概要
SCP_Foundation本部の要注意団体に指定されているカルト教団。
開祖である崇高なるカルキスト・イオンの教え(サーキシズム)に基づき、活動を行う。
信奉者(サーカイト)たちは、主にカニバリズム、人身御供、肉体の増生、魔術、次元操作、そして他世界存在との契約等をしている。
宗教組織とはいうものの、その実態は魔術的な儀式により異常能力を得ようとする者たちの集団であり、実際に信者の多くは異常能力者であるという危険な団体である。
「サーキック・カルト」という呼称は敵対する「メカニト」による蔑称であり、本人達は自分たちを「Nälkä(ナルカ/ナラカ/ナラッキャ)」と呼称する。
本人達の前で言おうものなら、怒り狂った信者に殺されるのがオチである。
極めて秘密主義的であり、一般の大衆はほぼ彼らのことをわかっていない。
財団的にはありがたいが、それはつまり一般人がある日突然危険なものに巻き込まれるリスクも高い状況ということ。
彼らは一般的に「病気」とされるものを崇敬の目で見るなど、端から見れば何か間違ってる人たちであり、膨張したリンパ節や腫瘍が捧げ物とされるなどのグロい信仰がある。
「弱者を淘汰する」という側面から疾病は「聖別」と考えているため、伝染病を積極的に広めようとする。
最終的な目標は「自身の神格化」 、
創始者である崇高なるカルキスト・イオンをはじめ、上位の指導者たちはもはや人間の姿ではなくなっている。
構造
オジルモーク
最高階級。崇高なるカルキスト・イオンただ一人のための座。
ここに至るのがサーカイトの最終目的。
クラヴィガル
サーキック・カルトにおける「聖人」。現在4人確認されている。
イオンの最も傍で彼を援助した側近。
イオンを神格視するネオ・サーキックからは「天使」とも称され、血統を重視する為か自身の祖先をしばしばクラヴィガルであると主張する事も多い(真偽不明)。
カルキスト
クラヴィガルの下の指導者層。オジルモークやクラヴィガルの行方が知れない為、現在のサーキックの実質的なトップと言える。
「カルキスト」とは本来「司祭」「司教」の意味合いなのだが、財団研究者の見解ではむしろ「操るもの」として考えられている。
- プロト
ヴォルタール
カルキストの助手・侍祭。
プロト・サーキックでは女性だけがヴォルタールになる。
ゼンド
一般信者。この辺りから肉体の変質などの基本的な異能が使えるようになる。
オリン
親類縁者にサーキックがいない新規の信者。
プロト・サーカイト
主にイオンが存在していたサーキックの発端から全盛期にかけての信者、及びその当時に広まった教義への認識で信仰する者たち。
サーキックの勢力が最も強大で猛威を振るっていた時代からの「古参」であるゆえか、このタイプでのカルキスト達の力はどれをとっても凄まじい規模となる。
プロト・サーカイトでの崇高なるカルキスト・イオンはいまだ神格化の途中にあるとし、イオンの神格化が終わった暁には、信者はイオンによって死産の宇宙は破壊され、「イクナーン」という楽園へ生まれ変わると主張する。
プロト・サーカイトは基本的に自分たちの集落を作ろうとし、自分たちの存在が完全に隠れてない限りは教義を実践しない。科学技術に著しい嫌悪を見せ、高度な機械が目の前にあると破壊しようとする。
プロト・サーカイトはそれぞれ個々の共同体同士での結びつきはなく、それぞれでイオンを信奉し、またかなりの迷信やタブーに縛られている。
ネオ・サーカイト
プロト・サーキックとは逆に共同体同士で世界レベルの結びつきを有し、その大半が政治家や資産家などの富裕層、マフィアや犯罪結社などの裏社会の一派が関わっているとされる。 人数的にはまだまだプロト・サーカイトより少ない。
