SCP-610
にくにくしいもの
海外のシェアワールド「SCP_Foundation」に登場する怪異。
別名、『にくにくしいもの』。
ロシア南シベリアのバイカル湖付近で流行した謎の感染症である。
SCP-610に感染すると、初期は湿疹・痒み・過敏症といった皮膚病のような症状が現れる。
続いて三時間以内に腕部・胸部などに重度の傷跡のような肉の組織が形成され、次の一時間のうちに脚部・背部にまで組織の形成が進む。
感染から五時間が経過すると傷跡のような組織が感染者を完全に覆いつくしてしまい、感染者はぴくりとも動かなくなる。
なお、この「傷跡」の浸食は高温下でより早く進み、最短5分で完了する。
感染完了から3分ほど経過すると、感染者は突然起き上がり常人の3倍という凄まじい速さで動き回るようになる。 赤い色と言い、こいつはシャアか!
そして「傷跡」が動き出し、成長・変異を始める。なお、この段階で感染者の自意識は既に死亡しており、新たな「肉塊」としての生命が付与される。
ただ、後述の探査記録を見る限り、人間としての慣習がやや残っているような挙動も見られるようだ。
肉塊と化した感染者の体からは、新たな手足が生えたり頭が細長く伸びたりと様々な奇怪な変異がランダムに起き、人間とはかけ離れたおぞましい肉塊の生物へと変貌する。(ちなみに、人間以外にも感染する)
彼らは、主に接触感染で広がる。皮膚に触れてしまっただけでも確実に感染するが、この場合は発症までに数日を要する。
ただし、移植などで肝臓や肺に組織が直接触れた場合はあっという間に感染が完了する。
一部の感染者は移動することを止め、植物のように地面に体を固定する。
この状態になると、自ら移動して他の生物に感染はさせず、己を中心として周囲の環境を侵食するようになる。
こうして生み出された環境は他の感染者にとって好ましいものであるらしく、感染を拡大するための手助けをしているとされている。なお、感染体に対して銃撃は効果が薄いが、火炎放射器が有効。
特別収容プロトコルは、
- 該当地域は軍事作戦を装って感染区域ごと隔離する。
- 境界線付近で感染体と思しき物体を発見したら銃撃で動きを止めつつ、火炎放射器で焼却処分。
- 感染体から3m以内に接近してしまった人は、他の生物に絶対に接触しないようにしつつ遠隔機器によって感染の有無を診断する。
感染症というものの性質上完全な収容が難しく、しかも積極的に感染させようとさえしてくるため、オブジェクトクラスはKeterに認定されている。
SCP-610の感染区域に対しては計6回の探査記録がある。
SCP-610-L1
SCP-610の感染地域の一つであるサイト-Aに対して、無人探査機「ハービー」を送り込み、内部の撮影を試みた。
ハービーはタイヤによって走行し、12時間の活動が可能なバッテリーを搭載している。
ハービーが最初に撮影したのは、SCP-610に感染し地面に倒れ伏している人々だった。
サイト-A内には様々な段階の感染者が存在していたが、これらの感染者たちはぼんやりと社会組織というものを認識しているような挙動を示していたという。
感染者が具体的に何をしているのかを観察するため、ある一軒の家屋の中に向かった感染者を尾行した。
感染者はズルズルと這いずる回りながら家に入り、食卓だったと思しきテーブルに座った。ハービーは玄関口から刺激しないように観察を続ける。
この感染者は次に家の中を動き回り、内部の別の感染者の前で立ち止まるということを何度か繰り返すと、突如ベッドの上にいる感染者に殴りかかった。
ベッド上の感染者は腕を振り回して抵抗するも、逃げることはしない。しかし、突如として悲鳴のようなものを上げると、胸に空いた穴から靄のような物質を噴出した。
殴りかかっていた最初の感染者はそれらの出来事を無視すると、皿を3枚取り出した。
そして自分の頭部(だったと思しき長く伸びた触手)を引きちぎり、それぞれの皿に盛りつけた。
盛り付けが終わると、感染者は家の外へ出て行き、6・7名の別の感染者を連れて戻ってきた。これらの感染者たちは己の体に空いた穴に盛り付けられた肉塊を押し込むと、立ち去った。…こんなディナーは嫌だ。
ハービーが家を出ようとすると、最初の感染者ともう一体の感染者が頭部の触手を絡めあっているのが映った。お別れのキッス的なものか?
続いてハービーはある店舗の中へと潜入した。店の中にはたくさんの感染者が犇めき合っていた。
ハービーが店のカウンターの後ろ側を映すと、ロシア軍の制服を着た人が倒れていた。最初の調査に派遣された部隊の犠牲者だろうか?
