概要
JR北海道が製作したジョイフルトレインの1つで、北海道リゾート列車第5弾。石勝線方面への観光輸送を主な目的として1989年に登場。4両編成(デビュー時は3両編成)、最高速度120km/h。
ニセコエクスプレス同様、苗穂工場で新製された車両。機能的にはキハ183系に属し、5100番台を称する。
1990年度の通商産業省グッドデザイン商品(現・日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞)に選定されている。
「全面展望」を設計コンセプトの主軸とし、内装はハイデッカー構造や展望車が中心となっている。座席はバケットタイプのリクライニングシートで、シートピッチは960mmである。
中間には2階建て車のキサロハ182-5101を連結しており、これは1990年12月に増備された気動車列車では日本初の2階建て車両である。2階客席は4人用のボックスシート(普通席)を7組配置し、1階には4人用のグリーン個室を3室設置する。シートはソファタイプである。2階部分と平屋部分車端部の2か所にラウンジを設け、平屋部に設けられたラウンジには、妻面にかかる曲面ガラスを設けて斜め方向の展望を確保している。台車間に1階部分を落とし込む構造で、走行用機関を搭載しない付随車となっている。台車は廃車発生品の電車用TR69D形を装着する。これはJR北海道が国鉄から継承しながら、一度も営業運転に就かずに廃車になったサハネ581-15から流用したものである。
先頭車はパノラマカー方式の展望席を、それ以外の客室はハイデッカー構造を採用した。
両端の先頭車にはかつては展望席が各8席設置されていたが、2010年1月に函館本線妹背牛 - 深川間で発生した789系1000番台「スーパーカムイ」の踏切障害事故に鑑み、同年5月25日に座席をすべて撤去した上で、乗客が立ち入らないよう仕切扉が設置された。これにより、先頭車の定員は当初の44人から36人に減少した。
2019年退役。車両は解体されたが、札幌市東区苗穂にある北海道鉄道技術館において側面マークと3号車個室のドアのみ保存されている。
余談
運行開始時より季節ごとの臨時列車に使用されていた。臨時特急「トマムサホロスキーエクスプレス」(札幌-新得間)の運用を主とし、2000年代以降は「フラノラベンダーエクスプレス」(札幌-富良野間)、その他多客期の臨時特急「とかち」(札幌-帯広間)などにも用いられた。2013年(平成25年)冬から2014年(平成26年)7月末まで、エンジントラブルにより「北斗」のキハ183系が長期に運休となっていたため代替車両として運転された。