迷信やタブーを信じず、機械とともにある生活を送り、信者がいてもすぐに信者と見抜けないくらいに普通の人と変わらない生活をしている。
中世時代でのネオ・サーキックはまだプロトと似たような認識でサーキシズムを信奉していたが、時代が進むにつれて次第に各々が独自にサーキシズムの認識を変えていき、より自分自身への欲求が強いものへと変わっていった。
そのため基本的に「自己中」で、自分たちこそが力を得られるべきだと思っているので、一般人どころか同じサーカイトであっても平気で犠牲にする。
信者たち個人での最終的な目標は「自身の神格化」であり、そのためならばなんでもする。
ネオ・サーカイトは「イオンは既に神格化を果たしている」と主張し、自分たちもイオンの様な絶大な力を得ようとする教義を持つ一方、その為ならば当のイオンですら食えるなら食おうとする。
サーキックの歴史
ダエーバイト文明の崩壊
「崇高なるカルキスト」イオンは、「ダエーバイト文明」と呼ばれる先史文明において、ダエーワの母と人間の父から生まれた人である。
ダエーバイト文明というのは遥か紀元前、ユーラシア一帯に広まっていた巨大帝国であり、サーキック及びメカニトにも大きな影響を与えている。
現在の我々人類とは異なる種族「ダエーワ」による文明であり、記録される有力者が全て女性であったことから女権社会だと考えられる。
支配者たるダエーワはその血統にこそ価値があると考え、異種族である人間を奴隷として支配していた。またダエーバイト人女性とその「側室」である人間男性の間に産まれた子供は、奴隷となることが定められていた。
イオンも例外ではなかったが、生まれつき優秀であったため奴隷や実験モルモットにはならず、女司祭あるいは錬金術師の召使いであったと推測されている。
ダエーバイト文明は非常に強大な勢力を有していたが、圧政に耐えかねた奴隷たちは、西シベリアを中心にダエーバイトへの反乱組織が生まれたことを知ると続々と脱走、組織へと加入していく。
これこそがイオンが創始したアディトゥム(当時のサーキックの組織及び都市)であり、見る見るうちに勢力を拡大したアディトゥムによって、ダエーバイト文明の歴史は滅びの道へと歩んでいった。
このダエーバイト文明が最終的に存続していたのは何時頃までなのかというのは、ハッキリとしていない。SCP-140(未完の年代記)は11世紀と主張し、SCP-2131(反物質教皇)は14世紀と主張している。
最終的にダエーバイト文明はモンゴルの一放牧民族と同程度にまで弱体化し、かのチンギス・ハンにトドメを刺されたとされる。
なおダエーバイト文明は中国とも対立していたが、中国の夏王朝はメカニト文明の王朝だったらしく、故にメカニトもかなり早期に生まれていたようである。
その後
ダエーバイトを滅ぼしたイオンであったが、このときその傍らには4人の援助者がいた。
これらは後に四聖人「クラヴィガル」になっている。
紀元前1600年から1200年に至るまでの期間、サーキックは黄金期を迎えた。しかし有機物質で建造物が構成されていたため、考古学上の痕跡を残さなかった。
たぶんかなりグロい建物が沢山立っていたのだろう。現在のサーキック絡みの町でも一般家屋の表面に有機的な肉が覆われていたり、文字通りの「生きた寺院」も多数みられる。
これこそが「アディウム帝国」であり、その首都はアディトゥムと言った。イオンの二つ名の『アディトゥムの魔術師王』というのもここから。
勢力が頂点と化したアディウム帝国はダエーバイト滅亡後も侵攻は止めず、やがて周辺の他の文明にまで手を伸ばし始める。
そしてこの頃からアディウム帝国は、傘下に下った国家や部族と連合し、『カルマクタマ(不死の)帝国』を名乗るようになる。
