概要
インドネシアで作られた歪曲した爪や鎌の様な形状のナイフ。
伝承によればその形状は虎の爪に触発されたものとのこと。
元々は武器ではなく、稲作で稲を植えるために使う農具として作られたものである。
ジャワ島では農民を代表する武器として侮蔑されていたという歴史もある。
女性には最後の自己防衛手段として髪に巻き付けて隠し持つという点で人気があったとのこと。
格闘技のシラットでこのナイフは取り入れられており、その歴史は長いものである。
地域によって様々な打ち方や形状があるため中には指を引っ掛けるリングが無いものや、刃が二つあるものまである。
現在では農具として使用されることはまずなく(※1)、元々のカランビットは間に合わせの金属で作られることがほとんどだったが、高級な金属を使用することが増え、近接格闘で使用する武器や狩りでの仕留めた獲物を解体するための物としての用途が強く、アーミーナイフのように折りたためるようにしたり、刃にも高級な素材を使ったりすることで近代的なスタイリッシュなデザインになっているが、インドネシア等で職人が製作している伝統的な形状を保ったシンプルなデザインの物も製作されている。
また、昨今では指で保持するためのリングがないモデルも製造されている。
※1:ところが、安物のカランビットナイフを草刈や農作業に使ったら案外使い易く(まぁ、元が鎌なので当り前と言えば当り前)一周して本来の用途に戻っている場合も有る。
武器として使用する場合の難易度は刺突等のシンプルな使い方が行える上に雑に振り回すだけでも効果がある普通のナイフに比べてかなり高めであり、腱や脈などを狙って切り付けるのがメインであることと、普通のナイフとは違い刃が下側にあることで鍔迫り合いが難しく、そして回すという動作ができる分、自分の脈に刃が向くと自滅の可能性があること等があるため使いこなすのはかなりの修練が必要。
両刃のモデルは通称「ダブルエッジ」とも呼ばれるがこれはこれで回したときに危険度が高くなる一方、内側にしか刃がないカランビットの扱いづらさをカバーすることができるためより柔軟に扱うことができる。
ただし、両刃のナイフは日本では輸入が禁止されているため国内メーカーの物を購入するしかない。
創作において
2010年代前半は非常にマイナーなナイフであったが、映画等で知名度をじわじわと上げ、現在の認知度に至った。
独特な形状から個性付けが強いことで人気があり、普通のナイフと比べて回転させたり、トリッキーな動きに使えたりと映えるアクションに使える為近年でも使用作品は徐々に増えている。
また、形状の知名度からかアメリカのコールド・スチール社のタスマニアンタイガー及び、カランビットブーム時に大量にコピーされた同製品が使用されることが多い。
登場作品
主人公のサムが親友のヴィクター・コステから受け取ったインドネシア製のナイフ。近接攻撃のモーションで使われる他、物語の要所要所で印象的に使われるキーアイテムである。
Mantis社の折り畳みカランビットやStrider社のカランビットを組み合わせた架空デザインだが、こちらは折り畳み式ではない。
また、開発が同じUBIであるゴーストリコンやレインボーシックスシージではスプリンターセルとのコラボの兼ね合いで近接武器として登場している。
コールドスチール社製のタスマニアン・タイガーをクリス・ヘムズワース演じるタイラー・レイクが装備し、サジュとのナイフファイトで使用する。この手の映画では珍しくそこまで高価ではないナイフである(30ドル程度で購入可能で同じ形状のナイフのコピー品が大量に出回っており、材質で8ドル程度の安物から元値を超える100ドル程度のものまでさまざまな会社から発売されている)。
- 『アジョシ』
敵側の用心棒であるラム・ロワンがタスマニアン・タイガー使用する。終盤の主人公のテシクとのリアルなナイフファイトはかなり有名で上記の外側に刃がない弱点を突かれて最後は安全な位置で抑えられ、抵抗できないまま敗北した。この映画で韓国国内のカランビットナイフの知名度を一気に向上させた。
