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アイテム番号:SCP-♯!1■(番号不定)

オブジェクトクラス

Catastrophic abort at D09E2AD9: HANDLE NOT FOUND



















余計な事に首を突っ込むべきではないし、突っ込んだ首の行く末を知るべきでもなかった。




















始めに


SCP-2718とは、怪奇創作サイト「SCP財団」に登録されているオブジェクト(怪異)の一つ。

上記の通り、このSCPのオブジェクトクラスは存在しないという異質極まりないオブジェクトである。

SCPオブジェクトは基本的に恐ろしい・怖い・危険なものばかり(勿論、SCP-999SCP-131のような友好的なオブジェクトも存在する)だが、このオブジェクトは違う。

違うと言っても怖くないとかそういうことではなく、Keterクラスのように収容が出来ないとかいうレベルでもない。

では、一体何なのだというと



何も出来ないのだ。



このSCPオブジェクトとされるものに関して財団はおろか全ての存在が、何も出来ない。

収容することも破壊することも無力化することも排斥することも封鎖することも、何も出来ない。

何一つ、これっぽっちも、打てる手などありはしない。あるとすればただ一つ、このオブジェクトの情報への接触を制限することだけである。


ではこのオブジェクトは何なのだというと財団の職員は誰も知らない、知る事も許されない、知ろうとすれば殺される。


詳細は本家のwikiに譲るが特別収容プロトコルも異様なまでに厳重であり、要約すると

「これはDAMMERUNGクラスの認識災害だ! この記事の概要見るな! 見ようとするな! 見たいと思うな! 見に来るな! たまたまこれ見てるなら今すぐブラウザ閉じて履歴消せ! そして今すぐ急いで記憶処理受けに行け!あとこのSCPに関して誰にも話すな!聞くな!」(DAMMERUNG:読みは「ダムラング」:【黄昏】という意味である)


本家wikiを見れば気づくと思うがこのオブジェクトの番号を示す部分がランダムに切り替わり続けている。

これはこの報告書に関する任務を特別に与えられたエージェントのための指令書に記されていて、要約すると「このSCPは秘匿されており、偶然にアクセスされる可能性を削減するため、別のSCPナンバーとランダムに切り替える」という理由である

そしてこのSCPオブジェクトの収容違反は「誰かが偶然この報告書を見てしまった」という事故であり、エージェントは収容違反の発生に伴い、この特別収容プロトコルを与えられた時間の中で可能な限り改善し、書き換える任務を与えられる。


「そこまで知られたくないなら報告書自体を削除すればいいじゃん」と思う人もいるかも知れないが、実はこのSCPの報告書を最初に作成したのはなんとO5(読みは「オーファイブ」:財団最高位の管理者集団。)の1人でありそのO5のクリアランスと、既にそのO5は故人であるという理由のため概要部分の編集が出来ず、特別収容プロトコル部分のみ編集が可能となっているが、その特別収容プロトコルの編集すら「DAMMERUNGクリアランス」というこのSCP専用のクリアランスを持った職員でなければ絶対に許されない。

但し、「DAMMERUNGクリアランス」所持者ですらこのSCPの【説明】セクションの閲覧は禁止されている。


と、長くなったがとにかく財団はありとあらゆる手段を用いてこのSCPの接触を防ごうとしているのである。

では、財団がここまでしてまで秘匿しようとするO5の遺産であるSCP-2718とは一体何なのか――――――



概要


このSCPの概要は文章ではなく、レベル3の職員に向けた音声記録となっている。

この記録を遺したのはO5-7、本名ミリアム・ブレイザーである。

内容はwikiで確認していただきたいが、内容からしてどうやら彼女は命の終わりを前にしてこの記録を遺したらしい。

彼女は何を伝えたかったのか?


それにはO5がある禁忌を行った事が関係しており、その禁忌とは


「死 者 蘇 生」


これがO5が行った禁忌である。

確かにSCPオブジェクトの中にはそういった特性を持つものも珍しくはないが、実際に使ってみようと思い、実行する人は財団内にまず居ないし、いたとしても終了(処刑)されるのがオチである

(例の問題児が行ったって?あれは偶然の事故です)

ミリアム・ブレイザー曰く、蘇生の方法は様々な手法があるが、共通しているのは『死んでいた時の記憶がない』こと。つまり、財団世界でも人が死んだあとにどうなるかはわかっていなかった。


録音の6か月ほど前、O5はO5-11であったロジャー・シェルドンを蘇生させた。

コストはバカにならなかったし、財団の組織的なリスクや手順の複雑さ等の様々な難問があったが、そうしなければならない理由がO5にはあった。

後任を任命するためのキーコードが、ロジャーの記憶の中にしか存在しなかったからだ。


ロジャーは生前、身体強化による命の延長を拒み、また一人で出かけることを好んでいた。(今は禁止されているが当時は黙認されていた)