紀元前1200年頃に至り、数多くの古代文明はサーキックのおぞましい力に畏怖。反サーキック色を強めていき、メカニトもこの頃からサーキックと敵対しはじめる。
メカニトと各文明は一致団結し大連合を結成し、アディウム/カルマクタマ帝国に立ち向かったが、それでも尚アディウム/カルマクタマ帝国の力は凄まじく強大で、この戦争による死者数は2000万から3000万にも上ると推測されている。
ここで厄介なのが、サーキックの能力では死体すらも自らの兵士として取り込めるということ。
戦えば戦うほど、犠牲が出れば出るほどアディウム/カルマクタマ帝国の兵力が拡大し、より膨大な数の軍勢が雪崩れ込んでくるという悪循環となっていた。
同盟の文明たちがどんどん疲弊していく中、遂にメカニトが最終兵器として作り上げた巨大ロボット軍団に乗り、敵の本拠地に特攻を仕掛けた(SCP-2406「巨像」)。
激闘の果て、遂にアディウム/カルマクタマ帝国は「表向きには」滅びた。(SCP-2095「ギャロス包囲戦」)
この戦争のときにイオンは壊れたる神/MEKHANEに敗北し、別の次元へと撤退したと思われる。(これがサーキックの今の理想郷)。
しかしアディウムと戦った各文明も壊滅的な被害を受けており、その多くが滅亡した。
ちなみに現実の史実でもこの頃は「前1200年のカタストロフ」と言われる多数の文明が滅亡した時期であり、その原因は今持って謎である。「実は各種文明滅亡はサーキックとの戦いのためだった」と言うかたちで、上手く史実とあわせている。
ここからAC1300年代までは、サーキックもメカニトも信頼できる歴史書がない。
大きな動きが無かったと見るべきか、アノマリー大戦争だったせいで秘匿されたのかは定かではない。
しかし1560年頃、さる貴族に入り込んだサーカイトによって、血統を重んじる形でネオ・サーキックが台頭しはじめる……
ヤルダバオート
サーキック神話における主神的存在。
Važjuma(古き神)、神を喰らうもの、"貪るもの"、"彼の波打つ広漠"、"大いなる選別者"、“混沌の子宮”等、数々の異名を持つ。
サーキックにおいては『獅子の頭を持つ蛆』の姿で表現され、夏王朝では中国神話の創世神である「母なる龍」たる『女媧』と同一視された。
「貪るもの」は実際にアレと関連しているのか、たまたま同じ呼び名なのかは不明だが、古い文献では『緋色の王』とも同一視している記述も多い。
この宇宙の根本的な力とされ、崇敬をもって信者たちからは扱われているものの、直接の崇拝対象とはあまり見られていない。
理由は上述の様にイオンがこの神を喰らった、または服従させたと言い伝えられているため、どちらかというとイオンに従属する存在かイオンの魔術のエネルギー源として見られている感じが強い。
そのためサーカイトの間ではイオンほど重要視されておらず、言及する文献もそれほど多くはないのだが、メカニトやその他文明からは「この神こそが全ての元凶にしてこの世界最大最悪の厄災」と考える者も多い。
関連オブジェクト
SCP-610 - The Flesh that Hates (にくにくしいもの)
後にサーキック・カルトの世界観に取り込まれたものの、それ自体はサーキックと直接関係するか不明なもの。
ロシアのバイカル湖付近で猛威を振るった感染病で、初期は皮膚病のような症状を呈するが、
数時間で動かなくなり、そして直後に猛烈に動く。体が肉腫に覆われたグロモンスターになり、「肉々しく」「憎々しい」見た目になってしまう。
起源は不明であり、サーキックと直接関係するという説以外にも、ヤルダバオート由来説、ギャロス包囲戦由来説などがある。でも結局それ最後はサーキックですよね?
