概要
とても奇妙な顔つきをした小型の恐竜。
あごには歯がなく、くちばしになっているが、上あごの真ん中には2本の突起があった。また類縁種の化石に関する研究から羽毛を持っていた可能性があり、原始的な鳥に近いと考えられている。
化石はモンゴルから見つかっており、近縁種も多くが東アジアに生息していたが、ヨーロッパやアメリカでも発見されている。
特徴
全長1〜3メートル程度の小型の恐竜で、フラミンゴのようにしゃくれた顎、短い尾、発達した前脚を持つ。
食性については長らく謎だったが、見つかった化石の中に少なくとも1体、腹腔にトカゲの化石を伴う事(死ぬ前に飲み込んだ獲物とみられる)、また顎の構造が原始的な角竜に似ている事から、小動物や木の実などを食べる雑食性だったとする考えが根強い。
貝類を嘴でこじ開けて食べたという説も提唱され、この説に則って『コンコラプトル(貝泥棒)』と命名された近縁種も存在したが、オヴィラプトルの頭骨は空隙が多く「嘴で貝を咥えてこじ開けられるほど頑丈な構造では無く」、「無理に貝を咥えてこじ開けようとすればその圧力で頭骨が著しく損傷して死んでしまう」という理由から現在は有力な説とはされておらず、貝を食べるなら足などで殻を壊しただろうと思われる。
お名前事情
「卵の掠奪者」を意味するこの名前は初めて見つかった化石と同じ場所から恐竜の卵の化石が見つかった為。
記載者が「恐らく他の種の恐竜(プロトケラトプス)の巣を襲っている最中に災害で死に、共に埋没した為であろう」と推測した事に由来する。
ただし近年の研究で、共に産出した卵の化石は実はオヴィラプトル自身の卵であった事が判明し、少なくとも記載者の推測は間違いであった事が明らかになった。
しかし、国際命名規約により一度付いた学名はこの程度の事では変更できないとされているため、今でも「タマゴドロボウ」という不名誉な名前で呼ばれている次第。
もっとも、そうなると名前に「ラプトル」とつく恐竜たちは全種「ドロボウ」呼ばわりされているわけだが……。
嗚呼、不憫なり。
ただし他の恐竜の卵を食べていた可能性も否定はできないので、卵泥棒なんて名前そのものがまったくの濡れ衣と言いきれないのも確か。とはいえ、卵はかなり季節限定的な食資源であり、常食というよりは副次的なものであったろう。
古代王者恐竜キング
わざカードで援護してくれる「助っ人恐竜」として出演。第4紀から登場した草属性の超わざ「エッグスリボルバー」で登場し、大量の卵を口から発射して攻撃する。
中期以降は助っ人恐竜にもキャッチコピーがつくようになったが、命名された経緯もあってか「無実の泥棒」と悲壮感のあるフレーズに。
解説文には「きみょうな顔をした恐竜だ。名前とは異なりタマゴを大切に育てていたようだ」と書かれており、変な顔の恐竜と言われつつもフォローは入れられている。
なおカードに書かれている説明文はスペースの都合で2行分しかない上に文字数自体も少ないため、「きみょうな顔をした恐竜だ」という部分をカットしたところで「タマゴの化石と一緒に見つかったので、他の恐竜のタマゴを盗もうとしたと思われてこんな名前になった」というそもそもの経緯までは到底収まらなかったのだろう。
ちなみに草属性のわざカードの恐竜の中では唯一テレビアニメに登場しなかった。代わりに超わざカードの中では唯一化石カードがある。
またDS版オリジナルのキャラとしてアイテムショップの店主「オヴィ」がいる(人間キャラだが)。爽やかな笑顔のナイスガイだ。
こぼれ話
オヴィラプトルが属するオヴィラプトロサウルス類の特徴として、頭骨全体を覆う程発達したトサカの存在が挙げられる。
北アメリカ産の「キロステノテス」やモンゴル産の「リンチェニア」など、頭骨本体とほぼ同等の大きさを持つトサカを発達させた種も少なくない。
然しながら、一般に(種としての)オヴィラプトルと言われる、トサカの発達した化石は近縁の「キティパティ」という種の化石である事が多く、(種としての)オヴィラプトルの頭頂部に大きなトサカがあったかどうかははっきりしていない。
実はオヴィラプトル化石産出例がかなり珍しい事にも起因している。近い将来、オヴィラプトルの「トサカがある」復元図が修正を迫られる可能性もあるかも知れない。
関連タグ
関連キャラクター
ゴーシュ・ル・メドゥ:本種をデザインモチーフにしたキャラクター。
オビラップー:オヴィラプトルが進化したメカ恐竜。強烈なオナラ攻撃が得意だったらしい。