感染は進んでおらず人間としての形をとどめており、ハービーを瞳を動かして見つめ続けていた。
ハービーが店の奥の部屋へと向かうと死体が山積みになっていて、その頂上に感染者が死体と融合するように存在していた。
感染者はしばらく狂ったように腕を振り回していたが、発作を起こしてヒクヒクと震えたのちに靄のような物質を放出した。
ハービーが店から出て走行していると、井戸に通りかかった。その井戸の周りには根付いた感染者がそれぞれの腕を融合させて連なっていた。
ハービーが通り過ぎようとすると、突如感染者の一体が動き出し、ハービーをつかみ上げた。
その感染者は元は12歳ほどの少女だったらしく、生前と同じ奇麗な顔でハービーを不思議そうに眺めていた。
しかし、突然に少女の顔が破裂。周辺に肉片が飛び散った。
ハービーは破裂した感染者の体内へと押し込まれ、映像は途切れた。
この時点でハービーはロストしたものとみなされたが、5時間後に再び映像を送信してきた。
ハービーは井戸の上をそれぞれの感染者の手に渡されながら、感染者の顔を拡大したり縮小したりしながら撮影している。
その後映像は切れ、以降接続されることは無かった。
SCP-610-L2
SCP-610の封じ込め区画を囲む防御線を建設している最中、感染した村人や動物の襲撃により多数の感染が発生した。
ほとんどの新規感染者は焼却処分されたが、感染した中には人柱ことDクラス職員もいたため、これ幸いと3人の感染済みDクラスを感染区域内の有人探査に利用することにした。
Dクラスには以下の装備が支給された。
撮影機器
1ガロンのガソリン容器1つ
発煙筒3つ
9mm拳銃3丁およびそれぞれに弾薬3つずつ
糧食3食分
Dクラスには、撮影を続けている限り感染した生物を自由に殺傷することを許可した。
これはSCP-610の根絶計画を練るために、感染者たちが外敵の襲撃に対してどのような反応を示すかを調査する目的があった。
これらのDクラスが送り込まれたサイト-Cは、ハービーが送り込まれたサイトAとは別の区画であったが、蠢く感染者が少ないことや、根付き型による環境形成もあまり進んでいないことからSCP-610の発生源である可能性が指摘されていた。
以降、3人のDクラスをDI1・DI2・DI3と呼称する。
サイト-Cへの道中では如何なる生物にも遭遇することなく順調に進んでいった。
しかし、サイト-Cへと近づくにつれて気温と湿度が上昇していき、Dクラスは支給されていた防寒着を脱ぎ、サイト-Cが目前に迫った時には上着までも脱ぎ捨ててしまった(ここはロシアである)。
サイト-C内は極めて高温多湿であり、気温は32℃にもなったという。
サイト-Cの周囲には、5~6メートルぐらいの間隔で肉の「円錐」が立ち並んでいた。
この「円錐」は2~4人の感染者が融合して形成されており、それに空いた穴から熱風が吹き出しているのだった。
「円錐」の調査を始めて数分後、突如としてDI2(最も感染の進行度が小さかったDクラス職員)が発作を起こし、SCP-610の肉塊に急速に侵食され始めた。
DI1が褐色の肉塊と化したDI2を銃撃により処分したが、その死体の浸食は止まらず、蠢き続けていたという。
防衛線管制室が残ったDI1とDI3に新たな指示を出していたところ、DI2だったモノの下の地面に突如地割れが発生。裂け目から肉の触手が飛び出し、一瞬のうちにDI2を地下へと引きずり込んでいった。
その後、2人のDクラスはサイト-C内部へと侵入していく。
村の中心部へと到達すると、井戸を発見した。その井戸の上にはSCP-610の肉塊でできた巨大な球体がこれまたSCP-610の肉棒によって吊るされている。この肉の球体の表面には、様々な感染段階の人間や動物の「顔」で埋め尽くされていた。
球体はおよそ5秒間隔で脈動し、胞子のようなものを放出していたという。
管制室はDクラス2名にこの球体を焼却処分することを命じる。
DI3が球体にガソリンを吹きかけ、発煙筒で着火した瞬間、とてつもない轟音が鳴り響いた。
この音はサイト-Cとサイト-Aの管制室の両方で聞こえ、「まるで高度に精製した爆弾が山向こうで爆発したような」とも「巨大な野生動物のうなり声」とも言われた。
Dクラスの報告によると、着火した途端に村の中で爆発が連続して起き、球体も凄まじい勢いで破裂した。
着火したDI3は飛散した井戸の破片により死亡。生き残ったDI1はカメラを見つけ出し撮影を再開するもアングルが悪く、サイト-Cの詳細な状況は分からず。
