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北沢志保(Blooming_Clover)

きたざわしほぶるーみんぐくろーばー

本記事では、漫画「アイドルマスターミリオンライブ! Blooming Clover」における北沢志保について述べる。
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私たち「Clover」はじまりの1曲

聞いてください


本記事の概要編集

アイドルマスターミリオンライブ!」の登場人物北沢志保の記事にて、漫画「アイドルマスターミリオンライブ! Blooming Clover」についての記述があまりにも長くなったため、また記述内容にネタバレを大量に含むため、「Blooming Clover」に関する記述はこの記事に分割した。

 北沢志保は本作品の主人公であるだけでなく、本作品において家庭事情や人間性について特に2~5巻を中心に深く緻密な掘り下げがなされているため、それに伴って記述内容も冗長になってしまったが、ご容赦頂きたい。

 また、もちろん作品の根幹に関わるネタバレを大量に含むため注意されたし。


概要編集

 矢吹可奈と共に、本作の主人公として登場する。

 ある年の春、765プロの新人アイドルオーディションに合格し、ミリオンスターズの一員となったアイドル。同年代の面々に比べてダンスなどの実力や体力は劣っているが、それを克服するために練習を欠かさないストイックな人物。アイドルとして一刻でも早く一人前になるという自分の夢のため、周辺人物やプロデューサーには強く当たってしまうことも多い。

 8歳の頃父親が失踪したため現在は母子家庭であり、母親と弟のと団地の1部屋に3人で暮らしている。また、陸を保育園に迎えに行くためにレッスンなどを早退しなければならないこともしばしば。昔から家事をよく手伝っていた為、裁縫や料理などの家事のスキルは高い。

 また、原典にある「演技の仕事に興味を示す」という設定は(第24話時点では)なく、第24話時点では演技をするのは初めてであったが…?


ストーリー編集

第0話編集

 765プロダクションのオーディションに合格し、ミリオンスターズのメンバーとの初顔合わせの場となる懇親会の準備のため劇場に来るが、自由奔放すぎる面々を目の当たりにし、高坂海美箱崎星梨花に対し「なんで笑ってるの?」と苦言を呈す。それは、「私の大切な人たちだけは絶対に笑顔にする」ために誰にも「負けたくない」、という信念から出た言葉だった。

 仕事が終わったことを確認すると、懇親会の記念撮影にも参加せず、会場を後にする。


1巻編集

第1話編集

 オーディションから2ヶ月後、広場で自主練をしていると、鳥たちと共に歌う可奈を目撃する。この時はイヤホンをしていたため可奈の声を聞いておらず、可奈の歌が自分より上手いと思い込んでいたが、後に可奈が自己紹介で歌った時に真相を察する。

 他のアイドルらからは好評だった可奈の歌に対し一人「あんな実力で笑っているその神経が私には理解できません」と酷評しつつも自分には関係ないと思っていたが、その場でプロデューサー可奈の指導係に任命される。可奈に「私のことは可奈って呼んでくださいね~♪」と言われるが、強い反感を抱いていた志保は「矢吹さん」と呼ぶことになる。

第2話編集

 同期の中で実力が劣っている(例として本話で真壁瑞希の口から初回のダンスレッスン時にスキップもできなかったことが明かされている)ことを自覚している志保は、可奈の指導係を任されたことに対し依然としてプロデューサーに反抗するが軽くあしらわれ、なかなか一人前になれないことに焦りを感じながらも、指導係として可奈に厳しい態度を取りつつレッスンに身を投じる。

 そして可奈のバックダンサーデビューの日、自身もバックダンサーとしてステージに立つが、初めてのステージで大混乱に陥った可奈に巻き込まれる形で転倒してしまう。早く結果を出したいのに自分のパフォーマンスを邪魔された志保は可奈に激しく憤り、ろくに口も利かずにその場を去る。

第4話編集

 なぜステージ上でしか笑わないのか可奈に訊かれ、競争を制するためには笑顔でいる必要はないから、と答え、「みんなが幸せになれる訳じゃない」という第0話の頃から抱いている信念を可奈に伝える。

 可奈と星梨花との3人でステージデビューの2枠を争うオーディションに参加することになり、一時的に可奈の指導係を離れてレッスンに精を出す。公演2日前、迎えたオーディション本番では完璧ではないながらもベストを尽くすことができ、合格することができるが、落選した可奈がほとんど落ち込まず、寧ろ自分のデビューを笑顔で応援している姿を目にしてーー

 「矢吹さんはなんで笑ってられるの? …なんで?

 「私には わからないわ

 そう言い残し、その場で卒倒する。

 

2巻編集

第5話編集

 志保は過労と睡眠不足のために倒れたことが判明し、ステージデビューは白紙となる。

 プロデューサーに家まで送り届けてもらったあと疲れから20時間以上眠っていたが、そこで8歳の頃(6年前)からの夢を見る。

 その中で、父親がいた頃は父が大好きで家庭も幸せだったが父が失踪してから生活が一変し、大事な家族を守るため、家庭を支えるためにアイドルになったこと、例え独りよがりでも大事な人たちだけは絶対に幸せにするために家族の前とステージ上以外では笑うことをやめたことの経緯が描写されている。

 その後眠りから覚め、デビューの延期を悟った志保だったが、可奈からの留守電を聞き、第2話での失態を謝罪されると共に、志保がステージに立つところを見たかった可奈が志保の代わりのステージデビューを断った(=当初の決定通り志保がステージデビューする運びになった)こと、志保や星梨花と一緒にアイドル活動をするために自分の夢は自分で叶えることを聞かされる。

第6話編集

 公演当日、劇場に来た志保は体調管理の不行き届きをプロデューサーに謝罪し、星梨花とステージに立ち、「L・O・B・M」を歌う。疲れは取れていたものの硬さが抜けない志保だったが、星梨花に指摘されて観客席の最後方で可奈が他の観客同様にペンライトを持って応援していることを発見したことで奮起し、いつも通りを心掛けることで本来のダンスのキレを取り戻す。