当初はサーキックと無縁だった三桁代オブジェクトだけあり、報告書の体裁が2009年と初期の頃の風味を残している。
2009年といえば、あの止まっとれないトマトの頃だといえばわかるだろうか。
純然たるゾンビウイルスだったのだが、サーキック世界に放り込まれたために賛否両論を巻き起こしたわけである。
ただし本家記事そのものがサーキック前提に改稿ということではないため、今でもサーキックを前提にせずに読むことは可能。
SCP-2075 - The Way of All Flesh (肉体を統べる策)
「我が欠片の総和を君は計算違いしていたな」
「答えてくれ、蛸の足を檻に入れたとして、その蛸は本当に囚われているのか?」
対象に呼気を吸い込ませることで自身の「端末」を作成するという人形実体。
自身をカルキスト・ヴァリスと主張するが、この時点ではまだ財団はサーキックの存在を把握していなかった頃だった為、インタビューによる証言も半ばカルト信者の妄言程度としか認識していなかったと思われる。
どうやらウイルスを媒介にして「端末」を生み出す、『実体を持たない生命体』らしい。
Tale『肉体を統べる者』では、その正体は、クラヴィガル・ナドックスだったと記されている。
SCP-2095 - The Siege of Gyaros (ギャロス包囲戦)
「一人たりともこの島を生かして逃さぬ事を誓います。彼らの名は消されねばなりません」
エーゲ海のギャロス島に存在する寺院。
有機的な素材でできた「生きる建造物」であり、報告書を読む限り、アディトゥム帝国の要塞であったらしい。
おそらくは紀元前1200年頃のサーキックと各文明との戦争の過程で、Mekaneの軍勢により陥落した。
SCP-2191 - "Dracula Factory" (“ドラキュラ工場”)
「母様と土地は今や一つさ。彼女の土の子宮は膨れ、いずれ弾けるだろう」
「あんたの周りは神々の火に囲まれているんだよ」
ルーマニアの寺院。
吸血鬼的な人形実体が多数生息する上、どうやら地下には更にやばい実体がいるようで、SCPコミュニティの間では クラヴィガル・ロヴァタールではないかと推測されている。
なお地元住民が生贄を捧げ、「うまくやってきた」ため通報がなされず、財団がこのオブジェクトを把握するまでに相当な時間がかかっている。
SCP-2309 - Iron Wall of Dhul-Qarnayn (ズルカルナインの鉄壁)
「彼の者ら我らの地におほかるなる災ひ与へき」
ジョージアの山中に存在する「鉄の壁」。
見えない何かによって絶えず爪痕のような傷をつけられ削られているが、毎日自動的に修復される。
「ズルカルナイン」とはコーランに登場する英雄の名前で、多くの場合アレクサンドロス大王のことと解釈されるのだが、 このSCPは古代ペルシアの王であるキュロスII世と解釈している。
かつて2人のカルキストの軍勢によりペルシアが侵略された際、キュロスの軍はMekane信者の力を借りて異次元にカルキストの軍勢を封じた。
それがこの壁であり、サーキックの軍勢は未だに壁を破ろうと削り続けている。
SCP-2406 - The Colossus (巨像)
「私たちは、彼の者の荒涼たる領地に踏み込みます」
「そして左手には、答えがあります」
「起きてしまった事を取り返すことはできません。 しかし、肉の夜明けを遅らせることはできるのです」
カザフスタンにある、対サーキック用汎用人型決戦兵器。
各種のオーバーテクノロジーで制作されており、おそらくはサーキックとの戦いで損傷している。
これも年代測定及び他のオブジェクトからのクロスリンクより、紀元前1200年の戦争の際に用いられたと考えられる。
SCP-2408 - Orok's Fall(オロクの没地)
「古い寺院。野蛮人。黒い石。血。肉。詠唱。ドラミング。」
ロシアの裏社会を牛耳るマフィア、かつネオ・サーカイトの大勢力の一つである「ハンターの黒きロッジ」(以下ロッジ)とそのシノギ、そして彼らの本拠地にまつわるオブジェクト。