しかし、18年前に彼は脳卒中で死亡した。ある島の岬の岩場の上で、その体は朽ちていたのだ。


ロジャーの記憶するキーコードがなくてはO5-11の後任が決められない。このままではO5評議会の運営にも差し障る。文字通り必要に駆られたO5は、4年の時間をかけてロジャーの遺体を見つけ出し、朽ちて散じていたそれをかき集めて帰還した。

しかし一難去ってまた一難、ここで問題が発生した。既存の蘇生方法ではキーコードを聞き出すだけの記憶と知性の復元が出来なかったのだ。


そこでO5は、別の方法を使った。記録されれば削除を免れない方法で、量子的な近似物を再構築する計画を立てた。物理的にも、化学的にも、電気的にも彼に近似したものを。

例え少しの間しか持たなくても、彼の心臓が再び鼓動を始めるほど、彼のシナプスが発火するほど、そして、彼の口が動くほど、十分に正確なものを作ることにしたのである。


O5はただ、ほんの少しだけの情報を求めていた。

彼らがロジャーに望んだのはせいぜい、彼がその情報をくれるくらいまで生き延びて、その後はただ再び死を遂げるということ。それだけだった。

だが、結果はそうはならなかった。ロジャーは完全に蘇った。


蘇生したロジャーは自身が生きていることを全力で喜び、そして財団に協力した。その姿勢を買ったO5は、満場一致でロジャーを職務に復帰させた。

そしてロジャーは、以前よりも賢明に、かつ洞察力を強く発揮して働いた。

変わったことと言えば、身体強化を積極的に行うようになったこと、そして収容プロトコルの安全性や財団が雇っている者たちの医療援助に強い興味を示し始めたこと。そして、Dクラス職員の犠牲を払うことを極端に嫌い出したことだった。


この時点ではO5は特に警戒しなかった。だが、そうしなければならなかったと後に気付くことになった。


録音の2か月前、ロジャーはミリアムに接触し、『財団は自分が死んでいる間に、不老不死を発見したのではないか』、と尋ねた。無論そんなものは収容されていない。

それを告げると、ロジャーは明らかに落胆した。


そしてそれから1週間後、ロジャーは収容下にあるAPE(最上級多能性実体、分かりやすく言えば悪魔みたいな存在らしい)との接触を試みた。

それは些細なミスからミリアムの知るところになった。

ミリアムに問い詰められたロジャーは、彼を駆り立てた動機について語った。

そしてそれは、決して知りたくなかった、しかしいずれは必ず知ることになる最悪の、そして厳然たる「事実」であった。


それについて、彼の発言を引用すれば非常に長くなる。

だから、ロジャーの体験と、それが示す事実を簡潔に纏めると



『ヒトは死んでも、その遺体に感覚と自我と精神をはっきりと残存させる』


という事実である。

ロジャーの言によれば、彼は自らの遺体が風化し、朽ち果て、散らばっていくのを、まるで生きている人間がそのようにされているかのような痛みと苦しみと共に、発狂すら許されず知覚していたという。

それだけではなく、細胞がひび割れる感覚、体液が腐り果てる感覚……さらには、海に散らばった髪の毛や体組織の一部、鳥や獣に食われた一部。それらにすら、ロジャーの感覚は繋がっていた。