 そして無事に出番を終えるが、戻ってきた舞台袖で、徳川まつりらの計らいで可奈がこの後ステージに立つ機会を与えられたことを知る。第2話での失敗がトラウマとなり怯える可奈。しかし、可奈を落ち着かせるためにその手を握ったのは――志保だった。

 それはステージデビューという自分の夢が遠のいたにもかかわらず自分を全力で応援してくれた可奈に感化され、自分の夢を叶えること以外に興味の無かった志保が、初めて自分以外の夢を後押しする瞬間だった。また、手を握ることで安心感を与えるというやり方は第5話の回想で志保の父が志保に対してやっていたことであり、今まで家族のみに向けられていた優しさを初めて他の人間に向けた瞬間でもあっただろう。

 また、同じく第5話の留守電で可奈が「志保や星梨花とステージでアイドルしたい」と語っていたことを覚えていた志保は、海美やプロデューサーの制止を断り、自分が可奈と2人でステージに立つことを決める。

 そして2度目のステージを終えた志保は、可奈の応援が志保に届いていたことを知って号泣する可奈に対し、自分の夢が叶った時より嬉しそうにしていることに戸惑いつつも、うっすらと微笑みを可奈に向けるのであった。

第7話編集

 ポケットが外れてしまった大神環の服を家事の一環で培った裁縫技術で修復し、環に感謝されるが、その際、環に再び少し微笑んだところを野々原茜に目撃され、星梨花からも以前より物腰が柔らかくなったことを指摘される。自分では考え方が変わっている自覚は無いが、可奈の影響で自分が揺らいでいることを、認めたがらないながらも意識するようになる。

第8話編集

 新ユニット3組が発表され、志保は可奈、星梨花、海美とユニット「Clover」を組むことになり、更に3人に推薦されたため、そして最上静香のようにユニットリーダーとして成功することでより早く一人前になるために、ユニットのリーダーを引き受ける。1ヶ月後のショッピングモールでのユニットデビューライブを目標に、ユニット活動を始動する。

 翌日、ダンス練習で海美との実力の開きを痛感。しかし、パフォーマンスのレベルを落とさないために海美には今後も全力でダンスして欲しいと頼む。色々と対策を考えながら弟を迎えに行くために帰る道すがら、スポーツ用品店でサッカーボールを購入し、それを幼稚園で待っていた弟の北沢陸にプレゼントする。

 この第8話が「陸」という名前が全ての媒体を通して初めて公開された場となった。志保は陸のことを「りっくん」と呼ぶ。


3巻編集

第9話編集

 最上静香がいち早く成功を収めていることをテレビで知った志保は一人前になれないことに焦りを感じつつも、仕事が再び忙しくなってきた母親、そして陸の為にライブのレッスンよりも家事を優先する。

第10話編集

 天海春香を交えて4ユニット合同練習が行われるも、「Brand New Theater!」の試演では(主に可奈の)ミスによって不甲斐ない姿を春香らに見せてしまい、リーダーとしてその責任を負わされ、レッスン後、メンバーの3人に、リーダーとしての実力不足を詫びる。

 陸の迎えの為に帰ろうとしたところ伊吹翼に呼び止められ、アイスを勧められる。ハッピーで楽しいのが一番という正反対の信条を持つ翼に、「誰かに結果を出せって言われたの?」「自分のためじゃなくて誰かのためでもないなら、志保ちゃんはなんのためにアイドルやってるの?」と痛い所を突かれ、何もできておらず弱いままの自分を恥じる。

第11話編集

 通う中学校で学級委員長に進路票の提出を催促されるも、寮制度のある高校に進学するかどうかを決めかね、結論を先延ばしにする。その際、アイドル活動を「楽しそう」と言われるも、「私は仕事として歌っているだけ」とそれまでのスタンスを崩さなかった。

 また、定期公演で桜守歌織高山紗代子と共に歌う可奈を観て、第6話で自分と歌った時から歌織らのお陰で確実に成長している可奈と自分を比較し、自分の無力さを改めて呪う。


4巻編集

第12話編集

 ユニットデビューライブ1週間前、陸が熱を出し、その看病のため通しリハーサルに遅刻しかける。相変わらず海美のダンスにはついていけないが、パフォーマンスの質を落とさないため、海美には常に全力で踊るよう頼む。

 そして始まったリハーサル。ところが、志保らは海美についていくことができ、4人は調和のとれたダンスをすることができる。海美がいつもより動きを抑えていると勘付いた志保は息を切らしながら海美を問いただすが、海美は3人と楽しく笑って踊るために考えた今の全力がこれだと言う。志保は「なんでわかってくれないの…!」と戸惑いを隠せず、続いて今のダンスでさえ「息が乱れる私"たち"だけど――!!」と思いながら顔を上げるが――

 可奈と星梨花の息は全く上がっていなかった。

 それぞれ海美、歌織や紗代子の下で特訓を重ねていた星梨花と可奈に対し、第9話頃から家事の為に練習時間が確保できていなかった志保。練習で力をつけてついていくタイプの志保が後れを取るのは必然であった。

 全てを悟り、羞恥のあまりその場を立ち去る志保。洗面所で顔を洗う志保の元に、可奈がやってくる。可奈は志保を励ますために想いを込めて歌を歌うが、「歌が好きなのはあなたが歌って楽しいだけでしょ」「あなたの好きを私に押し付けないで」と突き放してしまう。結局、その日はCloverは一度も満足なパフォーマンスをすることができずにリハーサルを終える。

 翌朝、熱の下がらない陸が「おねえちゃんにメイワクかけたくないから」と保育園に行きたがる。大丈夫とあしらう志保だが、「おねえちゃんは家をでていきたいんでしょ」と言われる。

 陸は志保が寮のある高校への進学を検討していることを知っており、その理由を陸が志保らに迷惑をかけ続けているから、志保が「アイドルが大すき」で続けたいからだと誤解していた。

 

 陸「だけど…ぼくはおねえちゃんと いっしょに…いたいから

 志保「りっくん…

  なんで わかって くれないの…


 今後も志保と一緒に暮らしたいために自分がしっかりしないといけないと思い、なおも保育園に行くと言って聞かない陸に対しーー


 なんで わかって くれないの!!