モスクワ地下に埋まった、ロッジが本拠地とする巨大な祭祀場の遺跡。さらにその地下にある植物状態の巨大な人型実体の存在が語られる。
ロッジはプロト・サーカイトの流れを継ぐ由緒ある組織であるらしい。しかし問題は、首領である“野獣”ことオタリが、サーキックの伝統への敬意をかけらも持ち合わせていないところにある。
上記の人型実体を利用して危険な薬物を製造して売りさばいており、「商売」の邪魔になる官僚の妻子を対象に、殺す事なく「決して消えない傷」をつけ、生贄としてコロシアムで殺し合いをさせ、それを金持ちや信者に見物させるなど、やりたい放題。プロトの流れを組、伝統的な信仰を守る長老はこうした行いを快く思ってはいない。
そして本拠地が財団とGOCの混成部隊の襲撃を受けた際、逃走前に長老たちを殺した挙句、薬物製造を続ける為に必要な「臓器」をえぐり出して持ち去ってしまった。
「オロクの没地」とは祭祀場を示す名であり、人型実体とはクラヴィガル・オロクのこと。 単眼で角の生えた体長300mの巨大なゴリラを思わせる姿をしている。
SCP-2480 - An Unfinished Ritual (未完の儀式)
「豚というのは、君も知っての通り、賢い動物だ」
「知的で高貴だ」
「だが、それでも豚肉は美味かろう? 」
マサチューセッツ州のとある森で起きている異常現象。
なにかしらの「人間が直接知覚できない」次元異常とかいうものらしい。
サーキック的にはこの儀式は「失敗したもの」である。
なぜ失敗したのかというと 、世界オカルト連合が崇高なるカルキスト・イオンを殺害するために暗殺を試み、その過程で儀式を止めたため。
当然下手に儀式を止めたせいで面倒くさいことになってしまった。
更に、異常現象が起きている地域に隣接していた財団サイトの管理官が財団に反旗を翻し、敬虔なサーカイトになってしまった。
事態を重く見た財団は、調査からわかった「GOCがサーキックを追いかけている」という物的証拠を元に、GOCに協力を要請。当初はぶっちゃけ「お前らのせいでこっちに面倒事起きてんだけど」的な非難だったらしい。
その後和解した財団とGOCは共同で「プロジェクト・シトラ=アキュラ」を制定。
ここでGOCからサーキック・カルトについての情報を入手し、財団も本格的にサーキックの存在を把握していった。
SCP-2481 - Kill the Suns (大羿射日)
「かつて父たる蛇は我らに、文字と機械を作る方法を教えた」
「禹王は"神は龍の食物に過ぎず、人は龍の末裔なり。しからば我らにとり神は恐るるに足らず"と答えた」
中国で殷王朝の遺跡発掘中に、遺跡のさらに地下から発見された球場の空間。
そこには古代の電子機器と思わしき-1、破壊された現実改変兵器である-2、そして大怪我をした上に-2の下敷きになっている、ヘビと人間の間の子のようなヒューマノイドである-3が保存されていた。
SCP-2481-3が語ったことをまとめると、なんと中国の創世神話に登場する伏義がMekhaneであり、女媧がヤルダバオート、そして最初の王朝である夏王朝がまるごとMekhaneから高度な技術を授けられた超古代文明だった。
夏王朝が後の殷王朝である商と争った際、現実改変兵器を多数使用した結果暴走し、夏王朝まるごとが現実から消えた。
SCP-2481は、発動前に反撃で破壊された現実改変兵器から漏れ出した力により偶然保全された空間である。
直接サーキシズムや壊れた神の教会との関係はないようだが、ヤルダバオートとMekhaneがこれら以前人類に干渉していたことを示す。
SCP-2478 - Ordinary Japanese People (一般的日本人)
「浄土が降りてくるまで、俺たちは今世での苦業に耐えねばならない」
「きっと彼のお方は我らの地に現れた弥勒様なのだ」
7対の手足、7つの内臓セット、7つの生殖器を持つ人型実体。
ただし我々日本人からはそうは見えず、「巨人症なだけの普通の日本人」にしか見えない。
身分制度最下層の、通称「穢多村」の住民が「日本人として受け入れられたい」と願っていた所、 その村を訪れた外国人宣教師『ばかたち・ゐおん様』が「7人で1つの身体に組み替えてくださった」と語る。