- 『RE:BORN』
TAK∴こと坂口拓氏が演じる黒田敏郎がゼロレンジコンバットやウェイブと交えて使用する。ちなみにこの映画に登場するナイフは全て映画用に作られた特注の物で刃が諸刃である。
- 『ウルフ・オブ・ウォー ネイビー・シールズ傭兵部隊vsPLA特殊部隊』
主人公のレン・フォンが全編渡って近接武器として使用する。
- 『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』
前作同様レン・フォンが使用するが何故か今作では戦闘には使用せず、用途にあまり向かないサバイバルナイフとして活用しており、弓矢の製作に活かしている。
- 『ザ・レイド GOKUDO』
ベジョの殺し屋であるキラーマスターが内側にギザ刃のある諸刃のカランビットを二刀流で使用する他、主人公のラマが戦闘中にキラーマスターから奪い取って使用する。また、ラマはもう一方のカランビットを投げナイフとしても用いた。
ゼロの弟子であるシノビたちがタスマニアンタイガーをウィックとの戦闘時に使用する。
- 『ヨルムンガンド』
バルメがアフリカで使用する。メインとなるナイフではなく、使用もこの一度のみ。
プレイヤーがルートボックスで入手すれば使用できるがその入手難易度の高さから全プレイヤーの憧れの的である。
フェイが近接戦闘で使用している。
EXECUTIVE ORDERの序盤にウッズと共にアレックス・メイソンがソ連兵を背後から倒すシーンのみの登場。Emerson Knivesの製品だが1960年代には存在しない。また、続編のBO2でもウッズがクラフチェンコを拷問する際に使用している。
Diabolicalという名称の架空デザインのカランビットをルートボックスを集めることで使用可能。眺めるとカランビットを回すが、重力を無視しているレベルの高難易度の回転をすらすらと行っている。
イェゴールとクルーガーがとどめの一撃で使用する。
BB部隊の一人、スクリーミング・マンティスが使用する。複数携行しており、投げナイフとしても使用する。
- 『龍が如く6』
香港マフィア『祭汪会』の幹部にしてボスキャラの一人であるエドが戦闘及び拷問時に使用する。
- 『龍が如く7』
同作におけるハン・ジュンギが戦闘時に使用(通常武器ではなく特殊スキル時に懐から出す)。攻撃モーションに入る直前に「ハン・ジュンギはカランビットナイフを取り出した」とメッセージが表示され、ナイフの種類が強調されるという演出がある。
クリスが近接武器として使用する。デザインは田村装備開発のReason to liveの田村社長専用モデルである。ヴィレッジの開発に田村装備開発が関わっているためその兼ね合いで登場したと思われる。
- 『妖傀愚連隊』
鎌三郎が田村装備開発のReason to liveを使用する。
大鳥居あすかが変身アイテム兼武器としてマジカル・カランビットを使用している。
- 『アニマル連邦』
フランク・キャッスルが終盤に使用している。
- 『ターミナル・リスト(原作小説)』
ジェイムズ・リース少佐がハーフフェイス社のカランビットナイフをレナード・ハワードの下腹部を切り裂くのに使用する。
- 『ワンパンマン』
リン・クェイの工作員スモークことトマス・ヴラバダが使用。普通に使うのみならず、煙を使ったサイコキネシスめいた技でカランビットを遠隔操作して切りつけたりする。
- 『鉄拳8』
登場キャラクターの一人であるヴィクター・シュヴァリエが使用する。なお使用しているナイフは上記のRE:BORNで使用されたブレイカーというモデルであり、アビスウォーカーを演じた稲川義貴が部分的にモーションアクターを務めている。
小説1巻にマーリンが使用。部分サイボーグの義足のカーボンファイバーで保護された腱部分を音もなく切り裂いている。
漫画版ではおもちゃと揶揄した超振動ナイフ変更されている。