りっくん!!!!


 陸の服を強く引っ張り、一喝してしまう。

 泣き出す陸。


 序盤から「大事な家族を守るため」というアイドル活動の理由は一貫していたにもかかわらず、それが陸に伝わっていなかったばかりか、その陸の「志保と一緒に暮らしたい」という想いを全く汲み取れていなかった上に、そのアイドル活動でも星梨花や可奈に後れを取り、家族のためにという焦りから海美や可奈の気持ちを踏みにじってしまった挙句、笑顔を守るべき対象であった陸を泣かせてしまうという、志保にとってはこれまで積み上げてきた全てが裏目に出てしまう最悪の事態になってしまう。

 陸のことは任せて学校に行きなさいと母に言われ、家を出る志保。

 そしてその日の15時50分。本来なら可奈と自主練をしている時間だが、志保は大雨に打たれながら街を彷徨っていた。


 …と、この第12話は作中全体を通しても随一のドシリアスな回なのだが…→りっくんコラ


第13話編集

 第12話で家を出た志保は、そのまま失踪する

 大雨の中、10人以上のアイドルらが必死に捜索するが、見つけられず。プロデューサーは解散を命じるが、可奈はある場所へ向かう。

 いつも志保と可奈が自主練をしていた広場。そこまでたどり着いた志保は、その日の彷徨の中でアイドルを辞める決心をしており、その旨をプロデューサーに伝えるため劇場の近くまで来ていたのであった。

 しかし、昔の記憶が頭を過り、広場に立ち尽くす志保。可奈はそこへやってくると、最初のオーディションの課題曲であった「Dreaming!」を歌い始める。

 前日に「歌が好きなのはあなたが歌って楽しいだけでしょ」と突き放したにもかかわらず、志保の為に全力で想いを込めて歌う可奈。第10話で「志保の横で一緒に輝けるアイドルになる」ことを自分に誓っていた可奈は、志保とアイドルがしたいこと、力不足かもしれないが困った時は頼って欲しいことを伝える。

 可奈の気持ちは受け取ったが、未だに決意を覆せない志保。すると、可奈の歌声を聞きつけた海美と星梨花がやってくる。

 昨日中途半端なダンスをしたことで志保を落ち込ませたことを深く後悔する海美、そして志保のためにできることが少しでもあるなら帰りたくないと意地を張っていた星梨花。3人は志保の為に、「Dreaming!」を歌い踊る。

 

 家族の為にアイドルをしていたため、それが原因で第12話のように家族を悲しませるようなことがあるならば、またアイドルを続けてもみんなの足を引っ張るだけならば…という理由でアイドルを辞めようとしていた志保。しかし、この期に及んで志保の頭を過る昔の記憶、それは…


 「お父さん!アイドルってスゴイキレイなんだね!!

 「お父さん!私も…アイドルになれるかな?


 かつて父がいた頃、父に語っていたアイドルへの憧れ。

 そう、春香らに憧れてアイドルを志した可奈達と同様に、志保の心の奥底にもまた絵本の中のお姫様のようなアイドルへの憧れがあったのであった。


 「いっしょに、いくよー!」


 2つの決断の中で揺れ動く志保は、大粒の涙を流しながら結論に至る。


 「アイドルをやめたくない!!!!!!

 

 翌日、一連の騒動のことを一同に謝罪。そしてその場で、今後も迷惑をかけるかもしれないがCloverの活動を続けさせてほしいとプロデューサーに頭を下げ、今まで秘密にしていた家庭の事情を3人に話すことになる。そして、星梨花の提案で、北沢家で合宿をすることになる。

 

第14話編集

 Cloverの3人を迎え、久しぶりに賑やかな朝を迎える北沢家。ミリオンスターズの面々から大量の差し入れを貰うため食事準備には困らず、朝と夜に団地下の公園で特訓に集中することができた。

 合宿2日目夜、高槻やよい水瀬伊織が差し入れに訪れる。そこで伊織に「ミリオンスターズの問題児」と名指しされ、自分たちはライバルであると同時に「同じ事務所の仲間でもある」こと、「仲間に頼るのは弱さとは違う」ことを教わる。既に来ていた横山奈緒所恵美に伊織、星梨花、そして陸と、久しぶりに団欒の時間を過ごすことになる。

 もちろん「思ったより悪くない」と思う志保だが、それ以上にみんなの優しさに戸惑ってしまう志保。志保が元気になるようなでなでしてくれた海美も思わず遠ざけてしまう。

 それは、かつて志保の父が失踪した時、当たり前のような優しさを失った時に感じた寂しさをまた感じるのがまだ少し怖く、人にやさしくされること自体が苦手だから。

 しかし、同様に大好きな姉との別れを経験している海美に、みんなとの「想い出」をたくさん作ることが大事だと言われ、「今は うれしかったら笑おうよ」という海美の言葉に、志保も海美らに身を委ねることを決める。


5巻編集

第15話編集

 劇場の一室でうどんを食べている静香と遭遇し、手打ちうどんを差し入れされる。第9話や第14話でテレビによく出る静香を観ている志保は、この日も朝から収録だった静香の活動の順調さを羨むが、実は静香も家庭に複雑な事情を抱えていたこと、そして第5話で可奈が志保の代わりにステージデビューすることを拒んだのを見た春日未来が翼と共に静香の両親を説得しに来てくれたことを知る。