そのため、彼らは毎年『ゐおん祭り』という祭りを開いて、ゐおん様に感謝の意を示している。その『ゐおん祭り』だが、それ自体には異常性はないものの、内容がどうもサーキックの儀式に似ているらしい。
SCP-2688 - Enammu (エナンム)
「私は病んでいる。いや、彼女は病んでいる。そう、我々は全て病んでいる」
「彼女の行いは邪悪だ。我らの精神は虚ろとなりそれを感じることができる」
クウェートのブビヤン島にある村。中央部にはジッグラト(ピラミッド)がある。
報告書と関連文書を総合して考えると、このジッグラトは元来アッカドおよびシュメール文明により「ナンム神」を信仰するために建造されたもので、紀元前1200年の戦争で放棄されたらしい。
紀元前300年にカルキスト・トゥルヴァに命令され旅に出たサーカイトが再居住し、現在の村人はその子孫である。
住民たちはジッグラトから漏れ出す何らかの力により自らの体に奇形が生じたのを「サーキシズム的な恩恵」と考え、居住することにしたらしい。
地下には巨大な地下湖があり、シュメール神話の英雄・ジーウースードラを自称するヒューマノイドが触手に囚われている。
彼の台詞や関連文書の記述を総合すると、ナンム神の力が汚染されて瘴気となっており、それが解放される危険があるという。
SCP-3989 - The Bone Orchard(骨樹園)
「生贄、裏切り。誰がこの供物を持ってきた?」
「人の世は無知と脆さの中を歩く。過去に囚われた心は現在の迷宮を歩めぬ」
シリアのオリーブ園の中に存在する次元ポータルと、その向こうに広がる遺跡。
財団は周囲に壁と駐在サイトを建てて収容している。
骨化し、枝と葉はヒト組織で構成された木々が立ち並んでいる。その実はSK-BIO生物を生み出し、さらには警備のために無数のSK-BIO生物たちがうろついている。
この入口に当たる領域がどんどん拡大しており、加えて周辺区域には暴露初期には内部の異常性への認識を失わせ、暴露が進行すると逆に異常性を認識するどころか好奇心を増大させる。
平たく言うと、曝露対象を信者化させる認識災害ベクターが仕込まれているという問題児。
さらに、内部に存在する実体群のうちいくつかはSCP-610の活動区域に同様のものが存在しており、以前に収容違反していた可能性がある。
2014年に行われた4度の探索で、探査主任のファリク・ギャザリー博士と部下の一部はこの認識災害に見事に引っかかってしまった。そして影響を受けていない探索メンバーを殺害し、最終的には仲間に加わるか協力するつもりで遺跡深部へと向かう。
ログの一部は黒塗りで隠匿されている(反転で読める)が、それによるとこの領域はクラヴィガルの一人たる「暴力と忠誠をつかさどるオロク」の聖域のようなものらしい。それを示すように、領域の奥に進むとオロクその人のものらしき声が聞こえている。
博士とそのチームは探索中に全員殺害されるが、2日後にサイト内に骨化した木が出現、その実から復活して「通常勤務に戻された」。
2015年6月、マーシャル・グラント博士による抜き打ち査察の際に、サイト全体がすっかり“信者化”した職員に占拠されており、ベクターの影響を逃れた職員も拘束され骨の木の餌にされているという惨状が発見された。
グラント博士のチームによりサイトは制圧され、収容体制は再建されたが、2016年にも再度収容違反を起こしたらしい。
原始サーキシズム
近年になってからこの恐ろしい邪教団の新たな側面と、 サーキックの頂点たる『崇高なるカルキスト・イオン』のもう一つの顔……というより彼の人物像に新しい仮説が目につくようになった。
それによると、イオンは最初から最後まで純粋に弱者を救済するために立ち上がった善良な聖人であり、サーキックはその目的の為立ち上げられた、義を重んずる教団だった。
イオンの教えに限りなく近い事を実践しているプロト・サーカイトの教義にすら、本来の教義と異なる曲解が生じている可能性があるという。
それが、イオンが最初に信者たちに広めた教えであり、プロトよりさらに前の時代、本来の意味でのサーキシズムを実践していた「原始サーキシズム」である。