DI1は村の中央に「何か」を発見。しばし呆然としてそれを見つめていたが、急に「何か」に引っ張られて転倒し、カメラを取り落とす。それ以降のDI1の行方は不明。
この出来事の31秒後、不可解な生物らしき「何か」がカメラの上へと歩みよるのが映し出された直後、カメラは破壊された。
防衛線管制室はこの事件を緊急事態と判断し、厳戒態勢を発令した。
SCP-610-L3
SCP-610-L2でのサイト-Cの急速な崩壊に伴い、サイト-Aでも感染体の行動に変化が見られた。
財団が送り出したドローンが撮影した映像には、サイト-Cの球状肉塊が爆発すると同時に感染体が発作を起こして痙攣している様子が映っていた。
地上に根付き、移動不可能な感染体はその場で委縮し死亡した。
移動可能な感染体は、かつて上流階級の住居だったと思しき廃墟へと入っていったが、突如として廃墟の床が抜け、その穴へと落ちて行ったようだった。
この穴にドローンから物を落としたところ、帰ってきた音から1000m以上の深さがあることが推測された。
サイト-Aの大気のサンプリングから、SCP-610に関するすべての存在の死滅が判明した。
これによりサイト-Aの有人探査が許可され、2~3名の研究スタッフと4~5名の武装した護衛隊員で構成された3つの研究チームが組織され、集落の廃墟に本部を設置した。
研究チームは死亡したSCP-610肉片や変異した物質の採取に成功した。
さらに、出現した穴の構造を調べるため、音波反響探知装置が穴の周囲に設置された。
音波装置の起動する前に、サイト-Aで地震が発生した。
これにより、3つのチームのうち2つはサイト内に留まり、1チームはサンプルを届けるために帰還するように指示された。
サイト-Aの地震は徐々に弱まっていった。
地震の発生中、突如として例の穴から大量のSCP-610の胞子が噴出し周囲50mを覆いつくした。残った職員たちは胞子に驚いたものの、Aクラス災害環境防護服を着用していたため感染することは無かった。
しかし、さらにSCP-610に感染した謎の飛行生物が襲来し、頭部をガバっと開いて研究者たちに咬みついた。これらの感染体は銃撃によってあっさりと死亡したが、咬みつかれた研究員の一人は持ち上げられて穴の中へと放り込まれ、もう一人は防護服が破損してSCP-610感染の兆候が見られたため即座に処分された。
続けてマグニチュード1~1.5の二度目の地震が発生した。感染体の攻撃に備えて穴へと注意を向けると、地震活動が大きくなる際に2度目の胞子の放出が発生した。
地震がマグニチュード3~3.5を記録した瞬間、穴から未知のSCP-610個体が出現した。
この個体は、胴体の無い巨大な人間の頭部のような形状であり、穴から身を乗り出そうとしていた。
地震がマグニチュード7まで増大し、不意に収まった瞬間に研究チームとの映像と無線の接続が遮断された。その後サイト-Aの空中からの監視を行ったものの、それ以上の活動や研究チームの痕跡は一切確認されず、職員と装備は喪失したものと判断された。
SCP-610-L4
サイト-Aでの研究チームの失踪の後、サイト-Aの動きが見られなくなったため、ドローンによる無人探査が決定された。
ドローンは映像に映っていた陥没孔へと降下し、内部のデータを本部へと送信する。
研究者による動作テストが終わると、ドローンは穴の降下を始める。
穴の内壁の状態は、穴が時間をかけて形成されたのではなく一度の出来事で掘られたものであることを示していた。また、SCP-610の肉片と思しき物体がところどころに付着していた。この肉片の量は深くなるほどに増えていく。
100mまで降下したところで、壁面に無作為に掘られた横穴を発見するも、穴が小さすぎたために内部の調査はできず。
250mまで降下すると穴の底が見え始める。穴の様子から、自然物ではなく何者かによって掘られたものであることが分かった。
そこから横方向に穴が続いており、ドローンは引き続き調査する。
しばらく進むと前方に動く物体を発見したため、ドローンは搭載された銃火器を準備しつつ伸長に接近。その正体はSCP-610のつるにとらわれたシカであった。シカはまだ感染しておらず、空中に吊り上げられた状態で脱出しようともがいていた。
ドローンは接触しないように横を通過。
シカを発見した地点から39m進んだところで、穴の表面にそれまで見られなかった多数のこぶ状の物体を発見。外見を見るに、どうもサイト-Cの崩壊の後に穴の中へ逃げ込んだ村人だったモノたちが変化したものらしい。
さらに100m進んだところで水が流れ込んでいるのを発見。
水のサンプリングを行い、水流の追跡を行うためにビーコンを放流する。
