どれだけ知識を重ねても、罪の記憶は消えぬまま。
概要
オブジェクト番号:SCP-073
オブジェクトクラス:Euclid
SCP財団が管理するSCPオブジェクトの一つ。
項目名は「"カイン"("Cain")」。
作者は犬教授ことケイン・パトス・クロウ.
ページ作成者はfar2氏となっているが、これはSCP財団サイトが現行Wikiに移転するにあたって氏が当該記事の転載を行った為である。
外見は中東系、黒髪で青い瞳の、よく日焼けした30代に見える男性。身長185cm、体重75kg。当該の報告書に画像が存在しない為、描き手ごとに彼のデザインは異なる。
一目でわかる異常性として、四肢と脊柱、肩甲骨が未知の金属に入れ替わっている。本人はそれを理解しているが、いつ、誰によってそうされたのかは具体的に覚えていない。
額にはシュメール語とおぼしき模様が刻まれているが、その内容は不明。本人に尋ねると激しく苦悶してしまう。
一見不気味だが、“カイン”を自称する彼の性格は大変穏やか。
通常は誰に対しても礼儀正しく親切に話すが、その口調は冷たく機械的だとされる。本人にそのつもりはないようだが。
SCP-073の持つ異常性は、他にも2つある。
一つ目は、植物への影響。
「あなたが土地を耕しても、土地は、もはやあなたのために実を結びません」
SCP-073の20m範囲内に存在する、全ての土で育つ生命はただちに死滅。更には、永久に草木の生えない不毛の土地へと変わり果ててしまう。
この影響は植物由来の物品にも及ぶ為、紙や木製品も彼が触れれば劣化・腐敗してしまう。この為、彼の食事は完全に肉食となっている。
二つ目は、ダメージに対する「反射」。
「だれでもカインを殺す者は七倍の復讐を受けるでしょう」
SCP-073に加えられる攻撃は、それがいかなるものであれ、攻撃した対象にそっくり跳ね返る。
本人は無傷だが痛みは感じるようで、なるべくならやめてほしいと訴えている。また注射やメスも反射されてしまう為、採血や手術も不可能。
そもそも彼が財団に収容されたのは19██年のニューヨークで、無数のギャングの死体に囲まれている所を発見された。本人曰く、ギャングに絡まれてひやかされた後で怒りをかって殺されそうになり、そのまま相手は自滅したという。
ニューヨーク市警によって「ジョン・ドウ(名無し)」として収監された後、財団の定期的な検査で発見、収容された。
これらとは別に、見た物を一瞬で正確に記憶して必要な時に思い出す、いわゆる『映像記憶能力』を有している。
上述の性質や他人を喜んで手伝う性格も有り、SCPオブジェクトでありながら財団の重要な情報をバックアップする仕事と、追跡装置をとりつけられた上で、収容施設であるサイト-17内に限り自由に移動する権利を与えられている。
そのサイト-17では無機質な家具と浴室が備わった2部屋の独房で暮らしており、食事はメイン食堂で取っている。
財団の設定がまだまだ定まっておらず、今ほどオブジェクトに対して厳格かつ無慈悲でなかった、SCP発祥初期に造られたキャラクターゆえの緩い扱いである。
その他の詳しい情報は日本版wikiの該当記事で。
彼の来歴は不明であるが、その特性から旧約聖書の「創世記」に登場する「世界で初めて人を殺した男」ことカインその人として扱われる事が多い。
人気が高く、たびたび創作に登場している。
他SCPとの関連
SCP-076 - "アベル"("Able")
謎の石室で死の眠りにつき、時折蘇生しては殺戮を繰り返す人型実体。
SCP-076に関する情報を「バックアップ」するためSCP-073に持って行くと、情報に親しみを示して「SCP-076については全て知っている」とした。その上で、SCP-076には誰も会わないほうがいいと告げている。
聖書に従うのであればアベルはカインの嫉妬により殺され、その罪によりカインは神に追放されたというが……
Taleによっては見た瞬間に殺そうとして返り討ちに合い続けたり、過去には異なる名で実の兄弟の如く生きた友であったりと、様々な描写がされている。
SCP-458 - はてしないピザボックス(The Never-Ending Pizza Box)
箱を開けた人の好みのピザを無限に提供する紙製ピザボックス。
一度目はピザ=小麦粉=植物だった為、腐敗してしまい失敗。
二度目は「取り出したピザを速攻で食わせる」というものすごく強引な方法で食べさせる事に成功した。
出てきたのは「ミディアムサイズ、フェタチーズとジャックチーズ、ソース無し、薄い生地」のピザ。
本人曰く「こういったものを食べるのは初めてだ」とのこと。よかったね。
SCP-2932 - ティターニアの檻(Titania's Prison)
人間の前に繁栄を極めた支配種が、別の種族に命じて作らせた檻。
檻の中には現在も拘束されている異常実体が複数あり、中にはKeter級のオブジェクトまで存在する。
檻は植物性なので、SCP-073を近づけるのはヤバイ。
しかしその前に、檻の一つには次のような銘が刻まれていた。
囚人名: Adam El Asem
檻を創造・管理する異常実体・SCP-2932-Aによると、Adamなるものは太陽の子(人間)であったが、同類からは夜闇の子らと同じほどに忌み嫌われていた。一目見るだけで物を創り出し、彼が触れれば山は動き、川は枯れ果てたという。
そしてある時、夜闇の子によって捕らえられ、彼らが信仰していた「ティターニア」への捧げものとされた。
SCP-2932-Aによれば、「Adamとは別の太陽の子である、その歩みが荒廃を齎す者のために1つ、別の者のためにもう1つの予備の独房が準備されている」というが、アダム……荒廃……別の者……と、何やら見えて来そうな気配を感じる。
そしてそれは後に、別のSCPオブジェクトに継承された。
SCP-6666 - 魔性のヘクトールと恐怖のティターニア(The Demon Hector and the Dread Titania)
アマゾン熱帯雨林に存在する、巨大な植物型実体。
地下の巨大空間にさかさまに生えており、毒霧や攻撃的な根、巨大な人型実体など、脅威は極めて高い。
SCP-1000、SCP-2932などを絡め、数多くのSCPオブジェクトを登場させた壮大な作品。SCP-6000コンテストで2位となり、現在のオブジェクト番号を与えられている。
その中でSCP-073へのインタビューが行われ、初めて公式の記事で顔写真が掲載された。そのインタビューにおいて、SCP-073は「家族」について初めて言及する。
父、母、弟。そしてもう一人、末の弟について。