現代に残存する、原始サーキシズムに近い体制をとっていた集団を財団が発見して調査し、現代サーキシズムと異なる部分を比較してみると……
- 崇拝対象はあくまでイオンとクラヴィガルの聖人たち。病や血肉は崇拝しない。
- 宗教的儀式に生贄などは使用しない。
- 基本的に慎ましく、穏やかに生活を送れるよう努める。
- 身内が亡くなった際は遺族が遺体を食べるが、あくまで亡くなった家族と一つになって生き続ける祈りによるもの。
- 他の無関係な人間を襲って殺し、その肉を積極的に喰らおうとはしない。
- 神々の存在は信じているが、崇拝対象ではなく基本神に頼るべきではない。
- というより神と契約して人間をやめるようなことをすること自体が禁忌。
- ヤルダバオートは明確に自分たち含めた全人類の敵と断言する。
など、既存の概念からおよそ信じられないくらい平和で牧歌的な生活をしており、調査の為にやってきた博士を驚かせていた。
これに基づく報告書やTaleも出始めており、サーキックに対する見方が大いに変わる作品となっている。
関連オブジェクト
SCP-2815 - Tree of Life(生命の樹)
「彼らに敵対的な行動を取れば類を見ない研究材料や、潜在的な戦略物資を失うことになるだろう」
ハンガリー・ヴェシュ県に存在する小集落。ペイガニズムとサーキシズムを混ぜ合わせた独自の教義を信仰している。
基本的には温厚な住民で構成され、他者への攻撃性ほとんどない。近親婚を繰り返しているが遺伝子異常はほとんど見られず、稀に奇形をもって生まれる子供は「タルトシュ」と呼ばれるシャーマンとして修行し、高い地位をもって尊敬される。
集落には異空間と繋がる大きな樹が存在しており、中には更に数本の木々がある。
これらには多種多様な果物が実っており、樹に空いた空洞にはヒトの臓器が果実のように大量に生っている。樹液は血液となっている。
果物は栄養素が豊富で、臓器は臓器交換で使用しても拒絶反応なし。血液は輸血しても血液型を問わず問題なく適合するなど、医療面・食料提供面でも大変有用である。もっとも果物はヒト由来の組織で構成されており、カニバリズムになるのだが。
過去に住民達からはMCF(マナによる慈善財団)の要請を受け、「人助けの為なら」として提供を一度だけ承諾しており、調査の末に「善良なサーキックコミュニティ」として財団から認識された。
現在は24時間体制での監視と、エージェントと住民との結婚によるコミュニティ内での調査、村を邪悪と見なし攻撃しかねないGOCの過激化防止が続けられている。
SCP-1828-JP - 霧の森
「彼女の顔には霧がかかっているが、それでもあれは確かにあったことなのだ。デスクの上の瞳がそれを確かに肯定してくれている。」
フィンランドのパイヤト=ハメ県に存在する森の中に隠れ住み、原始サーキシズムを信仰するプロト・サーカイトの集落。
宗教迫害から逃れるために森の守り神的存在の一部を『神食』し、森一帯を特殊な霧で包み込み異空間化することで外部との交流を遮断。ひっそりと暮らしていた。
内部の住民は長寿、両性具有、一対の角などの特徴を持ち、自ら外に出る事をよしとしない。
稀に迷い込んでくる人間を保護し、外の世界に戻している。仮に再び入ろうとしても辿り着く事はかなわず、霧の作用によって内部での記憶は曖昧になってしまう。
財団とは穏便な交渉により集落の保護を約束し、調査団が住み込みで滞在して交流しながら調査している。
過去に迷い込み、一年後に帰還した学者の手記では、一人の少女との儚くも切ない交流と別れが語られている。
CC BY-SA3.0に基づく表示
サーキシズム・ハブ
(by Metaphysician)
http://scp-jp.wikidot.com/sarkicism-hub
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関連タグ
SCP_Foundation 要注意団体 崇高なるカルキスト・イオン クラヴィガル・ナドックス クラヴィガル・ロヴァタール