死したことで感覚の制限はなくなったが、それが感じ取るのは己が朽ち果てていく無限の苦痛のみ。しかもそれは、分解され、消化されたとしても消えることはない。


『人の魂は、永遠に己の肉体に縛られる。』

『そしてそれは、何らかの代償でも罰則でもなく、単なる自然な現象の一つに過ぎない。』


そんな事実を、ロジャーは語ったのだ。

それから逃れようとして、ロジャーはAPEに接触したが、彼の支払える代価ではそれは叶えられないものだったらしい。


ミリアムは戦慄したが、O5の職務上知ってしまった事実をつまびらかにせねばならない。ロジャーが意図的に収容違反を起こそうとしたのは確かなのだ。


招集された評議会において、ロジャーは自らの「死」を語った。その先に待っている無限の苦痛を。

ロジャーはO5の必要性によって蘇生されたが、他はそうではない。今もなお、無限の苦しみを味わっているのだろう。

このことを聞かされたO5評議会は半分パニックに陥ったが、突然O5-8がこう宣言したのだ。



「ヒトの死をKeterクラスのSCPオブジェクトとして認定し、いかなる方法を以ても収容せねばならない」、と。



考えるまでも無くそんなことは不可能である。しかし、ロジャーという証人がいた。彼はさらに、自らの味わった地獄を事細かに、詳細に語って見せた。


O5-2は一旦休会して落ち着くよう提言した。

O5-3は危険なSCiP(SCPオブジェクトの事)を一貫して終了させるべきだと告げた。

O5-6はO5-3に賛成した。

O5-13はパニックに陥った。

O5-10は全人類を自身達のように強化せねばならないと叫んだ。




・・・・・・・・・最早滅茶苦茶としか言いようが無い程の大混乱である。


そしてただ1人冷静にO5-1は言った。


「O5-11の体験が真実かどうかはともかく私達全員が理性を失っているのは、明白である。直ちにロジャーをミーム系のSCiPとして収容し、ロジャーを除く私達全員に記憶処理を施すべきだ。」


ロジャーとミリアムとO5-2は逃げたが、O5-2は程なく終了された。

そしてミリアムは自室に戻り、この音声記録を遺した後に機動部隊に射殺されたが、記録された音声は報告書として残され、ミリアムの権限により現在も編集・削除は不可能となっている。







正体


SCP-2718の正体とは【人間の死後】に関しての認識災害である

単に、その事実があまりにも恐ろしいから、ではない。

ロジャーの語ったこの事実……否、彼の記憶の中にある情報は、それについて知る、聞く、認識すること自体が精神汚染をもたらすのだ。

最初にそれに曝露したのは他でもないロジャー本人だが、それを聞いたミリアム、続けて他のO5が次々とこの認識災害に曝露してしまった。最近では収容違反に対処したエージェントも、である。

この認識災害は何をもたらすのかというと、その情報の存在を知った者に対し「内容を知らなければならないという強い衝動」を引き起こす。しかもその衝動は抗えないレベルで強い。

更に曝露者に対しては「死後の苦痛」に対して過剰な恐怖を抱き、それに対する行動を起こさねばならないという極めて強力なミーム汚染(一種の洗脳のようなもの)を発生させる。

上記のO5評議会で起きた大混乱の原因がまさにコレで、彼らは単に苦痛を恐れたのではない。

詳細はwikiに譲るが実はミリアムの独白から、それをうかがわせる部分が散見されている。


そして、このオブジェクトのキモ、認識災害を発生させるトリガーはずばり、「この情報の内容を信じること、真実だと認識すること」である。しかも、半信半疑のレベルですらアウト、という非常に緩い条件である

この衝撃的な内容をいきなり、しかも「体験談」として聞かされれば、大抵は半信半疑になるだろうが、それですら認識災害に感染するには十分なのである。


その恐るべき内容を真実だと欠片でも思ってしまえば、それに対して恐怖し、行動しようとするのだ、それこそO5ならば普通は考えない収容違反に手を出してでも。


そして内容のおぞましさと対処不可能であることからSCP-2718のレポートは徹底的に秘匿され、SCP-2718の存在は闇に葬り去られた。

今やその存在を知る者は財団には居なくなり、ロジャーの体験談が闇に葬り去られたことで人々は死んだ後 自分の身に起こる“現象”を知ることなく生きることが出来るようになった。



余談

とあるtale(2次創作)ではO5-8の発言通りに「【人間の死】をketerオブジェクト認定してしまった」このSCPの『if』と言えるtaleが存在している


また、SCP-3440においては、大混乱から立ち直った後、財団はどうやらロジャーの語った事実の検証を行ったらしい。

その結果、ヒトの死後に必ずこうなるかどうかは別として、「死亡した肉体に魂=霊的実体が束縛・監禁された状態にある」という定義づけが完成、「シェルドン級霊魂縛鎖」と名付けられている。


さらにコレ、どうも「ハーマン・フラーの不気味サーカス」が人為的に作り出すことができるらしく、関連オブジェクトに同様の状態になった死体が登場している(ただしこっちは限定的だが行動可能)。



関連タグ

SCP_Foundation 死後

































確かに、これはSCPオブジェクトだ。シェアワールドで創作された、一人の人間の頭の中で考えられたホラーテイストの記事だ。

この情報に関しても蘇生術の副作用、あるいは何かしらのバグにより偶発的に発生したものである可能性もゼロではない。

しかし、冷静になっていただきたい。死んだあとでどうなるのか、現在でも人類は誰もまだわかっていないのだ。

それはつまり、『人が死を迎えたのちにどうなっても不思議ではない』、ということだ。










では、「人間の死後は絶対こうならない」、「ロジャーの体験が現実とは無関係だ」などと一体誰が断言できるのだろうか。



























このSCPの本質は認識災害でもなけばミーム汚染でもない。


























「全ての存在が必ず直面する【死】という逃れられない現象と、それに対しての根源的な恐怖」こそがこのSCPの本質である

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