 その後自主練で可奈と2人でランニングをするが、その間に可奈から、4巻で一悶着あった志保が元の姿に戻ったことに安堵したということ、そして海美と星梨花の存在や自身の成長から、今回こそは志保にステージを楽しんでほしいという偽りない想いを伝えられる。恥ずかしいくらい真っ直ぐに感情を伝えてくる可奈に対し照れ、走るペースを上げる。すると可奈も志保以上にペースを上げ…

 そうして切磋琢磨する2人は、互いに屈託のない笑顔で接する関係になっていた。

 

 そしてユニットデビューライブ前日。北沢家での合宿が終わり、可奈らは北沢家から引き上げる。

 その夜、夕飯に前述のうどんを食べた志保は陸と一緒に布団に入る。

 第12話での一件以来、わだかまりが解けていない陸と志保。志保は怒鳴ってしまったことを謝り、続けて志保のアイドル活動に反対かを訊くが、「したいならぼくは別に…」と歯切れの悪い答えが返ってくる。

 かつて家族を不幸にするならアイドルを辞めることも考えた志保。再び弱気になるが、第13話で思い出した自分のアイドルへの憧れを、静香のように大事な人には自分の気持ちを理解して欲しいため、第5話の可奈や本話回想の未来のように勇気を出して、陸にこう告げる。

 「明日のライブ りっくんとお母さんにお姉ちゃんを見にきてほしいの」

 なおも浮かない表情の陸だったが、志保は「大好きだよ りっくん」と満面の笑みで優しく語り掛け、眠りに落ちる。

 そして、翌日――


第16話編集

 ユニットデビューライブ当日。志保らは母と陸が現地に到着したことを確認し、出番を待つ。


第17話編集

 「ダブルエース」そして「トライスタービジョン」のパートも終盤に差し掛かり、トリを務めるCloverの出番の直前になる。可奈、星梨花、海美も緊張が極限に達する中ーー

 

 志保「失敗の許されないユニットデビューライブ 緊張して当然だと思う」

 可奈「!? 志保ちゃん…」

 志保「でもそれは1人だったらの話


 そして志保は左拳を突き出し、やや微笑みながら口を開く――


 志保「Cloverは♪

 海美「4人で♪

 星梨花「1つ♪

 可奈「Cloverはぁ♪ 4人で1つ♬

 4人「ファイト オーー♬

 

 これは可奈が第8話のユニット結成時に例の如く即興で作った曲「Cloverのうた」だが、志保(と海美)には事あるごとにスルーされてきていた。その歌を、志保が先導する形で、初めて4人一緒に歌ったのである。

 そして日も暮れる頃、Cloverはステージに立ち、最初の1曲を歌う。


第18話編集

 時は流れ、最後のMC。

 志保は大勢の現地観客及びライブ配信視聴者に感謝の言葉を述べ、続けて自分の想いを語り始める。

 家族を笑顔にするためにアイドルを目指したこと。

 でも、独りで全てを背負えるほど強くはなかったこと。

 そしてーー

 

 「私が今日ここに立てたのはみんなの助けがあったからです」

 「アイドルのみんなやプロデューサーさん」

 「スタッフさん」「応援してくれるファンのみなさん」

 「家族」「そして…」

 「…仲間のおかげです

 

 そして、今後もみんなの助けを借りながら、いつかみんなを助けて笑顔にできる1人前のアイドルになることを観衆の前で誓う。

 志保の言葉に感動した3人が号泣し、抱きついてきたため締まらぬMCになってしまったが、改めて最後の1曲の名を告げる。


 「聴いてください Clover Days


 昔の自分と変わらない弱い自分のままだから、家族を笑顔にできるかは分からない。

 でも、今の自分には仲間がいる。

 1人では進めない「絶望」でも、4人集まれば「希望」に変わる。


 仲間の大切さを噛み締めながら歌った最後の曲。

 その終了間際、可奈らに指摘される形で観客席にいる陸と母を発見する。


 その2人の顔は、志保が守りたかった満面の笑みを浮かべていた。

 まだほんの一歩目かもしれないが、志保の夢が一つ叶った瞬間だった。


 ライブ終了後、志保はメンバーの3人を呼び止める。

 まず海美に、迷惑をかけたことを詫び、自分たちを引っ張って行っていた海美は「まるでお姉さんのよう」だったと伝える。

 続いて星梨花に、第13話で志保を劇場で待つといって聞かなかったことに感謝し、星梨花がいなければCloverは今日笑顔でいられなかったと言い、「本当にありがとう」と礼を言う。


 そして可奈。


 第15話で一緒に海辺の道を走ったのが気持ち良かったこと。

 第13話で自分の為に全力で歌ってくれたこと。

 第6話で一緒にステージで歌ったこと。

 第6話で自分の公演を応援してくれたこと。

 第5話で自分のステージデビューの撤回に反対してくれたこと。

 第4話で可奈の歌の成長に驚かされたこと。

 第2話で可奈に巻き込まれ自分のパフォーマンスを台無しにされたこと。


 思い出せば思い出すほど溢れる記憶の数々。何から話せばいいか迷っていたが、第1話で可奈に言われた最初の一言を思い出し、笑顔でこう伝える。


 「これからもアイドルがんばりましょうね、可奈


第18.5話編集

 7月のある日、劇場でうたた寝をしていた志保の夢の中に、萩原雪歩そっくりの妖精スノゥが現れ、「いろんなクリスマス」を志保に見せる。

 最初に見たのは7年前、陸の生まれる直前、志保のためだけに両親揃ってお祝いをしてくれた、ただただ幸せだったクリスマス。

 次に見たのは昨年、父親は不在ながらも、家族3人揃ってやはり幸せに過ごしたクリスマス。

 そして最後、「これからのクリスマス」をスノゥは志保に見せる――

 …というところで、雪歩たちの前で目を覚ました志保。

 今年のクリスマスは可奈たちが遊びに来るのかも…などと考えていたところに、可奈と青羽美咲がやってきて、美咲が描いた可奈と志保のクリスマス衣装のデザイン画を見せられる。

