「ほぉら化石掘りだああぁ‼ 価値ゼロだけど‼」
「ヤクザは生きる化石! シーヌカンス‼」
概要
黒焉街という警察の汚職と無能が原因で治安の劣悪な繁華街付近をテリトリーとしている半グレ集団羅威刃の元トップ(現トップは城ヶ崎賢志である)。
性格
ヒューマンバグ大学に登場する半グレの例に漏れず極道を徹底的に舐め切っており、親の仇の如く嫌っている。加えて敵対した極道を「化石」呼ばわわりをしながら腹を獲物のスコップで掘るといった武闘派の狂人らしい一面もかねそなえている。
能力
異名の通りスコップを用いるが、それ以外にも潤沢な組織の資金から得た拳銃やカランビットナイフ(実際の動画内では「アーミーナイフ」と間違えていた)も扱っており、京極組の若い舎弟もひどい目に遭わされていた。
……が、その割には本人の戦闘力は今一つ。後に登場した城ケ崎をはじめとした羅威刃の構成員は京極組の武闘派たちを苦戦させてはいたが、稲村は猛者との戦闘を潜り抜ける前の久我からも「あくびがでるほど遅い」と一蹴される程度の素早さと、スコップでナイフと互角の鍔迫り合いをしてしまう程の力しか持っていないような実力である。なんならモブの構成員すら久我に「速い」と言われる描写があるため、もはや救いようのないレベルに至っている。
一応擁護しておくと、この時久我は両手持ちでナイフを握っている。
言い換えれば、こうでもしないとスコップは抑えられないと捉えることもできるのだ。
また、頭脳の方もお世辞にも優れているとは言い難く、作中では真っ当な戦術を用いた様子も皆無であり、戦闘でも敵に利する行為を働きまくっていた。しかし、城ケ崎を勧誘する前からそれなりの規模の組織を率いていたあたり統率者としての指導力はかなり高かったのかもしれない。
活躍
総勢500人もの構成員を持つ羅威刃を創設した稲村は、ある日暗い路地裏で後にナンバー2となる城ヶ崎に遭遇する。彼の気迫と金儲けの才を察知した彼は迷わず城ヶ崎をスカウトした。
「お前が城ヶ崎だな。ウチに来る気はないか?」
城ヶ崎「一体誰だ?アンタ・・・」
「舎弟と一緒にウチに来れば、幹部からのスタートだ。銃も手に入る」
城ヶ崎「俺は指図されるのは好きじゃない。自由にやらせてもらいますよ」
「ああ・・・いいぜ」
毎月1000万の上納金を支払うことに迷わず納得した城ヶ崎は、自由に活動する条件で羅威刃に入団する。しかし城ヶ崎は稲村の知らないところで自分の派閥を勝手に作り始めており、彼はそれに気づくことができなかった(前述の要求を即決で飲んだのも、金持ちの城ヶ崎にとっては1000万円など端金に過ぎなかったからだろう)。明らかに多量の上納金に怪しんだこともあったが、それでも稲村は城ヶ崎を完全に信用し切っていたため彼を疑うことはなかった。
「これ・・・お前が一人でやったのか?」
城ヶ崎「ええ、もう少し噛み応えがあると思っていたんですがね」
そして後日、密かにナンバー2にまで上り詰めていた城ヶ崎は羅威刃全体にとって大きな敵対組織であった半グレ集団「坐魔巣」に一人で襲撃をかけ(稲村が命令したのか、城ヶ崎が勝手にやったのかは不明)、単独で壊滅に追い込んだ。
報告を受けた稲村は城ケ崎の異様な戦闘力に戦慄しながらも敵を倒したことについて城ヶ崎を褒める描写もなく、証拠の写真だけを回収するだけであった(手柄を自分のものにしたかったためと思われる)。
卓越した城ケ崎の金稼ぎのスキルや戦闘力を見せつけられながらも、稲村は依然としてトップの座にしがみついていた。これにより城ヶ崎や彼に賛同していた構成員の多くは稲村のトップとしての器のなさやレベルの低さに失望し、稲村を失脚させようと計画を練り始める。そしてこの段階で、稲村の味方は構成員全体の僅か3割しか残っていなかった・・・
