が出なかったというのだ。
その後、「人は変われない生き物だがそれでも明るい今や未来を手に入れることができる」というPの私見を聞いた可奈は、自分は昔の自分から(悪い意味で)変われていないのではと不安がっていた志保に対し、「志保ちゃんは昔から自分を見捨てず見守ったり叱ったりしてくれた」「優しい志保ちゃんが昔から志保ちゃんの中にあっただけ」ということを歌に乗せて伝え、志保の心にも響かせることができた。