 プロデューサーも「この衣装で可奈と志保にやってもらうのありですね」、雪歩も「可奈ちゃんたちが歌う『メリー』聞いてみたいかも」と乗り気。志保は目を閉じ、可奈と2人でクリスマスに「メリー」を歌う姿を想像する。


 そして本話の雑誌掲載とほぼ時を同じくして、2018年12月25日15時、別の世界線で…


6巻編集

第19話編集

 ユニットデビューライブを終え、Webラジオ「くろらじ」などCloverの新しい仕事も始まるが、他のユニットに比べて失敗も多く、Cloverをどんなユニットにしていきたいかを考える必要があると秋月律子に言われる。更に律子が「あの子のことを想うと…」と、その才能を認める星井美希に対して厳しい態度を取っているのを見て、プロデューサーや歌織、紗代子らに根回しした上で、可奈にこう告げる。

 「可奈は当分歌の練習と勉強は禁止ね

 唖然とした表情で理由を訊く可奈に対して、理由を告げずにその場を去る。


第20話編集

 「くろらじ」の収録現場で可奈は志保を呼び出し、1曲歌う。可奈は歌を禁止された理由を誤解し、更に特訓を行っていたのだった。

 しかし志保は約束を破ったことに激昂し、「前より悪くなった」と断じる。可奈は当然理由を求めるも「自分のミスは自分で気づかないと直らない」と取り合わず、なおもヒントを求める可奈と拒み続ける志保はヒートアップ。遂には「今みたいな歌を歌うくらいなら うまくならなくてもいいわよ」と言ってしまい、可奈は捨て台詞を吐いて現場を去る。


 その後、声をかけてきた海美に対し、こう零す。

 「可奈はいなくなりませんよね…?

 かつて父親という大切な人を失っている志保。家族とも関係自体は良好であるため、親しい人と喧嘩することにも慣れておらず、怒って現場を飛び出す可奈の姿に、また大切な人を一人失ってしまうのではないかと本気で憂慮していたのだった。

 

 共にアイドルとして上を目指すため、勇気を出して厳しい態度を可奈にとった志保だったが、結果として第12話と同様に、またも行動の理由が相手に伝わっておらず、それが原因ですれ違いを起こして仲違いするという事態に再び陥ってしまう。


第22話編集

 翌日、休日であったが陸のサッカーの誘いにも「今日はやめとく~…」と、喧嘩のことが尾を引く様子。可奈の指導係として間違った行動ではないと思いながらも、禁止はやりすぎだったのではないかと後悔し始める。

 陸に可奈と喧嘩したことを見抜かれ、仲直りすると元気になれると言われて、可奈に謝ることを考え始めた矢先、可奈から団地下の公園に来るようメッセージを貰い、そこで再び可奈の歌を聞くことになる。

 可奈は双海亜美/真美らとの交流を通して、自分が上手く歌おうとするあまり気持ちを込めて歌うことを忘れてしまっていたことに気付いたのだ。

 歌い終わった可奈に、「あいかわらず気持ちばっかり先走った歌」ながらも「他の誰にも歌えないあったかくてまっすぐな」歌であることを評価し、更に可奈から猫のぬいぐるみを受け取ったことで仲直りを果たす。

 

7巻編集

第23話編集

 定期公演にシグナルが主演するため、大盛況の劇場。静香の人気に相変わらず嫉妬する志保だが、可奈や歌織のように、自分にも夢中になれる何かがあればアイドルとしてステップアップできるのではないかと考え始める。

 数日後、海美らと計7人でご当地フェスの手伝いの仕事に参加。女子力を高めるため動きを制限する海美に、第20話で歌うのを我慢していた可奈の姿を重ね、改めて可奈に申し訳なく思う。


第24話編集

 百瀬莉緒らによって、大学生のヒーローショーのステージに急遽参加することになる。志保は前半で戦闘員役(声無し)、後半で悪の組織の幹部「コウモリ怪人」の声を務める(スーツアクターは莉緒)。

 演技は初めてで自信はないと思っていたが、いざやってみると迫真の演技でおぞましい悪の幹部の雰囲気を出すことができる。しかしかえって怖すぎたため一部の子供を泣かせてしまい、演技を抑えようとするも上手くいかなかったが、莉緒の機転に助けられ凌ぐことができる。その後、逆に莉緒が疲労などで転倒してしまうが、声援を受けて立ち上がった莉緒の想いに呼応するようにショーのラストを演出し、ヒーローショーを無事成功させる。

 終了後、「ちゃんと仕事できていたか不安になるくらい楽しいステージだったな…」と、味わったことのない満足感を得た志保。奈緒やスタッフにも演技を褒められ、今まで特に気にしていなかったであろう「演技」という仕事に対してある想いを抱いた様子であった。


第25話編集

 劇場を訪れた星梨花の父親が、プロデューサーに星梨花の765プロとの契約解除(=アイドル活動の停止)を申し出るところを目撃する。最初は人の家庭の事情に口出しはしないと考えていたが、星梨花の父の「星梨花はまだ弱くて小さな子どもなんです」という言葉に感情が堰を切り、「星梨花は弱くなんかありません!!」と言い放って2人の話す部屋に突入する。


第26話編集

 星梨花父に「星梨花の何をもって弱くないのか」と問い詰められる志保。しかし、Cloverで最年少ながら鍛錬を重ねて自分たちについていき、第13話では自分にアイドルを辞めさせないために意地を通してでも自分を迎えに来た星梨花の姿を見てきた志保は、「あんなに努力家で芯の強い子はいません」と言う。

 なおも人の悪意に星梨花が晒される可能性を案じて引き下がらない星梨花父だったが、かつて星梨花らが自分を支えてくれたように、星梨花が悲しむときは自分たちが星梨花を支えることを誓う。部屋の外で聞いていた静香や歌織、そしてプロデューサーも同調し、一旦結論を保留させることに成功する。