そしてある日、根城で元京極組構成員の田代と二人きりのミーティングをしていると、京極組の久我とマチェットナイフの国生からのカチコミを受ける。田代が国生と対峙する傍らで自身は久我にスコップでぶつかった後に迷いなくカランビットナイフを手にとる。そのまま腰だめにナイフを抱えて突っ込むさまは久我から見ても「相当人を刺している」と見えるほどに手慣れた様子だった。
しかし稲村と久我の力の差は歴然だった。動きを見切った久我は稲村を躓かせバランスを崩したところを喉を切り裂いた。ヒカリ物の勝負は一撃必殺であり稲村は血しぶきをあげながらあっさりと地に這いつくばった。トップを失った羅威刃はそのまま壊滅の一途をたどると思われたが……
「ケジメだぁ? カビが生えんだよ化石風情が‼」
「ほざいてんじゃねぇぞ‼ 骨董品のゴミがッ‼」
この動画から数ヶ月後にも、彼の死の場面が回想扱いで流れている。
考察
稲村が死亡した報告を新リーダーの城ヶ崎が受けたシーンでは、残念がる素振りを一切見せていないどころかその死を喜んでいた。このことから城ヶ崎は稲村のことを前々から目障りに感じていたことが窺える。加えて該当シーンにて「稲村のバカ、やっと逝きやがったか。手間が省けたよ」とも述べており、さらに彼からは文字通りに面従腹背だったことが判明したため、余程のことがない限り長生きはできなかったと思われる(実際に久我のスピードについていけずあっさりと実力で敗北した稲村と久我を実力の片鱗でビビらせた城ヶ崎がやりあった場合稲村が勝つのは絶望的だろう)。散々見下していた化石によって人生の終止符を打たれたのは彼にとって人生最大の屈辱だったのか、それとも忠実だと思っていた部下に見捨てられる前にトップの座にいるまま死んだのはせめてもの救いだったのか、その答えは誰にもわからない。
加えて城ヶ崎の台詞にもあるように彼は頭がお世辞にもよかったとは言えなかったのが敗因の一つでもある。彼は城ヶ崎以下、上級幹部すら閉め出して田代と行っていた超極秘ミーティングに護衛もつけず、またカチコミに現れた久我は(明らかにスコップよりリーチが短い)ドスを武器にしていた状況下で、自分は拳銃の心得もあり遠距離戦ができたにも関わらずそれをしなかったばかりか、わざわざ自分が得意とするスコップを捨てて射程が短いカランビットに持ち変えた挙句、無防備に突進して返り討ちに遭うという様にことごとく自分の立場を悪くするような闘い方をしたため、負けたのも当然であろう。しかもこの時「相当数の敵を刺している」はずのカランビットをアーミーナイフと間違えて話していたのはおまけ(さらに言うならば、カランビットは他のナイフに比べて使いこなすのが難しいことは事実だが、主要な役割は腱や首筋などの急所を狙って切り付けることであり、そもそも正しい使い方すら理解していなかった)。
このように、頭脳及び戦闘能力の面で城ヶ崎より遥かに劣る稲村が何故羅威刃のボスに収まっていたのか、疑問が多かった。他者を蹴落とし上に媚びて取り入る政治力によるものか、彼が拳銃を発射する時のナレーションが「奴らは資金もあり、武器も豊富」というものだったため、彼は資金稼ぎや武器集めの主力であり、実際の戦闘はほとんど経験したことがなかった可能性が考えられていた。
後にそもそも稲村こそが羅威刃の創設者であること、城ヶ崎はあくまで組織ごと引き抜かれた外様であった事や初めから追い落とすつもりで下についていたこと判明し、なぜ稲村が城ヶ崎を抑えてボスの座に居座っていたかが明らかになった。
関連タグ
城ヶ崎賢志 - 羅威刃の後任リーダー。前任リーダーは不明。
流川隆雄 - カランビットを使用する場面を何度も見せており、こちらは稲村とは違い正しい使い方を知っている。