SCP-076
あべる
どれだけ怒りを重ねても、安らかな死は遠いまま。
オブジェクト番号:SCP-076
オブジェクトクラス:Keter
SCP財団が管理するSCPオブジェクトの一つ。
項目名は「"アベル"("Able")」。
数あるSCPオブジェクトの中でも屈指の危険性を持ち、収容違反をたびたび繰り返している。
財団ではこのSCPオブジェクト専用に、海抜マイナス200m、地震学的に安定した地域の岩盤層を掘削した内部に収容施設を設置。
収容施設への出入口は垂直エレベーターのみとなっており、50m毎に厚さ20cmの壁で作られた対爆防壁が設けられている。更にエレベーターシャフトは使用時以外は海水で満たされており、侵入も脱走も困難にしている。
その上で更に、
- 近接格闘術と防御戦術を訓練されたセキュリティチーム。
- 支援施設と職員の宿舎であるAdministrative and Support Area(ASA)。
- 1.5mの強化物質により囲まれた、一辺7mの立方体空間からなるPrimary Containment Zone(PCZ)。全長150m。必要に応じて浸水・排水できるよう設計されている。
- PCZとASAをつなぐ出入口、通称「殺害通路」。通路の壁と床はPCZと同様の補強がされ、20000Vの電気ショックを流せるシステムが搭載。
という、尋常でない設計と配備が施されている。
これは後述するSCP-076-2が「脱走」を図った場合に使用され、最終手段として施設全体を24時間浸水させ、職員もろとも息の根を止める事が決められている。
SCP-076は3m立方の黒い変成岩で構成された石室(SCP-076-1)と、内部の石棺に収められた男性の遺体(SCP-076-2)から構成されている。
単に「SCP-076」と書かれている場合は、もっぱら-2の方を指す。
SCP-076-1は、放射性同位元素分析によりおよそ10000年前の物である事が判明している。
既知のいかなる文明とも一致しない呪術的な模様が内外に刻まれ、唯一ある扉は鍵と錠前で封印されている。鍵の所在は不明。
現状においてあらゆる手段で破壊は不可能とされる。過去には核弾頭まで使用されたが、SCP-076-1は無傷だった。
SCP-076-2(以下「アベル」と表記)については、次のような情報が開示されている。
20代後半の見た目をしているが、実際の年齢は不明。人種はセム人系。
痩せているものの身長は2メートル近くもあり、黒い髪、灰色の瞳、オリーブ色の肌を持つ。
全身には「嫌らしい目つきで睨む悪魔のような顔の形」の刺青が刻まれている。
通常はSCP-076-1の石棺で死体となっている。しかし時折「蘇生」すると棺を抜け出し、行動を開始する。
厄介なのは、アベルの「凶悪そのもの」と言うべき精神構造。人間を軽視し、かつその殺害を至上の喜びとし、目にした人間全てを無差別に虐殺する。
対象に継続的な苦痛や恐怖を与える事には魅力を感じないらしく、ただひたすらに「殺す」事を、心の底から楽しんでいる。
身体能力は常人の範囲を大きく逸脱しており、鉄の棒で弾丸をはたき落とし、強化防壁を素手で破壊し、更にはどこからともなくブレード状の武器を実体化させて振るう。
銃弾や爆発物を始めとしたあらゆるダメージの耐性が高く、半端な方法では無力化できない。たとえ頭部を大きく損傷しても、数分は戦闘を継続する。
ただし無敵という訳ではなく、複数の大口径の機関銃による連射、浸水させた海水による窒息、エレベーターによる圧殺などで「殺害」は可能。
アベルが「死亡」するとその肉体は即座に腐敗して塵となり、SCP-076-1は開いていた扉が閉まると同時に施錠される。
しかしアベルは6時間から25年かけて内部で「再生」し、同じ事を繰り返す。
SCP-076-1は18██年のモンゴルにおける発掘調査で発見されたが、イギリスへの帰還に際して船上でアベルが「蘇生」。調査隊を全員殺害した後、手段は不明だがとある魔術結社によって回収され、当時現存していた鍵による封印が成されていた。
その後時期は伏せられているが、再び「蘇生」したアベルが脱走。この時に鍵は失われ、以後3年以上の大捜査の末にようやく発見。大きな犠牲を出しながらも制圧され、SCP-076-1と共に財団に収容されたのである。
それ以来、アベルは幾度となく「蘇生」し、そのたびに財団のエージェントと交戦、殺害されてはまた「蘇生」を繰り返している。
その精神構造や行動理念は人間にとって理解しがたいものではあるが、理性面での常識が通用しないだけで知性は非常に高い。
英語、シュメール語など複数の言語を操り、戦術や冶金、家畜についての深い知識を持つ。
もう一つの特徴として、強者であれば一定の敬意を払う傾向にある。
ある時、活性化している最中に、過去に自分を何度も無力化したエージェントの姿が見当たらない事に気づくと戦闘を中断。当該のエージェントが別の任務で死亡していた事を聞かされると途端にやる気をなくし、自発的に収容されるという事案が発生した。
「違い? 何故なら、お前たち(シュメール語/解読不能)とは違い、彼は挑んできた、本当の敵手だったからだ。」
これによりアベルと交渉を重ねた結果、彼を戦闘員として起用するプロジェクトが計画。機動部隊Ω-7「パンドラの箱」が結成された。
しかしプロジェクトの結末は……
詳しい概要はSCP財団日本支部の該当ページへ。
「SCP_Foundation」きっての危険人物であり、また人気キャラクターの一人でもある。
上述のような身体的特徴についての言及はあるが、どのような人物として描かれるかは絵師の想像に委ねられている。
SCP-682と同様、やはり様々な記事で言及され、数々のSCPを用いた実験が行われている。しかし中には、
- 好みのピザの具を調査され、肉大盛りの特大ピザを振る舞われる
- 死体に触れると[削除済み]なスライムの液体入りカクテルを飲まされる
- ブライト博士に○×ゲームを教えられ、引き分けを認めず三週間もゴネる
- 中二病の女の子にF██eのパクリ扱いされる
等々、じわじわくるエピソードも存在する。
多くの創作では、SCP-073と共に旧約聖書に登場するカインとアベルと同一視されている。
Taleでは深く憎悪していたり、愛していたりと、関係はさまざま。ビジュアルや設定もあいまって人気がある。
また古代文明ダエーバイトとの関連を示唆される場合もある。
なおSCPは怪奇作品の創作の場であるという性格上、「コレよりもただ単純に強いだけのSCPを作ってはいけない」という暗黙の了解が存在する。
とはいえ「ぼくのかんがえたさいきょうのもんすたー」をつい創作してしまうのはヒトのサガ。過去にはそのような投稿も多かったが、ほとんどはマイナス評価をつけられて消え、見せしめとしてDecommissioned(晒し上げの上破壊)された作品もある。
SCP-682がクリーチャー系の上限であるならば、こちらはヒューマノイド系の上限と言った扱いである。
SCP SCP_Foundation アベル SCP-073 - "Cain"
アンリマユ(Fate) - 外見上の類似がしばしばファンの間で話題に上がる。
ギルガメッシュ(Fate) - 性能の類似が同上。ちなみにTale「エンキドゥ」では原典のギルガメシュとしてSCP-076-2が描かれている。
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