 緊迫した場面で飛び出していくことができたのは、父親に自分の意志を分かってもらえない星梨花に、かつて第12話で陸に自分の想いを分かってもらえなかった自分の姿を重ね、また第13話の星梨花らのように星梨花を信じて待ちたいと思ったからであった。また、星梨花の父が星梨花のことをとても寵愛し、星梨花の幸せを第一に考えてこのような行動に及んでいたことについては、かつての自分の父親を思い出して、懐かしかった模様。

 その後、星梨花の母親から星梨花が父親と対立して家出していることを聞き、星梨花に電話し、星梨花が父親に心配をかけていたことを責め、こう諭す。

 「勝手にいなくなっちゃ…ダメでしょ

 かつて何の前触れもなく父親と別れており、大切な人と離れ離れになる苦しみを誰よりも痛感している志保。その言葉は、他の誰が言うよりも重みがあったであろう。それを理解した星梨花は号泣し、その日の夜に父親と一応の和解をしている。


8巻編集

第27話編集

 星梨花が出演する定期公演の日、公演に来た星梨花の父親の元を可奈や海美と共に訪れ、改めて説得を試みる。

 可奈の言葉等で態度を和らげつつあった星梨花の父親は、ライブ終了後、アイドル活動を続けることを容認する姿勢を見せ、志保らは安堵の表情を見せた。

第28話編集

 これまでの夏休み期間で様々な経験をしたCloveのメンバー。それを昇華させ、19話で律子に決めるよう言われていた「ユニットの方向性」「ユニットとして前進する方法」を決めるべく1人で考えていたが、具体的にまとめることができず悩んでいた。そこに来た恵美に皆に相談するよう言われ、他の3人と話し合う。結果的に方向性まではまとまらなかったが、「ちゃんと考えて行動する」「困ったらみんなと話し合う」「目の前のことを精いっぱいがんばる!」というアイドルとして前進する方針を策定した。

第29話編集

 公演3日前、トレーニングを海美と行う。日焼け防止のための帽子も被らず炎天下の野外に飛び出した海美を慌てて制止し、帽子を被らせる。

第30話編集

 公演2日前、1日目メンバーのClover、ひなた、エミリーと共にPに呼び出され、台風接近のためライブの中止が決定したことを伝えられる。家族との再会の機会を奪われたひなた、それを受け入れられないエミリーを筆頭に、一同は悲壮感に包まれる。

 そんな中、可奈がライブの代わりにファンのために何かできないかと提案する。そしてその代替企画を皆で話し合うことになり、書記を買って出て議論のまとめ役を担う。そして、ライブ等の様子をまとめた「ミリオンスターズ特別動画」を配信することに決定し、翌日(公演前日)に収録を行う。

 動画の公開当日、自宅で母や陸と共に過ごす志保。配信開始時刻が近づくと、志保は「恥ずかしいもん」と自室に戻ろうとするが、陸の悲しげな表情に堪えられず、結局3人で動画を観ることになる。

 動画内では冒頭で動画の趣旨の説明、被災者への言葉などを担当。そして、ライブパートも最後の1曲になり、可奈の口上の後、4人で最後の楽曲の名を告げる。


 「Clover Days


 「ねえ 雨の中で 光届けて 一緒に 笑っていようよ


 全世界のファン、アイドルやその家族、被災者等に、文字通り豪雨の中で笑顔を届けることに成功した可奈達。目の前にファンはいなくとも、その表情は充実感で溢れていた。


 翌日(公演2日目)、台風一過で快晴の東京。可奈らと共に劇場に移動していると、その姿をファンに発見され、前日の動画のお礼を言われる。

 そして、ひなたの事情を聞いた律子らから、彼女らがテレビ番組の収録で獲得した旅行券を与えられた志保達6人は、4日後(公演6日目)、北海道の空港の到着ロビーに立っていた。


9巻編集

第31話編集

 ひなたの地元の夏祭りのステージにゲスト参加するために北海道にやってきた一同。飛行機に乗るのが久しぶりな志保は、空路での移動で緊張しっ放しだった。

 あくまで仕事だからと志保は浮かれる可奈を窘めるが、星梨花の元に志保の母からメールが届き、志保も今回の旅行のためにガイドブックを買う(後に有名なラーメン店等もしっかりチェックしていたことも判明)などずっと心を躍らせて準備していたことが暴露され赤面する。

 鉄道でひなたの実家の最寄り駅、更にひなたの農園に勤める男達の運転する車でひなたの実家へ向かう。そして、その男達のうち1人はくろらじ経由で志保のファンになっていた。

 道中、北海道と首都圏の環境の違いについて話す可奈達の会話を聞き、全く違う環境で育った自分達が一緒に仕事をし更にこんな遠隔地にまでその姿が届いていることに感慨を覚える。また、可奈が翌日のステージへの不安を口にすると、「どこだって私たちがやることは変わらないでしょ?」と、いつもの公園での自主練と同じように、その場(商店の駐車場)で可奈とダンスの練習を始めたのだった。

 木下宅到着後は、ひなたの祖母との再会を見届け、その夜の歓迎会にも参加することになる。この夜も翌日の準備などタスクが山積しているため自分を律しなければという理性を持つ一方で、可奈や海美と同様に(あまり顔には出さないものの)美味しい料理などを心底満喫しており、2つの感情の板挟みになっていた。

第32話編集

 公演の朝、上述の男達に誘われ、トラックの荷台に乗って祭りの宣伝に町を巡回した可奈と志保。公演1時間前となり、夏祭りの情景に家族と行った祭りの記憶を思い出し、また話の流れからエミリーがアイドルになった理由を知る。

 その後、海美との会話で、上述のトラックに乗った時に見た牧場の馬や牛などのことを「馬って思ったよりずっと大きくて筋肉スゴイんですよ!!」等と、普段にはないテンションで語る。その様子を星梨花みたいと海美に指摘され、志保はアイドルになってキラキラした広い世界を知ったことを改めて感慨深く思う。上記の第31話も含め、9巻では第18.5話の幼少期のような志保の、感情豊かな素性が現れるシーンが多く描かれている。