その後の調査により、地表の水はSCP-610による汚染を受けていないことが判明した。
ここで穴が二つに分岐する。一方は川へと続き下降しており、もう一方は上方へと向かっていて光が見えていた。
ドローンを回収するため後者を選択し、上昇する。
地表へと出たドローンが映し出したのは、山の強風地帯に存在する廃村だった。
ドローンの移動距離から計算して、サイト-B付近であると推測されたが、サイト-A及びCとは異なり村全体がSCP-610の死んだ組織そのもので構成されている。
調査の結果、一切の生命が観察されず、強風のためにドローンの回収が困難と判断されたことから穴へと引き返した。
次の瞬間、録音機が大きなうなり声のようなものをとらえた。
カメラに映ったのはSCP-610の肉で構成された巨大な人の顔。眼窩には目が無く、口には歯が無い。恐らくSCP-610-L3の最後に出現した存在と同じものだろう。
ドローンは発砲するものの、傷はすぐに再生するために効果が無く、なすすべなく肉塊に飲み込まれる。
その3時間後、ドローンのカメラは何らかの構造物のようなものをとらえた。
周辺にはうごめく膨大な数の存在を確認。そのうちの一体がカメラに近づき、カメラを踏み潰す。
この調査結果から、有人探査を行うことが決定した。
SCP-610-L5
これまでの探査からSCP-610の破壊が可能であることが判明し、感染源の探査を目的として調査チームが組織された。
チームは2つの研究チームと3つの突入チームの計5チームからなる。
穴の内部の分岐地点で拠点が設営された。
ここからは3つのルートが存在している。第1にサイト-Aから拠点を繋ぐルート、第2に前回のドローンによる調査で確認された山間部の廃村までのルート、第3に西へ向かっている水で満たされた未知のルートである。
研究チームの1つは本部の設営を行い、もう1つは標本の採取を行った。
基地設営を担当するチーム以外の4チームのうち3チームが未探査のルートへと降りていくように指示された。この際、SCP-610の肉片が風化したものが洞窟の壁面を覆い、まるで補強しているようだったという。
第3ルートを20km下りたところで、突入チームの指揮官が移動用のバギーが欲しいと本部に連絡したため、バギーを遠隔操作して誘導した。
しかし、バギーが到着してすぐに大型のSCP-610感染体が壁面から剥がれ落ちるように出現し、チームに襲い掛かった。
バギーを守るために応戦した結果、数名の隊員が水流に呑まれて通信が途絶してしまった。
その後、連絡が復旧したため、独自に調査することを命じた。この記録はSCP-610-L6に記録されている。
この戦闘の結果、残った隊員は3名のみ、武器は火炎放射器が一丁のみとなってしまった。襲ってきた感染体は既知の生物との共通点が見られず、SCP-610が独自に生み出したものとみられている。
その後、残存隊員たちは行方不明となった隊員たちの捜索を行ったものの、川が水中に伸びていたために断念した。
突入チームが進んでいくと、ついに穴の終点に到着した。そこはサイト-Bへとつながっていたが、再び待ち構えていたSCP-610大型感染体の襲撃を受けた。なんとか撃退したものの虎の子の火炎放射器の燃料を消費してしまい、武装は標準火器と短射程の個人携行火炎放射器のみとなった。
何とか感染体を退けた突入チームがサイト-Bに進むと、時代の特定できない集落跡のような場所へ開けていた。建造物はサイト-Aやサイト-Cのものと比較して原始的なものであり、傾斜して崩落しかかっていた。
しかし、その中で唯一真新しい建造物が存在した。時計塔のある教会である。
この教会は埋没した二つの建造物の上に建てられており、周囲がくぼ地になっていてその中にはSCP-610の肉片のようなものでできた液体で満ちた「プール」が存在した。
チームは「プール」に触れないように注意しつつ、教会を目的地として進行した。
広々とした教会の中にはベンチが4つだけあったが、使用できるのは3つのみで1つは壊れていた。
チームが教会の調査を行っていた時、突然に時計塔の鐘が鳴った。この時、天井裏から人間の悲鳴のようなものが聴こえたという。
天井を照らすと、6つの木製の円環を吊るす巨大なSCP-610が存在した。この円環にはそれぞれに全身がSCP-610に覆われた人間がつながれており、鐘がなると同時に叫んでいたのはこの人間たちであった。円環が地上に降りてきたため、チームが調べようと近づいたところ、正体不明の生物の叫び声が外で聞こえたため中断して教壇の陰に身を隠した。