 その後、控え室に集まった可奈・星梨花・海美の前で志保は、決めかねていた「ユニットの方向性」についての結論を出す。それは、これまでの活動や北海道での出来事で知った自分達を応援してくれる人達への恩返しのために、「笑顔や希望をみんなに届けられるユニット」を目指すことだった。3人も賛同し、公演本番でCloverはそれに立脚した前口上を初めて披露することとなる。

第33話編集

 星梨花と同様に、アイドルにならなければ見られなかった景色を見られているこの瞬間を噛み締め、仲間たちと共にステージを全うする。

第34話編集

 公演後の夜、星梨花らの提案でみんなで縁側で花火をすることになり、志保も参加する。

第35話編集

 公演翌日、朝からCloverで湖岸に観光に行っていたが、エミリーから連絡を受け木下家のりんご園を訪れる。

 会話の中で、アイドルになるため東京に出てきたのに頻繁に帰省していいものかと自問するひなたに対し、「別にいいんじゃない」とそれまでに見られなかった懐の深さを見せた志保。更にひなたの祖母から「人は誰かのお日様になれるんだよ」等と金言を授かった志保達は、農園で大きく育ったりんごを見つめ「この夏で 私たちも大きくなれたのかな?」と問う可奈に「少しは――」成長できてるんじゃない、と言いかけるも、そのりんごがまだ未熟で酸っぱかったようにまだまだ修行も必要であることも改めて実感することとなった。

 帰路では、そろそろ家族の顔が見たいという本音、そして第24話での経験から秋以降は芝居などの演技のオーディションを多く受けたいという抱負を可奈達に語った。


10巻編集

第36話編集

 季節は秋に入り、志保は第24話で興味を覚えた「演技」の仕事を志望しその方面のオーディションを複数件受けていたが、落選が続きうまくいかない日々が続いていた。

 焦らずがんばろうとしていたある日、志保はPにお遣いを頼まれ事務所に出向くことになる。出発時に会った可奈、そして周防桃子福田のり子も合流し4人は事務所に向かう。

 事務所にいたのは、765プロの誇る歌姫・如月千早と春香だった。千早は志保のことをしばし観察した後、(おそらくは第14話での一幕から)伊織が志保のことを「昔の私(=千早)みたいな子」と評していたこと、そしてそれは誤解なのかもしれない…ということを志保に話す。


 劇場に戻った志保は、自分がとある自主映画の主要な役どころにキャスティングされた(=オーディション合格)という朗報をPから知らされ台本を渡される。念願叶った志保は、(や)「った!!! やった…!」といつにない笑顔を見せて喜びを顕わにし、可奈・星梨花・海美からも祝福されたのだった。

 かくして、志保たちの秋の挑戦が始まることとなった。

第37話編集

 映画出演決定の報を聞いた志保の母と陸にもそのことを祝福される。自主映画は映画館などで上映されるような作品ではないが、それでも"プロとして"再び演技ができることは嬉しい…と志保は述べたが、陸にすかさず「プロってなに?」と問われ、返答に詰まる。

 そして第36話から数日後の日、志保は可奈・海美・のり子・篠宮可憐・そして桃子と共に、エキストラの仕事に参加する。桃子はかつて子役として時代劇などの芝居に多く出演していた、年下でありながら演技の"プロ"と呼べる人物であった。


 その仕事に向かう直前に寄ったコンビニで、志保はある雑誌の見出しを発見する。そこには「如月千早 わがまま歌姫の過去」とあり、自分が見てもいい代物なのかという葛藤を抱えながらも、第36話で言われた「昔の千早」のことが気になっていた志保は恐る恐る中身を見ようとしていたが、可奈に呼び止められその場を離れることになった。

 

 やがてエキストラの撮影が始まる。ただ歩くだけの役目だったが、緊張しまくっている可奈は足取りが不自然になったりついカメラを見たりしてうまくできない。そんな可奈に志保は、「お母さんに頼まれた買い物の途中だと思って歩いてみたら?」とアドバイスを贈る。具体的な内容を考えながら歩いた可奈は、気持ちが紛れ緊張を感じず自然に歩くことができた。

 志保がこのような的確なアドバイスを贈れたのは、第24話でのヒーローショーの経験によるものだった。あの時、サークルの部員から伝えられた「コウモリ怪人は曾祖父から4代ずっと闇で世界を支配しようとしている~」という仔細な設定を、少なくとも1ヶ月以上が経過しているのに完璧に覚えていた志保は、役の設定をより細かく考えた方が演じやすいということを実感していたのだった。志保に演技の適性があることを窺わせる一幕である。


 しかしながら、子役経験者の桃子とは流石にレベルが違い、指示に対応する的確な演技に一瞬で切り替えができる様子を目撃した志保は、Pに焦るなと言われるものの積み重ねの違いを痛感し歯を食いしばり、後で桃子に演技の相談をすることを決意した。


 休憩中、千早のプロ意識の高さに話題が及ぶ。心から歌を愛し、実力に甘んじることなく努力を欠かさない千早だが、P曰く「やりすぎなところもある」といい、そして先程志保が見た週刊誌の内容は、歌番組で1人でリハを1時間押すなど「新人時代からわがままともとれる我の強さを持ったアイドルだった」というものであることも明かされた。

 「わがまま歌姫」の意味に安堵した志保だったが、そのような昔の千早と自分が「似てる」と評されていたことに気付いた志保は羞恥を感じる。

第38話編集

 前話から1週間後のこの日、可奈たちは劇場で清掃をしていたが志保はその場にいなかった。

 清掃が終わった頃、可奈のスマホの元に志保から連絡が入る。その内容は、この日志保を含む北沢家の面々は、千早と会い色々と話をしたというものだった――。


11巻編集

第39話編集

 この日の午前、志保は映画の撮影に臨む。そしてお昼時に家族と合流し、海辺の砂浜で昼食をとろうとしていたところで、偶然オフの千早と遭遇し、志保の母の誘いで千早も一緒に弁当を食べることになったのだった。

 直前の映画撮影で制作陣の制作にかける熱量に圧倒されていた志保は、様々な方面での努力も「当然のこと」と言い放つ千早のストイックさには及ばないことを痛感する。

 千早にも弟がいることを知った志保はますます千早に対し尊敬の念を強めるが、上述の週刊誌の一件に触れた際、その弟・が既に交通事故で他界していること、そしてそれがきっかけですべてを拒絶するために歌に籠っていたことを知ってしまう。

 地雷を踏んでしまったことに罪悪感を募らせ、自分もかつては自分の願いのために周りを見る余裕がなくて仲間を傷つけてしまったことを悔やむ志保。そんな志保に千早は、これからは「傷つけた人より多くの人を笑顔にしていかないといけないわね」と声をかける。

 過去を糧にして、歌やダンスや演技を通して人々に笑顔を届けるのが使命のアイドルとして、前を向いて未来に進んでいくことを私たちの大事な人も望んでいるはず、という千早の言葉に、みんな誰かに喜んでほしくて頑張っているということを志保は再認識した。


 半ば自慢のつもりで可奈にこの日のことを連絡した志保だったが、志保の心には"昔の自分"に起因する何かが引っかかってしまっていた――。

第40話編集

 この日の午前は4人揃って「くろらじ」の収録に参加する。

 その翌日、ドラマ「名探偵流れ星一家」の撮影に志保・千早・桃子は参加。しかし、桃子は志保らを寄せ付けようとせず、撮影開始までの間、一人で楽屋に閉じこもっていた――。

第41話編集

 久々に巡ってきたドラマ出演の仕事であり(※第37話は再現映像の撮影)、またプロの女優として仕事ができるようになるように入念に準備を重ねてきた桃子。しかし、主役の男の子は多忙で全然台本を覚えられておらず、桃子は彼に対し嫌悪感を隠せないまま撮影は進む。

 そして遂に桃子の不満が爆発し、「桃子の足引っ張らないで!!」と大声で叱責してしまう事態に。子役時代のような我の強いところを見せてしまった桃子は監督とみられる人物に苦言を呈され、更に子役時代からのスタッフからも強い恨みを抱かれていることを知ってしまう。

 桃子らに聞かれているとも知らずに恨み言を並べるスタッフに対し、「すみません」と一喝してやめさせる志保。かつての桃子がわがままだったのは究極的にはいい作品を作ってみんなを喜ばせるためだったのも知り、志保もかつて感じた、正しいと信じてやってきたことが間違いだったと知ったときの哀しさに共感する。

 なおも、がんばったことが結果に結びついてないどころか大切なものを失くす結果になったことを悔やむ桃子に対し――


 「私は教えてもらったの たとえやり方が間違っていたとしても たとえ結果が悔やむものであったとしても」

 「『がんばったこと』それ自体は間違いなんかじゃない!って」


 第5話の頃、結果に結びつかなかった自分のがんばりを認めてくれた可奈。今度は志保が可奈の立場となり、瞬間瞬間を必死で走ってきた桃子のがんばりを「よくがんばったね 桃子!」と寄り添い認めてあげたのである。

 第39話で自分の心に棹を差した過去の自分も、必死に「がんばったこと」まで間違いだったと思ってしまっていたことへの違和感が産んだ存在であった。


 照れ隠しをする桃子にはそっぽを向かれてしまったが、桃子は怒鳴ってしまった主役の子に謝ることを決意し、またこの志保の言葉について11巻ボイスドラマの恵美との会話で改めて言及している。

第42話編集

 桃子と共に劇場に来た志保は、第40話で仲違いが起こってしまった桃子とのり子らの仲直りを見届けた。


12巻編集

第44話編集

 星梨花の発言で、この日も自主映画の撮影の仕事があることが判明している。

第47話編集

 この日の「Clover」は元々午前に営業の仕事、午後に春香との劇場公演が入っていたが、可奈の合唱コンクールに参加したいという意向のため途中に可奈の中学校に寄るというスケジュールになる。志保は可奈の希望を直前まで知らされていなかったことに「私 そんなに信頼されてないんですか!」と憤っていた(実際には複雑な事情が絡んだ故のことである)。

 過密スケジュールのため、普段長引きがちなトークを志保が無理矢理ぶった切ることで予定通り営業を済ませた一行は中学校へ。しかし車が渋滞に巻き込まれ、可奈は時間に間に合わない見込みになってしまう。

 すると、急に車を飛び出し学校へ向かって走り始めた可奈。志保は行動に驚きつつもすぐに可奈の後を追い、結果的に可奈・星梨花・海美と共に少なくとも3km以上の道のりを完走して学校に到着した。後に可奈を追って最初に飛び出したことを海美に褒められた志保は、「みんなを笑顔にするためにがんばるのがアイドルですから」と語った。

 その後、劇場の公演にも予定通り出演し、4人で劇場を沸かせた。


13巻以降編集

 単行本発売以降に追記します。


絵本編集

 本作における北沢志保の過去を含む1~5巻のストーリーは、志保の2曲目のソロ曲「絵本」をなぞったものが多く、歌詞に非常に良く沿ったストーリー展開がなされている。詳しくは「絵本」の記事を参照。


関連項目編集

アイドルマスターミリオンライブ! Blooming_Clover シアターデイズ

北沢志保 北沢陸


Clover(アイマス)

矢吹可奈 矢吹可奈(Blooming_Clover) かなしほ

箱崎星梨花 箱崎星梨花(Blooming_Clover)

高坂海美 高坂海美(Blooming_Clover)


絵本(アイマス)

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