正体不明の鳴き声は次第に近づいてきた。何者かが教会内の燭台に火をともしていき、最後に入り口にあるシャンデリアに火が付くと内部が鮮明に照らし出された。幸い、チームの隠れた場所がばれることは無かった。囚われている人間たちのSCP-610の色は典型的な肉色ではなく、特異的な赤色だったという。
教会の外からおびただしい数のSCP-610感染体が入ってくると、部屋の中央に集まった。すると、輪につながれた囚人を肉塊から引きずり出し、我先にと喰い始めたのである。このことから、赤色をした特異的なSCP-610には人間の生命維持を行い、通常のSCP-610を培養する機能があると推測された。6分間ほど「捕食」が続いた後、何者かがゴングを鳴らし、それを合図にして全ての感染体はベンチへと向かっていった。座れない感染体も多くいたが、行儀よく下がって待っていた。
チームが隠れている教壇の近くから、SCP-610の肉塊の柱が広間に広がり、感染体たちに向かって伸びていくのが見えた。やがて肉柱が動きを止めると、静寂のまま10分が経過した。肉柱が元の位置へと戻っていくと、感染体たちは教会を出て行った。
チームも教会を出たところで、カメラ映像に異常が起きる。カメラ1は配信が途切れ、カメラ2は空中数メートルに放り投げられ、カメラ3はカメラ2を装備していた隊員が地面から突然現れた肉の触手に囚われて投げ飛ばされる様子を映した。カメラ1の映像は直後に復旧し、カメラ3を装備した隊員が見失った隊員の元へと駆け出すも、建物からSCP-610があふれ出してきたためやむなく引き返す。
残った2人の隊員と大量のSCP-610感染体たちとの戦闘が始まる。隊員は自動小銃と携行火炎放射器で応戦し、辛くもこれを退ける。バギーのある方へと逃走するが、カメラ1の隊員が待ち伏せを受けて脱落する。待ち伏せしていた個体は教会で燭台に火をともしていた個体に似ており、大きな刈り取り鎌を振りかざしていた。カメラ3の隊員は何とかバギーまでたどり着くも、バギーはすでにSCP-610感染体に飲み込まれようとしていた。他の逃走手段を探しているうちに鎌を持った感染体の接近に気付き、2発発砲。感染体が鎌を振りかざし映像は途切れる。
5時間後、本部ではSCP-610の収容方法もしくは根絶法について議論中だったが、地下河川に落下してロストしていた隊員からの映像配信が復旧する。この記録はSCP-610-L6に記録されている。
そして最後の探査記録SCP-610-L6であるが、ここだけリンクが無く、「次の探査記録の閲覧にはクラスA以上の権限が必要です。このファイルの不正な閲覧は固く禁止されており、財団との契約違反や国際法違反とみなされます。」という仰々しいメッセージがある。
SCP-610-L1で井戸の近くに集まって融合していた感染者たちは、恐らく「変態」する準備段階の状態だったと思われる。
そしてSCP-610-L2で発見された肉の球状物体はそれが変化したものと考えられる(サイト-AとCで場所は違うが)。これは他の感染者を統率する中枢のような役割を担っており、Dクラス職員によってこれが破壊されたために感染体たちは一旦沈黙する。
しかしSCP-610-L3およびL4では「変態」を終えた個体が出現。眼球の無い巨大な人の顔のみの姿という非常におぞましい形状になっていた。さらに、洞窟を掘り地下を移動する能力があることも示唆されている。
そしてSCP-610-L5での感染体たちによる謎の儀式のようなものが記録される。このことから、SCP-610はただ感染を広めたり人間時代の慣習を真似したりするだけでなく明確な意思を持って行動している可能性が高まった。
さて、ここまで読んで、‘‘彼ら’’を思い浮かべた人もいるだろうが、まさに、このオブジェクトは、サーキシズム・ハブの元となっている。そのため、彼らとSCP-610を同時に扱う記事も見られる。だが、あくまで元々は、このオブジェクトはただの肉の化け物になるゾンビウイルスとして投稿されたものだ。SCP界ではSCP-610がサーキックに関係しているという考えは一般的だが、それを嫌がる人もいるのを忘れないでほしい。
というか、多くの文をコピペしました。せめてものお詫びとして、リンクを貼ります。
アニヲタwiki:SCP-610 https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/47097.html
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